7話

 「ねぇねぇ、彼女、良かったら俺らと遊ばない?」

 「そっち三人でしょ。丁度俺らも三人いるし」

 私達がマックスバーガーを目指しているといかにもチャラそうな男達が三人、私達の前に現れた。

 「えぇ、どうしようかなぁ」

 思わせぶりに選別するような目で緋紅は男達を見つめた。

 ・・・・・ここは断りたいんだけど、まさかついて行くなんておことは言わないよね?

 私は三人の男達を見た。

 三人ともナンパするだけあって、顔はまぁ常人よりは多少整っているといったところだ。

 ただ私は普段から店長や昇さんを見ているのでイケメンには耐性がある。

 あの人達を普段見ていたちょっと顔が良い危ない男に引っかかったりはしない。

 「ごめんね、今日は男はなしな感じの気分なの」

 緋紅のお眼鏡にも叶わなかったようだ。

 あっさちフル緋紅を見て私とみどりはホッと胸を撫で下ろした。

 「えぇ!じゃあさ、そっちの彼女だけでも俺らと遊ばない?」

 「は?」

 なぜか彼らは私の手を掴んで強引に自分達の陣地に引きずり込もうとした。が・・・・

 「悪いね、そっちは先約済み」

 聞きなれた声がして私の肩を掴んでいるのは店長だった。

 店長は今まで見たことがないぐらい鋭い目つきで男達を威嚇していた。

 「んじゃ、理解できたところでその手を放しましょうか、お兄さん方」

 店長に睨まれ動けなくなった私の手を掴んでいる男の手を遠間が掴んで捻った。

 「いてぇぇぇっ」

 ギシギシと骨の音が聞こえそうなぐらい強く掴んでいる。

 「さっさと引き下がった方が良いぞ。じゃないと、警察を呼ぶぜ」

 と言って男達の後ろから現れたのは司さんだ。

 「くっそ!覚えてろよ」

 と、古い悪役の捨て台詞を残して男達は一目散に退散していった。

 「小物の顏なんかいちいち覚えてるかよ」

 呆気に取られている私達を尻目に司は逃げていく男達に悪態をついた。

 「柚利愛、大丈夫か?」

 「え?あ、はい。ありがとうございます」

 「ああ。ちょっと手を見せて見ろ。あぁ、やっぱ赤くなってんな。

 ちゃんと冷やしておけよ」

 「あ、はい。あの、三人はどうしてここに?」

 「ん?俺ら?たまたま買い物に来てただけだよ。

 店に置く食器とかを探しにな。ちょっとレイアウトも変えたいと思っていて」

 「そうなんですか」

 「お店やってるんですか?」

 私達の会話を聞いていた緋紅が我に返り私と店長の間に割って入る。

 その目はキラキラしており、それは喫茶店に来る女子やちらちらと横を通り過ぎながら見てくる女子達と同じ目だった。

 「ああ。シャノワールっていう喫茶店な」

 店長はホストもやっていたし、そういう眼は日常茶飯事だから気にしてはいないのだろうが今、私達はかなり目立っている。

 何せ、店長を始め、昇さんも、遠間さんもみんな見た目が良いから。

 しかし、そこに私が含まれていることは当然のことながら気づいてはいなかった。

 店長に目をキラキラさせながら話す緋紅とは違い、周囲の視線が気になるのかみどりはとても居心地が悪そうにしていた。

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