第三十二話『当てる』

「派手そうなのはこのスキルだけだよなー!」

と言いながら、さっき手に入れて、攻撃力の確認もしてある、この電撃のスキルを発動させた。


「『雷迅 - ライトニング』!!!!」

と僕は現時点で最強のスキルを発動させた。

バチィバチィィィィィと僕の両手から電撃が溢れ出る。

岩を一撃で破壊できる力を持つこのスキルが今僕が持つ中で最強だ。


「戦闘開始と行こう!」

僕は、ビッグワイルドフォックスに向かって言った。


-


バチィバチィィィィィ


僕の両手から、光と音があふれる。


「行くぞ」

と僕が言う。


そもそも光や音というのは、エネルギーがあふれる時に発生するという。

100%エネルギーが伝達出来てるときには発生しない。


漏れてしまうほどの大きな力ということだ。


「とは言うものの、さて、どう当てるか」

と僕はつぶやく。

強力な力も当てなければ、ただのもちぐされになってしまう。そして、敵に攻撃を当てるのは難しい。


「ユカやシズクのように、相手の攻撃をさけて、当てることは僕にはできないだろうし」

と僕は考えを進める。


そう、この世界でしっかりと訓練を積んでいる、美少女剣士のユカと小さい美少女斧使いのシズクは、相手の攻撃を避けつつ攻撃したり、倒れているところをしっかり狙える。


「ということは、これしかないか!」

と僕はつぶやく。


ドカアアアアアァァァン

僕はまた大きな岩を破壊した。


「グオオオォォォォ」

とビッグワイルドフォックスが唸る。

ビッグワイルドフォックスの狙いは僕に定まった。

彼は僕を狙ってくる。


「何をする気なの?」

と美少女剣士のユカが叫ぶ。


「迎え撃つ!」

と僕が言う。


美少女剣士のユカみたいに、走りつつ、方向を変えて、攻撃を当てる、みたいなことは僕には出来ない。

ということは来てもらうしかない。


「そして、このスキルなら、当てるだけで十分なはずだ」

と僕はバチバチと鳴り続けている両手を見る。

『雷迅 - ライトニング』

これを当てる。


それだけに集中する!!


「グォォォォォ」

とビッグワイルドフォックスが僕の方に向かって走り出してくる。


「いやぁ、ほんと怖いね、大きいものが高速で向かってくると、ほんと怖いよ」

と、僕は、向かってくるビッグワイルドフォックスを見て言う。


「グオォォォ」

ビッグワイルドフォックスは姿勢を上げて左足を上げて振り下ろしてくる。


「ケンジ!!」

とその様子を見ていた、美少女剣士のユカが叫ぶ。


「いくぞ!」

と言いつつ走る。


「うおおぉぉぉぉぉ」

と僕は言いながら、攻撃してない方の右足めがけて、『雷迅 - ライトニング』に包まれた拳を当てた!


バチィィィィィィイ


大きな音が鳴り響く


「あ、当てた!!」

僕はなんとか、当てた、いまの自分の体術でできる最高の動きができたと思う。


「ケンジ、すごい!!」

と美少女剣士のユカは叫ぶ。


「グオオォォォ!」

ビッグワイルドフォックスはダメージを受けて咆哮した。

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