6話

バイトでお金を貯めるのも大切だし、勉強大切。

でも友達との関係も大切。

勉強やバイトばかりだと友達が離れていってしまう。

だからこちらも大切にしないといけないのだ。

今日は緋紅と#青緑__さふぁいあ__#こと愛称みどりの私と三人でお買い物に来ていた。

食事を入れて考えた予算分しか持ってきてはいないので無駄に遣うこともないだろう。

緋紅や青緑、私もそうだけどキラキラネームで入学した当時は先生達は誰も読めなくて大変だった。

慣れるまで先生によく名前を聞かれた。

私の名前がキラキラネームに入るのかは分からないが読みづらいのは確かだろう。

「ねぇねぇ、そろそろお腹空かない?」

と、みどりが言ってきた。

携帯で時間を確認したら既に一三時を回っていた。

言われるまで全然気づかなかった。

「確かにそろそろ昼ごはんにしようか。

何食べる?」

「マックスハンバーガー」と緋紅が言った。

これは毎回遊びに行くと緋紅が言うのだ。

彼女はそこのハンバーガー屋のハンバーガーが大好きなのだ。

「良いよ」

「私も」

セットで頼んでも六五〇円だし私のお財布にも優しいので基本的には否はない。

「柚利愛、バイトしてるなら奢ってよぉ」

と緋紅が甘えた声を出してくる。

因みにバイトを一つ増やしたことは友達には言ってない。

「・・・・そんなお金はない」

「えぇっ!なんでぇ!バイトしてるじゃん!」

「卒業したら一人暮らししたいから貯めてるの」

「一回分ぐらいいいじゃん!

今月はピンチなんだもん」

頬を膨らませてなおも食い下がる緋紅

顔や口調からふざけているように見えるが彼女の中で本当に冗談になっているのか私には分からない。

彼女にとって私は宿題を見せてくれる#便利な友達__・__#なのだ。

で、ある以上はこれが冗談に見せかけた本気ということもある。

でも一度を許せば何度もたかってきそうだし、由利や母だけではなく緋紅までお金を強請られたらたまったものじゃないし、第一そうなったら働いている私が馬鹿みたいじゃん。

「緋紅は毎月お金がピンチじゃん。

たまには柚利愛を見習って貯金でもしたら?」

「ムリ。誘惑が多すぎる」

「ハンバーガーだけなら大して高くないし、私と柚利愛がセットで頼むから分けてあげるよ」

「まじ!?うわっ。マジで神。

ありがとう。みどり、柚利愛」

ルンルン気分で先に行く緋紅に聞こえないようにみどりが忠告してくれる。

「私さ、緋紅と中学一緒なんだけど気を付けた方が良いよ。

あの子、本当に計画性がないからよく奢ってって言ってくるから。

それが嫌で友達関係を何度も切られてるから」

「・・・・知らなかった」

「同中では結構有名だよ。

だから高校上がった時点で友達関係を切ってる子も居る」

「友達の多い子だからそんなふぅには見えないのに」

「性格は気さくだし、一応人見知りが微妙に入っているから最初は誰にも分からないんだよ。

でも慣れてくると遠慮がなくなるから」

無遠慮な子だなとは薄々思ってはいた。

「まぁ、面倒になったら友達切っちゃえば良いよ。

高校からの子でそうしている子も何人か出始めているみたいだし。

正直、私は柚利愛に付き合ってるだけで緋紅のことを友達だとは思ってないから」

「・・・・そうなんだ。気を付けておくよ」

でも一番信用できないのは忠告をしてくれるみどり、なんだよね。

知り合って一ヶ月では彼女のことを何も知らないに等しいので判断はできないが忠告して貶めてくる人も居るので。

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