第5話 光る物体!
悪?‥悲しみ?‥苦しみ?‥憎しみ?‥‥
いや‥‥‥恐怖‥‥恐怖だ!
それも今までに感じた事のない!
「なんだ!この感じ‥‥はあっ!舞!」
神は舞の方を見た。同じ力、霊能力を持つ舞を。
舞は体全体を震えさせていた。まるで恐怖に怯える子猫のように。
「お、お兄ちゃん。な、なんなの‥‥‥この感じわ‥怖い‥怖いわ」
舞は震える手と手を合わせると、その場にしゃがみ込んでしまった。
それを見た神は舞が心配になり、
「大丈夫か?舞」
「う、うん‥‥」
舞の手を取ると、舞の不安な恐怖が神の手にも伝わる程の震えが伝わってきた。
「大丈夫だから、舞。俺がいるから」
「う、うん。ありがとう‥お兄ちゃん」
が、舞の言葉にも震える感じがした。
そんな舞を抱きしめると、神は大丈夫、大丈夫だから、と舞を慰めていた。
そんな二人を見た店長は、
「大丈夫か? 二人共」
「え、ええ。‥‥‥それより店長、ここから離れた方が‥‥いいです!‥」
神の額からジワッと冷や汗が出て、神の体も震えだした。そんな姿を見た店長は、
「大丈夫か?神‥‥‥て、それは本当か!」
「‥ええ‥‥だから‥」
店長は神の言葉を信じた。なぜならこの神の、この様な発言に二度、助けられていたからだ。しかし‥今回は以前のとは違う。明らかにやばい雰囲気。
「わかった!神!」
店長が腰を上げ、動こうとした時、周りにいた人々がざわめき出した。
「なんなんだあれわ!」
「何よ!あの空の模様わ!」
空?模様?神達は言葉につられ空を見上げた。
「なんだあれは?‥神!」
「あれは‥‥‥俺と同じ円状の模様の輪か?」
澄み渡る様な青空の中に、雲一つない空の中にいきなり円状の模様の輪が現れた。
大きさは十メートルは超えているか、かなり大きい!
そして、その円状の模様の輪は、また更に青く光りだすと一回り輪が大きくなる。
すると、円状の模様の輪はクルクルとゆっくりと回転しだした。
「お兄ちゃん‥‥あれ‥‥‥」
「ああ‥やっぱりあれは俺と同じ円状の模様の輪だ」
不安そうに空を見上げて言う舞に神は答える。そう、今、空に見える円状の模様の輪は神が超能力を使う時に両手から出る円状の模様の輪と同じだった。
だがいったい何故、あれが空に現れた。誰かがしたのか?それとも自然現象か?神の不安は更に増していく。
そして更に円状の模様の輪は回転を早めると、輪が更に広がり出した。その大きさは二十メートルか。
「でかくなった!」
輪の広がるのが止まりだす。そして円状の模様の輪は、赤く光り出した。やがて輪の中心からゆっくりと光る何かが降りてきた。
「なんだ?」
円状の模様の輪の下や周りに居る人達は、見上げたり、スマホで撮ったりしていた。
「何しているんだ!あの人達は!早く逃げないと‥‥‥」
神がそう言っている間にも、光る物体は輪から出てきた。そして全てが輪からでると、いきなり地面めがけて落ちてくる。
「ヒューーーーン!ズズーーーン!」
光る物体が地面に落ちると、落ちた衝撃で地響きと風圧で砂煙がまい、周りの人達は吹き飛ばされた。
「キャー!」
「わああー!」
「ギャァ!」
悲鳴や叫び声が辺りに響き渡る。我に返り逃げ惑う人々。周りはすでにパニックになっていた。助けを乞う人、助け出そうとする人々、またはそこから早く逃げ出そうとする人。
そして砂煙がおさまると‥‥‥
「な‥な‥な‥なんなんだよ‥‥なんなんだよ!」
「お兄ちゃん‥‥」
神の手を握っていた震える手を更にギュッと握り返す舞。その光景に神は体が震えた。そして首を左右にゆっくりと動かす。
「お兄ちゃん‥‥」
「なんなんだよ‥なんなんだよこれは‥‥ちぃ、ちくしょおおお!!!」
神の目の前には光の物体に‥逃げ遅れた人達が光の物体に押しつぶされた光景が目の前にあった。それはまさに地獄絵図だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます