第十六話『二人の力』

「ユカを、ミニドラゴンに攻撃できるところまで連れて行く!!」

そう言って僕はスキルを発動させた!


「え!?」

とユカは驚く。


「よし、行くよ!!」

と僕は言った。


---


「私を、ミニドラゴンに攻撃できるところまで連れて行く・・・?」

と、美少女剣士のユカは僕に聞く。

突然お姫さま抱っこをされて、謎の説明をされているのだから、当然と言える。


「そう、ユカ一人では届かなくても、二人で力を合わせたらできる」

と僕は言う。


「二人の力?」

と、美少女剣士のユカは僕に聞き返す。


「そう、僕のスキルとユカの攻撃力だ」

僕は説明する。


「ケンジのスキル・・・?『加速移動 - アクセルダッシュ』ね」

ユカは僕のスキルを思い出して言った。


「そう、お姫様抱っこしてても、発動することは、実験済みだからね!」

と僕が笑う。


そう、さっき、彼女を助けるために、『加速移動 - アクセルダッシュ』を使ってそのまま抱きかかえて、ミニドラゴンの攻撃を避けたのだった。


「その実験が必要だったんだ。なにかオブジェクトにぶつかったら、スキルがキャンセルされる可能性もあったからね」

と僕はつぶやく。そう、少しずつ試して、この世界のルールを確認していく必要があったのだ。


そして、今回はその実験がすでにすんでいる。


「あれはその実験も兼ねてたのね・・・」

とユカが笑う。


「よし、そろそろ行くよ」

と美少女剣士のユカをお姫様抱っこしたままの僕はそう言う。


「わかったわ!よろしく頼むわね!」

と美少女剣士のユカは僕の作戦を完全に理解して、その作戦に乗ることにしたらしい。ギュッと僕の首の後ろに手を回し、ぎゅっと掴む。


「ふふ、ドキドキするな」

と僕はつぶやく。


それが、ユカに抱きしめられて、ドキドキしているのか、ドラゴンと対峙してドキドキしているのか、もはや区別はつかなった。いわゆる、吊橋効果ってこれか!と思った。


「なるべく高くまで運ぶのよ!」

といつものユカのテンションに戻って言った。


「オッケー!」

と僕は言ってスキルを発動させる。


「よし、いくぞ!!」

と僕は言う。


「よっ!」

と美少女剣士のユカを抱いたままジャンプする。

そして、スキルを発動させる。


「『加速移動 - アクセルダッシュ』!!」

と僕は叫ぶ。


そして、そのまま高く・・・



『飛んだ』



「よし!」

と僕はつぶやく。

そう、このスキルは移動ベクトル方向の動きを加速させる能力なのだ。

物理条件を無視できる。


この世界ならではの特別な力なのだ。


「すごい!思ってた以上に飛んだわね!」

とユカは楽しそうに言う。


「よし、そのまま僕を蹴って、もっと高く飛ぶんだ!」

と僕は彼女が脚力を存分に出せる態勢に変えた。


「せっかくだから、もっと、お姫様抱っこを楽しんでいたかったけどね!」

とユカは笑った。


「よし、行くわ!!」

と言って、彼女は僕を踏み台にして、大きく飛んだ。

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