第11話 パサージュの中で
鏡の向こう側には、高い空、絵筆で塗ったような雲が浮かび、下には、曲がりくねった道と、白い街路樹が広がっていた。遠近法からいって、街路樹は遠くにあるものが小さくなるはずなのに、なぜか遠目から見ても、街路樹は同じ大きさで並んでいた。そしてその道を通り抜けた途端、近くに来ると、遠近法から言って、並んでいる後ろの木よりもっと大きいはずであろう街路樹はそれと同じ大きさだった。
白い街路樹は死んだ門のように続いており、木の葉が散り、地面を流れ去り、そして舞い上がり、2人を包み込み、消えていった。
木は切り裂かれ、なんらかの力を加えられた曲木椅子のようになっている。その先には街があった。
後ろの木陰から少年と少女とおぼしきふたり組みの子供たちが手を繋いでこちらを駆け抜けていった。それは実体はなく単なる影であり、エリカとフィリップ・モリスの間に溶けたかと思うと、街の先に向かっていった。
街の入り口には煉瓦が積み上げられており、煉瓦に絡みついた葉が、何語かわからないが初期英語のような文字を描いていた。
街に着くとエリカの世界のショーウィンドウと同じように、高級店、流行品店が屋根付きの通路をはさんで軒を連ねていた。大通りにはありとあらゆる乗り物がいっぱいだが、そこに乗り手は誰もおらず、影が運転している。商品を陳列してる店も、マネキンのような影が接客している。街灯の光を受け、煌めく水たまりの中で雀が水遊びしている。フィリップと共にウインドウショッピングをしながら進んでいくと、鏡の間についた。向こうにはまだアーケードが続いており、鏡の間を抜けようとすると、鏡が壊され、神像も砕かれ地面に転がっていた。私は王も神話も恐れないわ!エリカはそう言って、鏡の間を通り抜けようとすると、神像のかけらに脚をつまづき、再び鏡の向こうに入ってしまった。フィリップ・モリスは笑いながらエリカの手を握って追いかける。砕けた鏡の中にはショーウィンドウや神像、雀や空を飛んでいた白い鳥そして虹が映ってる。
雪、降ってないわね。雪?じゃあ雨乞いでもしてろよエリカは。一応効果はあるんだぜ?私を馬鹿にしてるの?氷晶説や、日本で人工雪が作られたことは知ってるわよ。わはは。エリカはまじめだな。アタシ、わかーんなーいとか言うもんだぜ?フツーの女の子は?僕にモテたいとは思わないのかい?私は知っているわ。なぜ空が青いのか、どうして虹ができるのか。
2人は鏡の向こうの反転した世界を歩き出す。
道路に【バス】と書かれているバス乗り場や、真っ赤な×が書かれたマンホール。↑と書かれてた道路が見える。
・バスに乗る
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886261948/episodes/16816700429232590363
・↑にそって歩く
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886261948/episodes/16816700429216902731
・マンホールの中に行く
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886261948/episodes/16816700429232534991
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