21話
三日間の謹慎処分をくらった。
母は私に興味がないのか家に居ても特に何も言ってこなかった。
前は微熱の時でも学校に行けと言って行ったのに。
気分屋だから今回はそんな気分ではなかったのでスルーされたのだろう。
有難いが、大方サボリだとでも思っているのだろう。
何も言われないが睨まれて溜息をつかれた。
援助交際の疑いで謹慎処分をくらったとバレるよりかはサボリの方がいいだろうと思って私は何も言わないことにした。
どうせ何を言っても無駄なのだ。と、いう気持ちもあった。
誰も私の言うことを聞かない。私がいつも悪いのだ。
人と違うから言葉が通じないのだろうか?
人間と獣、日本人と外国人が言葉が通じないように。アルビノである私と一般人の言葉はどうあっても通じないのだろうか。
なぜ、ここまで邪険にされる?
人と違うのはそんなにもいけないことだろうか?
ありもしない罪を被せられてまで排除されなければいけない程の罪だろうか?
なぜ、人と同じでなければいけない?
なぜ、違うことはいけないことなのだろうか?
私はそんなことを考えながら三日間を過ごした。
この謹慎はある意味丁度良かったのかもしれない。
緋紅と面倒な関係になったし。まぁ、三日間顔を合わさなかったからって何かが変わるわけでもないけど。
小・中学生の時には人間関係で悩む必要がなかった。
悩めるような相手はいなかった。
いつも一人だったから。ある意味、楽なのかもしれない。
一人だった時には決して気づけなかった苦労だな。
◇◇◇
三日間の謹慎を終えて学校に行くといつもの日常が待っていた。
どうやら私のことは周りに出回っていないようだ。せいぜい、体調不良と言うことにでもなっているのだろう。
「あっれぇ~。久しぶりじゃん、柚利愛」
ニヤニヤと笑いながら緋紅が来た。本当に面倒なことになった。と、私は苦笑した。
「てっきり逃げたのかと思った」
逃げた?ああ、そうか。確かにあれはタイミングが悪かった。
机に菊を飾られてからの謹慎処分だから、緋紅はあれが思いのほか私の精神にダメージを与えて、私を不登校にさせたと思ったのだろう。
あれしきのことで不登校になる生徒はいるのだろうか?
「そう言えば、委員長が柚利愛は援助交際をしてるって言ってたけどぉ」
「どうせ、嫉妬でしょう。誰も相手にしてないことをバラ素必要はないじゃない。先生も否定してたし」
ぎろりとみどりが緋紅を睨むが、緋紅は気づいていないのか無視しているのか、ニヤニヤと私のことを見ていた。
成程、やはり援助交際の告発者はやはり委員長か(冤罪だけど)。
言いふらしてみたけど、彼女が私に対抗心丸出しなのは普段の態度から周囲にもろバレ。
そんな彼女が何を言っても誰も相手にしないわけだ。
委員長は真面目だけど、真面目過ぎて少しの融通も利かないから周囲に浮きまくっている。
真面目なのは悪いことじゃない。問題はそれを周りに強要することだろう。
価値観は人それぞれ。価値観も正義も強要されるべきものではない。
視線を委員長の方に向けると委員長は一人で参考書を睨むように見ていた。
余裕のない人がする顔だ。
「でもさぁ、みどりぃ。柚利愛だったらありだって思わない?」
「あんたはまた」
私が視線を委員長に向けている間も二人の話は続いていた。
「いいよね。アルビノってだけでモテて。素材とか関係ないもんね」
ニッコリと笑って緋紅が言う。
そこで私は視線を緋紅に戻した。
何も知らない人はアルビノを嫌悪するか、そうやって羨ましがる。
『アルビノだからモテる』
これもまた一種の偏見だ。
「次に生まれる時はあんたみたいに能天気な人に生まれたいわ」
私はそう言って自分の席に行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます