第39話 ロイ 集合無意識の管理人

雪が降ってくる。閉ざされた日々の向こう側から。


ロイは夢の中であらゆる人々の、集合無意識を本にして、記憶の図書館に納めている。今は、実の姉のエリカの本を読んでいる。



フィリップは、大学や、アイヌの政策研究もしてるんでしょう?過去の政策の記録も効果も大事だけど、未来についても語らないと。どのような政策が私たちや和人、アイヌを良くするのか。これだからフィリップはね。


さあ?君の方が頭がいいんじゃないの?日本の田中角栄の列島改造論のようなものを現代で起こすには、デジタルや英語が欠かせないとか、かっこいいよね。


政策研究にしろ、列島改造論にしろ、フィリップ、私は、私が貴方より劣っているようにしか見えないわ。貴方は力を隠している。


さあどうかな。あとロイにしろにしろ、人のインタビュー記録を勝手に見るなよ。エリカはもうすぐ僕の奥さんになるんだよ。


そんな勝手は許さない。よく見るがいいその本を。永遠に、永遠に続いている。子供たちよ。お前たちは私と永遠を過ごす。

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箱の中の王様 上山ナナイ @nanai_tori

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