5話
最悪。
希空とシャノワールに行ってから一週間
柚利愛が元ホストと付き合っていることとか私が柚利愛からお金を巻き上げているという在りもしない噂が学校で出回って、みんな遠巻きに私を見て、ヒソヒソと話している。
噂の出どころは当然、希空だ。
周りの視線がうざい。
昨日のシャノワールの店長も最悪だった。
だから行きたくないって言ったのにそれを無視して希空が無理やり連れて行くから。碌なことにならない。
本当に柚利愛と希空のせいで碌なことにならない。
私はヒソヒソと馬鹿みたいに話す馬鹿なクラスメイトを見て溜め息を一つつく。
本当にうざい。
◇◇◇
由利と朔さんの間に何かがあったのは分かる。でも、何があったのかは分からない。
朔さんに聞いてもさりげなく躱されて教えてくれない。
元ホストだけあって会話でなかなか主導権を握らせない。ホストとはやっぱり会話が上手くないとできないんだろうなとぼんやりと思った。
由利は学校でも上手くいっていないみたいで学校も休みがちだ。
お母さんはそんな由利を見て何も言わないし、何もしない。行きたくないのなら無理に行かせる必要はないと言っている。
そんなんでいいのだろうか。私の時には熱があったも行かせたくせに。と、ちょっぴり思った。
「由利は今日も休んだのか?」
仕事で遅く帰って来た父にご飯を温めて、出す。
「みたいね」
「みたいじゃなくて、何かした方がいいんじゃないの?」
「何かって何よ」
正直あまり関わりたくない。
ここ最近、由利はずっとイライラしてるし、わざと肩にぶつかってきたり、テーブルやソファーの上に乗っている私の物をわざと床に落としてふんずけたりする。
それだけでもムカつくのに「ちょっと!」と怒り気味に声をかけると「へぇ?何?」ととぼけた声ととぼけた顔をするのだから余計にムカつく。
「柚利愛は由利の双子の姉だろ。由利が困っているのなら助けるべきじゃないのか?そんな、他人事みたいに」
「だって他人事だもん」
「冷たい奴だな、柚利愛は」
どっちが。
「そんなに言うんならお父さんがどうにかしたら。#父親__・__#なんだから」
「俺はお前。疲れて帰ってるのに。お前達の為にいつも頑張って働いてるんのにそこまでこき使うなよ」
「私だってアルバイトしてる」
「お前は自分の小遣い稼ぎの為だろ。生活を支える為に働いたらそれがどれけ大変か、お前も働きだしたら分かる。飽きたら直ぐに辞められるアルバイトとは違うんだぞ」
「私はそんないい加減な気持ちで働いているわけじゃないっ!」
いつだってそうだ。
お母さんもお父さんにも由利も「自分の方が大変。自分が一番苦労している」と言う。自分が、自分が。そればっかりだ。そして「お前は」と貶める。苦労知らずの子供。それが私の立場。
くだらない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます