異世界救助隊 / 女神候補生がパートナー!
本田 そう
第1話 メイリ=バアウア
「なんなんだよ! あれは⁈」
「お兄ちゃん!」
逃げ惑う人々の中で兄妹だろうか?妹の手を取り逃げようとする。が‥‥‥怖くて足に力が入らない。上手く走ろうとするが走れない。
妹は足を震わせ動く事が出来ない。その妹の手は恐怖に震え、兄を握った手だけは力一杯握り返していた。恐怖の為に‥‥‥。
兄は妹を抱き寄せると、それを見て叫ぶ。
「クソォ! なんなんだよ!なんなんだよ!いったい‥‥‥ちくしょおおおー!」
◇◇◇
明らかに人の手によって造られたであろう白い鉄?のトンネル。足元には誘導灯が照らされ、天井には蛍光灯の様な形の物が埋め込まれ、トンネル内を昼間のように照らし、それがずっと奥まで続いている。
そのトンネル内を、何かに遅れているのだろうか?足早に進む二人の女性の姿‥‥‥
「ちょ、ちょっと、待って下さいよお〜!」
「‥‥‥」
「待って下さいよお〜! ねぇ〜、センパアーイ!」
「‥‥‥」
「先輩!クラリス先輩!」
前を足早に歩く女性は、急に止まると、五メートル程後ろについて来た女性も、ピタリととまる。前を行く女性が、後ろの女性に振り返ると、
「‥あのね! 誰のお陰でこんなに急いでいると思っているの!」
「ウッ! そ、それは‥‥‥私です」
「だいたい! 私が起こさなかったらお昼まで寝ていたでしょう!」
「だ、だって緊張して寝れなかった‥‥」
「自覚が足りないの!自覚が!メイリ!今日からあなたも私と同じ部署に配属になったんだから、しゃんとしなさい!しゃんと!」
そうきつく言うと、また足早に歩き出す。
「あっ! 先輩、クラリス先輩! 待って下さい!」
二人はまた、トンネル内を足早に歩き出した。そしてトンネル内にいくつもある扉の前で止まると、
「クラリス=クラウド、新人を連れて来ました」
クラリスが言うと、扉の上にある10センチ程の箱から赤外線の様な光りが出て、クラリスの体全体を照らすと、自動扉の様にシューと、扉が開いた。
「チーフ! 新人をお連れしました!」
クラリスは右手の平を心臓がある胸のあたりに添えると一礼をした。
クラリスの入った部屋は、テニスコートの半分程の白い部屋。その部屋の占領する程の細長い丸いテーブルがあり、そのテーブルの先には100インチ程のモニターが壁にある。
そしてテーブルに備えられた20席程の椅子には九人の人が腰掛けていた。
「漸く来たわね」
体が凄く、筋肉だろうか?チーフらしい女性が立ち上がると、部屋にいた人達は一斉にクラリスの方を見た。
その圧倒的な威圧感に緊張が緊張を呼んだのか、クラリスの横に居た、メイリは、
「わ、わ、わ、わ、わた、私は‥」
テンパって声が震えて言葉にならない様な言葉を話したのを見かねたクラリスは、メイリの背中をバン!と叩いた。
「メイリ! しっかりしなさい!」
「先輩‥‥ハイ!」
「本日からこのブルードラゴンチームに配属になりました、メイリ=バアウアです!宜しくお願いします!」
メイリはそう力強く言うと、クラリスと同じ敬礼をした。
「私がこのブルードラゴンチームのチーフのギルシェ=バンカーだ!」
ギルシェは席を立つ。その姿は圧巻!身長は190以上はあるか、しかも全身が筋肉かと思える程のムキムキだ!胸も大きいが、普通これだけ大きな胸なら、席から立った時揺れるはずだが、その胸は然程も揺れなかった。いや寧ろ岩かと思える程の硬さに見えた。
「メイリ!これからよろしく頼む‥‥‥」
そうギルシェが言おうとした時、
「ブウゥー!ブウゥー!ブウゥー! チームブルードラゴンは緊急出動!チームブルードラゴンは緊急出動!」
「緊急出動要請! ウインク!転移魔法で作戦室に全員を転送!」
「了解!」
ウインクが呪文を唱えると、室内に居た全員が作戦室に転送された‥‥‥。
魔法‥‥‥そうここは魔法が使える世界。異世界。そして彼女達がいるここは、各異世界を救うために活動している組織‥‥‥
異世界救助隊!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます