概要
箱の中の王様
「あれは墓標ですよ。昔は海に浮かんでいたのですがね」
「ここは森よ。いくら時間が経ったからって、海が森になるまでの時間、あの船は待っていたとでもいうの?」
「ここは時間の流れ方があなたのいる世界とは違うのですよ。『時』は『訪問者』と『この国の住民達』の思考と記憶の影響を受けるのです。必要の無いものは誰も気づかぬうちに塵芥(ちりあくた)になってしまいますが、人々の覚えがいいものは、いつまでも美しい姿を保つのです。あの船はあれでもましな方ですよ。みんな、海がここにあることを忘れてしまったのに、乗っていた人々のことも忘れてしまったのに、船だけはあるんだから」
「あれは罰なの?」
「そうです、あの船の乗り手は、多くの罰を受け、最後には自分の名前と記憶をなくしてしまったのです。彼はもはや自分が誰なのか
「ここは森よ。いくら時間が経ったからって、海が森になるまでの時間、あの船は待っていたとでもいうの?」
「ここは時間の流れ方があなたのいる世界とは違うのですよ。『時』は『訪問者』と『この国の住民達』の思考と記憶の影響を受けるのです。必要の無いものは誰も気づかぬうちに塵芥(ちりあくた)になってしまいますが、人々の覚えがいいものは、いつまでも美しい姿を保つのです。あの船はあれでもましな方ですよ。みんな、海がここにあることを忘れてしまったのに、乗っていた人々のことも忘れてしまったのに、船だけはあるんだから」
「あれは罰なの?」
「そうです、あの船の乗り手は、多くの罰を受け、最後には自分の名前と記憶をなくしてしまったのです。彼はもはや自分が誰なのか
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