第二十七話『確認と決断』
「あ!」
とユカはそれを見てつぶやく。
そして、同時に美少女斧使いのシズクも頷く。
「ビッグワイルドフォックス」
そう、ワイルドフォックスのボスが現れたのだった。
-
「ボスか・・・」
と僕が言う。
そう、だいたいこういう場合、チームを率いるリーダーがいるものだ。
RPGの世界だと、色違いだったり、少し体が大きかったり・・・
「シズク、今回の依頼って、ワイルドフォックスの退治だけだよね?」
と僕が聞く。
そこを確認しておく必要があった。
この『ビッグワイルドフォックス』と戦う必要があるのか知りたかった。
『ビッグワイルドフォックス』を倒さないと、今回の報酬がもらえないのかがポイントだ。
「そう」
と小さい美少女斧使いのシズクが頷く。
彼女は、今回の依頼はワイルドフォックス三体の討伐だけだという事を教えてくれた。
農家の人から依頼が出ているのは、ワイルドフォックスの三体の討伐だけだと。
「ということは、このまま逃げても依頼達成?」
と僕がシズクに聞く。
そう、つまり一番重要なのはそこだ。
できれば、無傷で、スキルをじゃんじゃんためつつ、報酬を貯めて武器を増やしていくのが、コンテニューの効かないリアルな世界での戦いかたになるはずだ。
「そう。依頼は終わってる」
とシズクが付け加える。
やはり、あの三体を倒すだけで、終わりらしい。
わざわざ、この強そうなビッグワイルドフォックスを相手にする必要はない。
普通は・・・
「ってことみたいだけど・・・?」
と僕は、美少女剣士ユカの方を見る。
「よーっし、やっとおもしろい敵が出てきたわね!」
と、意気揚々と剣を構えるユカ。
「ってなるよねー・・・」
と僕はもユカを見て微笑む。
こうなるだろうな・・・、という事はビッグワイルドフォックスが出てきた瞬間から気づいていた。
ユカの目がすでに輝いていたからだ。
「ねえ、このビッグワイルドフォックスを倒したら何か貰える?」
と僕はシズクに聞く。
逃げるとは違うもう一つの選択肢のメリットを確認する。
「貰える。別の依頼が出ている。事後でも報酬は貰える。」
と小さい美少女斧使いのシズクが言う。
先に依頼を確認するのは、他の人が手を付けているかどうかなどを確認するためなのだろう。
「なるほど・・・」
と僕はつぶやく。
「僕としては戦いたくないんだけど、戦って損するわけでもないというところなのだな」
と状況を整理する。
「じゃ、決まりね!」
と、もう戦う気持ちにあふれている美少女剣士のユカが言う。
「グオオオォォォォ」
とビッグワイルドフォックスが吠える。
「うん、もう完全に見つかっちゃったし、やるしかないか」
と僕がつぶやく。
「スキルもたくさん覚えたし、いろいろ試してみるというのはありか。ミニドラゴンより強いということはなさそうだし」
と僕が覚悟を決める。
「じゃ、やるか!」
と僕は呟いてスキルを発動させる。
「『雷迅 - ライトニング』」
と僕はまだ試していなかった、新しいスキル、雷迅 - ライトニングを発動させた!
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