異世界に転生した僕は『敵を倒すとかならずスキルを手に入れる』チートな能力で無双する!

なかの

第一話『最初のスキル』

「スライムだ・・・」


僕の目の前には、ぴょこぴょこと、うごくモンスター。

そう、それは、RPGに出てくる象徴的なモンスター、スライム。


「これは・・・異世界転生というやつか・・・」

と、僕は呟く。


そう、今流行の異世界転生。

ライトノベルは、異能バトルから、異世界転生が主流になって、本屋さんには異世界コーナーが必ずあり、アニメの覇権といわれるものも、異世界物が多くなってきていた。


今の状況は、そんな異世界転生の感じと酷似していた。


「トラックに轢かれたりはしてなかったはずだけど・・・」

と僕は呟く。


そう、定番と呼ばれるのは、トラック転生。

猫や子供を助けようとして、かばった所、異世界に飛ばされてしまう、というものだ。


しかし、猫を助けたりした記憶はなかった・・・


「記憶と言えば・・・そもそも・・・最後の記憶もあやふやだな・・・」

と、僕が思っていると、スライムが飛びかかってきた。


「痛っ!!」

と僕はスライムの攻撃で呟いた。


そう、スライムは初心者用のモンスター。

いわゆるチュートリアル的に用意されている

弱いモンスターだ。


しかし・・・


『十分に痛い』


僕はそれを実感していた。


「ただ、HPパラメータが減るわけじゃないんだ・・・」

そう、ゲームだと、HPはただの数字だ。

ゼロにならないように管理するべきパラメータというだけなのだ。HPが減っても動きが遅くなったり、思考力が落ちたりはしない。


だけど、この世界ではそうではない。


「ちゃんと痛い・・・」

と、僕はまた呟いた。


頭の後ろの辺りが熱くなってきているのを感じる。

そう、ダメージはただのパラメータではない。

そして、スライムはまた、こちらを見ている。


「ヤバイヤバイ・・・」

これ以上やられると、普通にまずい。


反撃!


反撃をしなければならない。


「やるしかないか・・・」

と僕は呟いた。


しかし、武器は何一つ持っていなかった。


ブォン!


そして、スライムがまた僕の方に飛んできた。


「おおぉぉぉぉぉ!」

と、僕は言いながら、スライムをしっかり見て蹴りを放った。


すると、綺麗にあたった。

サッカーのボレーシュートみたいに綺麗に当てることが出来た。

ポーン、とスライムは飛んでいき、地面にたたきつけられ、消滅した。


「や、やった・・・」

と、僕は呟いた。


そう、僕はスライムを倒したのだ!

なんとか、異世界最初の危機を乗り切った。

と、思った瞬間、うごく物が目に入った。


「うそ・・・だろ・・・」


そう、僕の目に入ったもの・・・


「黒い狼・・・」

僕はそう言うだけで精一杯だった。


狼。黒い狼。

たぶん名前はブラックウルフが現れた。


「いや、それいきなり強くなりすぎでしょ!」

と僕は、呟いた。


そう、だって、人間は素手では狼に勝てない。


そのとき声が聞こえた。

>『炎弾 - ファイヤーバレット』を覚えました。


「え?」

ぼくは、その声に向かって、呟くだけで精一杯だった。

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