第三十一話『与えられた物』
「こんどは、ダメージを受ける前に助ける!!」
と僕は言いながら、小さい美少女斧使いのシズクをキャッチして通り抜け、ワイルドフォックスの攻撃を空振りさせた。
「ビッグワイルドフォックス、君のタフさはもう知ってる!」
と僕はそう言って笑った。
-
「ケンジ」
と小さい美少女斧使いのシズクは僕にお姫さま抱っこされながら呟いた。
そして、顔を少し赤くしている。
「ありがと」
とシズクはさらに付け加えた。
そして、ますます顔が赤くなっているようにみた。
その、表情が元々かわいいシズクをますます可愛く見せた。
「ちょっとー!!ケンジいつまで抱き合ってるのよ!!」
と、美少女剣士のユカが僕の行動にクレームを出した。
そう、抱っこした、シズクの可愛さに見惚れて、ずっと見つめていたからだ。
「緊急事態だからしょうがないだろ!緊急避難だよ緊急避難!」
と言いながら、やさしく小さい美少女斧使いのシズクをそっと、下ろす。
女の子は優しく扱うべきというのはさすがにわかっていた。
「ありがと、ケンジかっこいい」
と小さい美少女斧使いのシズクが顔を赤くさせながらそういった。
彼女は口数は少ないが、思ったことは率直に言うタイプのようだった。
「ありがとう!」
と僕は褒められたことに対して、素直に感謝の言葉を返す。
「しかし、さすがに、女の子を抱っこしてばっかりだと、ヒーローっぽくないよね」
と僕は笑う。異世界に来て、無双スキルを持っているということは、たしかにヒーローなはずなのだが、やっていることと言えば、女の子を抱っこして、攻撃を避けているばかりだ。
「いかんせん、スキルが地味なものばっかりなんだよなー!」
と僕は、スキルガチャに対する文句を言った。
そう今まで出ているスキルは
『炎弾 - ファイヤーバレット』
『氷雪床面 - アイスフロア』
『二重跳躍 - ダブルジャンプ』
『急高跳躍 - ハイジャンプ』
『雷迅 - ライトニング』
という、無敵スキルというには程遠い、地味なスキルばかりだった。
「とはいえ、与えられた武器で戦うしかないのは間違いない」
と僕はつぶやく。
無双スキルがある人は使えばいいし、無限の魔法力がある人は使えばいい。
僕にあるのは、『完全獲得 - パーフェクトスキルゲッター』
敵を倒すたびにスキルを覚えるスキルだ。
これをうまく使うのが僕に求められていることだ。
「派手そうなのはこのスキルだけだよなー!」
と言いながら、さっき手に入れて、攻撃力の確認もしてある、この電撃のスキルを発動させた。
「『雷迅 - ライトニング』!!!!」
と僕は現時点で最強のスキルを発動させた。
バチィバチィィィィィと僕の両手から電撃が溢れ出る。
岩を一撃で破壊できる力を持つこのスキルが今僕が持つ中で最強だ。
「戦闘開始と行こう!」
僕は、ビッグワイルドフォックスに向かって言った。
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