第二話『最初のスキルと美少女』
そのとき声が聞こえた。
>『炎弾 - ファイヤーバレット』を覚えました。
「え?」
ぼくは、その声に向かって、呟くだけで精一杯だった。
-
「これはいったい・・・」
と僕はつぶやく。
多分僕にだけ聞こえている声が、僕にスキルを伝えていた。
「『炎弾 - ファイヤーバレット』・・・」
そう僕はもう一度つぶやく。
「たぶん、炎を放つスキルなんだろうけど・・・」
僕は、そうつぶやき予測した。
そして、問題点に気がつく。
「当てられるのか・・・」
そう、遠隔攻撃のスキルには射撃の腕が必要だ。
FPSゲームであればエイムと言われる、的を中心に入れる能力がゲームの勝敗を決めるレベルで難しい。
一日中エイムの練習をしている人がいるくらいだ。
「そして、たぶん、黒い狼さんは高速で動く・・・」
そう、呟いた瞬間、黒い狼がこちらを見た。
「目があってしまった・・・」
その狼が臨戦態勢に入ったのがわかった。
「やるしかない・・・」
そう言って僕は、狼の方に手を向ける。
「スキル、使えるといいな・・・、そして当たってくれ!」
と僕は願う。
「『炎弾 - ファイヤーバレット』!!」
僕は、黒い狼に向けて、そう叫ぶ!
すると、ゴォォォォォっと、音が鳴り光が集まる。
「これは、マジで出るのか・・・炎が!」
と僕が喋るやいなや、炎が黒い狼に向かって飛び出していく。
そして・・・
バアァァァァァン、と大きな音がする。
「あ、当たった!!」
そう、僕が放ったスキル『炎弾 - ファイヤーバレット』が黒い狼に向けて飛んでいき、それが当たり、煙を上げていた。
「こ、これは、やったか・・・?」
そうつぶやきながら、煙の先を見ている僕。
しかし、その煙の先には影があった。
「うそ・・・だろ・・・」
そう、そこにはまだ黒い狼が立っていた。
「グルゥゥゥゥゥウ」
と、黒い狼はうなりを上げている。
「弱かったか・・・」
せっかくのスキル、せっかくのヒット。
それを持ってしても、この黒い狼を倒す事はできなかった。
そして・・・
「確実に怒っているよなー・・・」
そう、黒い狼に中途半端なダメージを与えてしまったため、モンスターの怒りも最高潮に達しているだろう。
逃げるという選択肢も難しそうだ。
そして、僕めがけて、黒い狼が走りだした!
「これは、おいしくいただかれちゃう感じか・・・」
そう、美味しくいただかれてしまう。
異世界に転生した瞬間、モンスターに美味しくいただかれてしまう。
僕らがそういう小説を読むことはないが、そういう事例もたくさんあるのだろう、僕らが読む小説はだいたい無双するけど・・・
そう思った瞬間
「そこ、動かないで!」
と、少女の声が聞こえて、僕の前を人影が通り過ぎた。
「え?」
と僕が言う間もなく、その少女は、美しいモーションで、黒い狼、ブラックウルフに斬りかかって、一瞬で倒した。
「す、すごい!!」
僕は、その光景を見て、そうつぶやくのが精一杯だった。
「良かった!間に合ったわね!」
その少女はにっこり笑ってそう言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます