2話
誕生日プレゼント
予算は五〇〇〇円
私は五〇〇〇円以内で収まるものを探した。
本当は欲しい物があったんだけどちょっとオーバーするから諦めた。
「私、これがいい」
そう言って嬉しそうに由利が持って来たのは今流行っているアニメの変身グッズだった。
それは一〇〇〇〇円以上もした。
私は驚いた。
それはさすがに無理だろうとも思った。
でも、母は「良いわよ。今日は#由利の__・__#お誕生日だもんね」と言った。
「ありがとう。ねぇ、早くこれで遊びたいからもう帰ろ」
「そうね。柚利愛、早くしなさい」
由利は誕生日プレゼントが決まった。
だからもうここに居る理由はなくなったのだ。
でも、今日は私の誕生日でもある。
だって、私と由利は双子だから。
誕生日は同じなのだ。
「・・・・もう決まった」
「そう。なら帰るわよ」
私は一番欲しい物を諦めて別の物を買ってもらった。
予算オーバーする物を強請っても買ってもらえないだろうし、何よりも雷が落ちるのが怖かった。
由利も、母も、父もみんな笑っている。
だから、楽しい時間に余計な水を差したくはなかったのだ。
喩え、晴れ晴れとした三人の心とは違って、私の心が土砂降りの雨でも。
◇◇◇
「おい、お化けが来たぞ」
「本当だ、お化けだぁ」
「こっち来んな、気持ち悪い」
小学校に上がった。
初めて見る同い年の子供達は私の姿に驚いた。
遠巻きで見ながらヒソヒソと何かを話していた。
そして、私の存在に慣れると今度は虐めが始まった。
真っ白な肌と白金髪に青みのある目
一般的な日本人の容姿とそれは全くの別物で私が虐めの対象にされるのは当然のことでもあった。
「痛いっ、止めて」
同じクラスメイトの男の子が私の髪を思いっきり引っ張った。
「うるせぇ!お前は化け物なんだから退治されなきゃいけないんだよ」
「おい、みんな化け物退治しようぜ」
「やるやる」
何人もの人が私を取り囲んで私を床に押し倒し、お腹や足、腕などを蹴ったりした。
髪を思いっきり引っ張られて何本かブチブチと抜かれた。
どんなに「止めて」と言っても誰も止めてくれなかった。
人と違う容姿
それはこんなにも理不尽な暴力を受けないといけない程の罪ですか?
人と違うだけで私は排除されるのですか?
泣き叫んでも喚いても誰も私を助けてはくれなかった。
みんな笑いながら私を蹴り続けた。
蹴られた場所が内出血を起こしてもみんな気にも留めなかった。
一度、廊下を通る先生の姿があった。
目が合った。
でも先生は何も言わずに素通りした。
教室の窓からみんな私に何をしているのかを見ているくせに先生は助けてはくれなかった。
アルビノである私には人としての権利さえ持たせてもらえないですか?
アルビノは人ではないと判断されますか?
助ける価値もないと思われるほど罪深き存在ですか?
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