第三十七話『意識を飛ばすパンチ』
「そして、最後は、加速できる『加速移動 - アクセルダッシュ』なのね!」
と美少女剣士のユカは三つのスキルの特性を理解して、僕が今回、ビッグワイルドフォックスの背中に乗るためにしたことを理解した。
「そう、そうやって、ここに辿り着いたのさ!」
と僕は言って、最後のスキルを発動させる。
-
僕はやっとたどりついた。
この位置まで。
そう、ビッグワイルドフォックスの背中に!!
「『雷迅 - ライトニング』!!」
と僕は叫ぶ。
バチィ、バチィィィィィィ
両手に電撃が奔る。
今僕が持つ、最強のスキル『雷迅 - ライトニング』。
僕の体術でも当てられるこの位置に僕はたどり着いた。
「そう、根性で耐えられない、攻撃を与えられるこの場所まで!!」
と、僕が言う。
ワイルドフォックスたちのボス、ビッグワイルドフォックスは、根性がありすぎて、美少女剣士のユカが攻撃を与えても、小さい美少女斧使いのシズクが斧で斬りかかっても、おっとりねお姉さんのハルカが魔法弾を放っても、根性で耐えてしまう。
「ボクシングでいうと、根性がある人はボディをいくら食らっても、耐えてしまうらしい。つまりアッパーなどで意識を飛ばさないかぎりKOで倒すことができない」
と僕が言う。
電撃の拳をビッグワイルドフォックスに当てるための態勢を得ようとしながら。
「つまり、それと同じことをやるのね!」
と、美少女剣士のユカが僕の発言の意図に気がついた。
「そう、地味な移動スキル、『急高跳躍 - ハイジャンプ』、『二重跳躍 - ダブルジャンプ』、『加速移動 - アクセルダッシュ』を組み合わせて、この、ビッグワイルドフォックスの背中にきたのはそのためだ!」
と僕は言いながら、バチィバチィィィィィィと電撃を放っている、両手を見た。
「グオオォォォォォ」
とビッグワイルドフォックスは、背中に乗られて、かなり不機嫌になって、暴れだそうとしている。
「さすがに、暴れすぎだよね。うちの女の子たちを二人も吹き飛ばして!」
と僕が怒りを露わにする。
「そこ、気にしてたのね!」
と美少女剣士のユカが僕の発言を聞いて笑う。
「そう、そういえば僕も吹き飛ばされたんだった」
と僕は笑う。
「まあ、ついでに、それの分も」
と僕は言う。
「グオオオオォォォォ」
とビッグワイルドフォックスが大きく唸り声をあげて暴れだす。
「この状態になってから暴れても遅いんだよね。勝負はもっと手前で決まってる」
と僕は言う。
そして、ちょうど攻撃が与えられるタイミングをみつけた。
いまだ!!
「おおおぉぉぉぉぉぉ!!」
と言いながら僕は、ビッグワイルドフォックスの後頭部にパンチを繰り出す。お世辞にもよいパンチとは言えないが、それで十分だった。
「電撃をまとったこの拳ならパンチ力は関係ないよね!!」
と言って僕は、『雷迅 - ライトニング』を纏った拳をビッグワイルドフォックスの後頭部に当てたのだった。
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