第二十八話『威力』

「スキルもたくさん覚えたし、いろいろ試してみるというのはありか。ミニドラゴンより強いということはなさそうだし」

と僕が覚悟を決める。


「じゃ、やるか!」

と僕は呟いてスキルを発動させた。


「『雷迅 - ライトニング』」

と僕はまだ試していなかった、新しいスキル、雷迅 - ライトニングを!


-


バチィ、バチィィィィィィィ

と僕の両手から雷が発生している。

そのエネルギーにより僕の髪の毛が少し逆だっているのがわかる。


「す、すごい、何だこれ!」

と僕がつぶやく。


さっき、ワイルドフォックスを倒して手に入れた、三つのスキル。


『二重跳躍 - ダブルジャンプ』

『急高跳躍 - ハイジャンプ』

『雷迅 - ライトニング』


この三つのスキルのうち、最後のスキルを試していた。

ビッグワイルドフォックスが近づいてくる前に。


「ケンジ、なにそれ!」

と美少女剣士のユカも言う。


「いや、わからない。『雷迅 - ライトニング』というスキルらしい。文字から考えると、電撃がでるスキルだと思う」

と僕は言う。

実際僕の両腕は、雷に包まれている。


「これは、凄そう。」

と僕は言う。

そして、ビッグワイルドフォックスが来る前にためしうちしたい。

いきなり実践に投入する勇気はない。


「ちょっと試めしうちしてみる!」

と僕が言う、ビッグワイルドフォックスは近くまで来ているが、戦闘開始までわずかにある。

さっき『急高跳躍 - ハイジャンプ』して、ビッグワイルドフォックスが僕らに気がつく前に、遠くから先に見つけていたからだ。


「試めしうちってどこに??」

と美少女剣士のユカが言う。


「とりあえず・・・、これか!」

と僕は、近くにあった岩を指差す。

大木もあったのだが、もし、そこにりんごでもなっていたら、せっかくの害獣退治なのに、僕が害獣になってしまう。

そしたら僕が討伐されてしまう・・・。


「よし、いくぞ!」

と僕は構える。

空手とかを習ったことがあるわけではないので、まったくもってパンチの打ち方は自己流だが。


バチィバチィィィィィィ


両手が電撃に包まれている。

その手を、一回引いて、構えてから、岩に向かって・・・


打つ!


「よっ!」

と言いながら僕は、パンチを繰り出した。


ドカァァァァァァン


大きな音がして、岩が砕けた。


「これは、なかなか、すごいね」

と僕がつぶやく。


「すごいじゃない、そのスキル!」

と美少女剣士のユカも驚く。


「グオオオォォォォォ」

と、その音を聞いたのか、大きな唸り声を上げて、ビッグワイルドフォックスが近くまで来る。


「よっし、ケンジの新しいスキルもあるし、今度も楽勝ね!」

とユカが微笑む


「今度『も』??」

と僕が笑う。


「そう、今度『も』よ!」

とユカは笑う。


「そうだね、戦闘開始だ!」

と僕がつぶやく。

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