第7話 巨大な生き物
テレポーテーションでレース場に戻って来た神。目の前には光の物体が居た。その下には下敷きになった人達が血を流し‥‥目を覆いたくなる姿になっていた。
「こいつは‥‥酷い!」
あの下敷きになっている人達を助けたいと思い、神が一歩前に歩んだ時、それは起きた。
光の物体の光がまるで卵が中から割れるようにパリパリと音を立て、中から何かが出てきた。
「なんだ?」
下からは4本の足か?上からは細長い口だろうか?ツノの様なものも見える。後ろからは尻尾か?そして‥‥‥光が全てなくなるとその物体があらわになった。
「‥‥‥あれは‥い‥ぬ‥」
そう!それはまるで犬の様に見えた。が、頭に鋭く真っ直ぐに伸びたツノ、体にも無数の短いツノが生えている。その姿はまるでハリネズミにツノと長い尻尾をつけた様な姿。
そして全身は黒い。
「まるで、ケルベロス‥‥いや!あれよりも凶暴そうに見える!」
ケルベロスは、ギリシア神話に登場する犬の怪物で、ハーデースが支配する冥界の番犬。
その様な姿の生き物が神の目の前に現れた。しかも全長は10メートルはあるだろうか。
「で、でかい! でかすぎるだろう!」
「ガアルルルルルルーーー」
ケルベロスの様な生き物は唸ると、周りをゆっくりと見渡す。そして足元の神に目が合うと
『お前が呼んだのか?』
神は突然の言葉に驚き、あたりをキョロキョロとするが、それらしい人物は見当たらない。そして、目の前の巨大な犬?ケルベロス?に問う。
「‥‥お前‥なのか?‥」
『他に誰がいるか!ガアルルルルルル』
怒鳴る巨大な生き物に神は一歩後ずさりをする。が、ここで引き下がるわけにはと、
「何故現れた!」
『なに!』
「お前は何故ここに来た!」
『来ただと?知るか!ガアルルルルルル!』
さらに吠える巨大な生き物。その圧倒的な圧力にまたも驚く神。そして、
『お前はこの世界の者か?』
「『こいつ何を言っている?この世界の者?どう言う事だ?』あ、ああ、そうだが」
神はとりあえずこの巨大な生き物の意見に従おうと、返答した。
『わしの背中の小娘をなんとかしてくれないか』
「背中?小娘?」
神がゆっくりと恐る恐る巨大な生き物の背中を見ると、少女が服を背中のツノにひっかけて
気を失ってぶら下がっていた。
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