第13話 ブルードラゴン発進!

緊急発進したレッドドラゴン機のあまりの早さに驚き、目を点にしているメイリは、


「‥‥‥す、凄い!」


呆然と前を見ていた。

そんなメイリにクラリスは


「メイリ!なにボォーとしているの!こちらももうすぐ発進よ!気を引き締めて!」


はっぱをかけた。


「えっ?あっ!は、はい!先輩!」


いきなりクラリスから言われ、慌て出すメイリにギルシェとその横に座っていたギルシェのパートナーの女神候補生のミンバはニコリと笑った。

ミンバはギルシェと違い、見た感じはかなりの美少女。長い髪の金髪が腰まであるストレート。容姿も流石女神候補生!女性らしいとこはしっかりと出ていて引っ込んでいるとこは引っ込んでいる。それに付け加えて、このブルードラゴンチームの女神候補生のリーダーなのだから凄いと来た‥‥‥と、最初はメイリとパートナーのミリィは思っていたが、


「そんなに緊張しなさんなって!メイリさん!」


その言葉使いにメイリとミリィは驚き「えっ?」と。するとそんな二人を見たミンバはギルシェ共々、腰に両手を置き高々と「アハハハ!」と甲高い声で笑い出す。


「姿は違えど中身は一緒なんだ‥‥‥」


そう呟くメイリとミリィ。で、お互いの顔を見て少し落ち着いたのか、二人はニコリと笑った。

その様子を見たギルシェは


「みんな!発進準備を進めるぞ!」


「「「了解!!!」」」


その様子を見ていた操縦席のウインク=マインの横に座る、ウインクのパートナーの女神候補生のムル。髪は金髪でツインテールのこれまたミンバと容姿が似ている。違うところはやはり髪型か。そんなムルが


「流石ギルシェね。あの二人の精神状態を把握して、今はもうチームにうちとけようとしているんだから」


「だね。けど‥ムルもそれぐらい気が利いた人になれば、貴女ならすぐにでも女神様になれるんだけどね」


ウインクが冗談交じりにムルに言うと、ムルが顔を赤くし恥ずかしさを隠すためか


「もお〜う///な、なに言ってるのよ(照れ」」


ウインクの頭をバンバン叩きます。で、ウインクは痛い痛いと言って、


「本当に冗談の通じない子ね‥‥‥」


と、やれやれとした表情をするウインク。


「ウインク!機体の様子はどうか?」


いきなりギルシェが言うので、


「えっ!あっ、はい!異常なしです!」


「うむ!クラリス、エンジンの方はどうか!」


「ハイ!こちらも異常ありません!」


「うむ! メイリ!前方及び整備班の進行状態はどうなっている!」


「ハイ! 前方異常なし!整備班の方も間もなく終わるそうです!」


「うむ!」


そしてそのメイリの返事の後、直ぐに整備班から完了の連絡が来た。


「魔法エンジン出力50‥60‥70‥」

クラリスが数値を読み上げると同時にエンジン音が「キィーン」と音を立てる。


「ブルードラゴン、後方に魔法防壁、展開します!」

メイリが言うと、ブルードラゴンの後ろに透明な魔法防壁が張り巡らされる。


「チーフ!前方オールグリーンです!」

ウインクが計器類と外のシグナルの色を確認した。その言葉にギルシェは頷く。


「90‥96‥‥‥99‥‥‥100!いつでも行けます!」

クラリスが叫ぶ!「キィーン」と甲高い音と「ゴォー」とする音、そしてコクピット内に響きわたる「ビリビリ」とした振動が伝わる。

緊張するコクピット内!メイリの初めての出動!心臓の音が高鳴る!その音が徐々に高鳴る。その音はこのコクピット内に聞こえるのでは、と思える程。メイリは隣に座るミリィの手を握る、ミリィもメイリの手を握り返す。

そして‥‥‥


「ブルードラゴン 発進!!!」


「了解! ブルードラゴン発進!」


ウインクが魔法エンジンのレバーを前にゆっくりと押す。ブルードラゴンが乗った固定されたカタパルトのアームが外されゆっくりと動き、次の瞬間、「ゴォー!」と甲高い音と共にブルードラゴン機は急加速した。それはさながらジェットコースターが頂上から一気に落ちる様な加速。メイリとミリィはその加速による衝撃で「うっ!」と声を出した。


「第一加速域突破! 第二加速域に入ります!」


コクピットの窓から見える五メートル感覚に埋め込まれた誘導灯が徐々に一本の誘導灯に見える、それぐらいの加速になっていく。


「第三加速域に入ります!ブルードラゴンをカタパルトから離脱!」


カタパルトから離れ更に加速するブルードラゴン。「ゴォーワアー!!!」

コクピット内にエンジン音が響き渡り振動が伝わる。


「コクピット降下! 両翼収納!」


広げた翼を収納、コクピットもブルードラゴンの体と垂直になるあたりまで降下した。後部にある尻尾も垂直になるあたりまで動いた。

その姿はまるで一本の矢の様な感じだ!


「第三加速域突破!」


「うむ! 魔法ゲートは!」


「い、行けます!」

メイリが少し苦しみなが言った。


「ヨシ! ブルードラゴン‥ゴォー!」


ギルシェの合図と同時にブルードラゴンの機体全体が青く光り出した。それはまるで光る一本の矢!そしてブルードラゴン機は光の矢になり魔法ゲートの魔法防壁にあたると「バリ!」と音と共に魔法ゲートへと吸い込まれる様に消えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る