第26話 海へ向かった女。

汝、いまだ犯されざる静寂の乙女よ。


ローザの身体から血が流れる。ローザは海辺で子を産み、海の向こうへと向かって行った。海は、ローザを飲み込むことはなく、ただ浅くあり続けた。この星を一周するほど。


男はローザを探していた。捨てられていたのは自身の子であった。男は子を抱え、ローザを追った。


男が海を渡ると、小島が点在する場所があり、置き手紙があった。愛していると。


バオバブの木の下で、ローザは星を彷徨い続けた。

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