第六話『ルール考察』
なぜならこの『完全獲得 - パーフェクトスキルゲッター』は、いままでの傾向を見る限り、たぶん・・・
『敵を倒すたびに必ずスキルを手に入れる』
という超チートスキルだからだ・・・
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「たぶん、バグレベルのスキルなんだよな・・・」
と僕は、『完全獲得 - パーフェクトスキルゲッター』という『敵を倒すたびに必ずスキルを手に入れる』スキルについて考えていた。
これは、歩く度にレベルが上がる、クラスのバグに匹敵すると僕は思っていた。
レベルデザインに問題があるレベルだ。
そう、ゲームバランスが崩れるむちゃくちゃなスキルなのだ。
「バグ??」
と、美少女剣士のユカが不思議そうな顔をしてこちらを見ていた。
「いや、気にしないで、こっちの話・・・」
と僕はつぶやく。この世界にはゲームというものはなさそうだし、バグという言葉は伝わらないだろう。
バグのようなスキルとはいえ、このぐらいのチートスキルがないと、僕はこの世界で生き残れない。
運動神経のかけらもない僕がこの、皆が鍛えているような世界で生きていくには、多少多めにスキルもらってるぐらいじゃないと釣り合わない。
「なにやら難しいことを考えてるようね!」
と、美少女剣士のユカが笑った。
そして、僕には気になることがあった。
「そういえば僕はブラックウルフを倒してない・・・」
そう、僕はブラックウルフにダメージを与えたが、僕がトドメをさしたわけではない。
つまり僕が一人で倒したわけではない。
なのにスキルを憶えている。
「なによ!ほとんどケンジが倒したようなものよ!」
わたしはちょっとトドメをさしただけ!と美少女剣士のユカは答えた。
「なるほど」
つまり、チームで倒したと認識されたのかもしれない。チームで倒したら全員の経験値になるということなのだな、と理解した。
たいていのRPGはそういうものだ。
もしかしたら、なにもしなくても、彼女達と一緒にいれば、どんどんスキルを覚えるのかもしれない。
「チームに入れてもらえるということは、僕にとってとてもありがたいことかもしれない・・・」
と僕はつぶやく。
「いまさら何いってんの!気にしなくていいわよ!わたしがいれば百人力よ!!安心しなさい!!」
とユカは僕の意図を気にせず笑っていた。
「たしかに、ユカは強いけど、調子にのりすぎ・・・」
と、小さい美少女のシズクが言う。
「そうね、ユカちゃんは謙虚という言葉を覚えたほうがいいかもね」
と、おっとりお姉さんのハルカもクスクスと笑う。
「謙虚ね!しってるわよ!ソードスキルの一種でしょ!」
「いや、『謙虚』の『ケン』は『剣』じゃない!!」
とシズクがスパッと突っ込んだ。
そのやり取りを見て、一通り笑った後、僕はずっと気になっている事を聞くことにした。
「ところで君たちは何と戦っているの?」
僕は聞いた。
そう、僕をわざわざチームに誘うということは何か目的があるのだ。
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