鏡の国のエリカ
第10話 鏡の国のエリカ
鐘が鳴った。時刻は夕方だった。水色とうす紫、ピンク色の空に月が佇み、沈みかけの太陽は地平線に続く空を紅に染めていた。秋の、木々の残された木の葉の影が、学校の窓の中を漂い、教室の中を洗っている。
エリカ達の学校は山の上森の奥深くにある。
森の木々はざわめくが、学校は窓に青空をうつし静かに佇んでいる。
子供たちはもう帰ったようだ。
エリカは自転車で学校の帰り道を颯爽とこいでいた。季節は冬にさしかかる秋で、ちらほらと雪が降っていた。夕方、太陽が輝き、エリカや街、家、人々、子供たちや犬、猫が、影の姿を道に映し出す。エリカが影を見ると、エリカの姿は突然なくなり、影だけになってしまった。近くのショーウィンドウの鏡を見てもエリカの姿は映らない。エリカは影の姿で鏡の中に入った。
エリカ!どうしたんだい?エリカが中に入った鏡の向こう側、フィリップ・モリスがまばらな雪の中、子供とかけっこをしている。いっくぞー!がはは!フィリップ・モリスは肩幅の広いコートを着ている。
オオオオオオオと、どこからか風が吹き、雪がフィリップを包み込む。では僕もお邪魔しようかな?恐らくまたロイを待ってたんだろうけど、今回は僕が最初からいるよ。フィリップは颯爽と鏡の中に入った。子供たちが鏡の中にいるエリカやフィリップを見て笑っている。こらこら入ってはいけないよ!暗くなる前にお家に帰りなさい!
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