アナタが勇者候補生ですか?「では、こちらへ」
軽見 歩
超素人編
1日目 主人公はアナタ
「勇者候補よ…、起きなさい・・・、目を開けるのです」
アナタが目を開けると、辺りには何もない空間が広がっていてる
「目覚めましたか勇者候補よ」
その声に振り返るとそこには女神らしき人影が立っていた
「・・・・・」
「え、私が誰なのかですって? この通り女神です勇者候補よ。決して地球外生命体や、なんとかグレイではありませんからね!」
「・・・・・」
「ほう、アナタは分かっているようですね勇者候補よ。それが正しいのです!
アナタが話しかけると女神はそれに答え、女神はなにやらイラつき始めた。しかしそこでアナタはある事に気付く
「・・・・・?」
自分の意識は夢よりも曖昧で何処か他人事の様だ、女神に語り掛けた言葉も覚えていない奇妙な感覚・・・そう、まるで誰かが
「精神を不完全な状態で召喚された為に混乱しているようですね、やはりこうなりましたか。どうあがいてもその精神状態は改善しないでしょうから、さっさと本題を話しますね勇者候補よ」
女神がそう言うとホワイトボードの様な物を召喚し、アナタは椅子の様な物体に座らされた。女神は軽く咳払いをし語り始めた
「こほん、では説明します。近年、アナタの居る現世から異世界に勇者が召喚や偶発的な事故が多発する昨今、人手不足により勇者の質は落ちるばかり・・・。そこで勇者願望のあるアナタに応え、こうして特別教習を実施し、次世代の勇者を育てる事にいたしました!」
「・・・・・」
「勇者に選ばれたわけじゃ無いのかですって? 残念ですが特殊能力を与えられる事も無ければ、可愛いヒロインとイチャイチャする事も有りません。ハッキリ言って実力不足です勇者候補よ」
「・・・・・」
「だから育てる為の教習を今から行うと言うのです。ここでアナタの潜在能力を開花させ!少しでも勇者に相応しい実力を身に着けてさせ私の仕事を楽に・・・・、では無く、どこかの世界を救う為必要な事なのです!」
「・・・・・」
「ん?教習を終えればアナタが勇者になれるか? 知った事ではありませんよ。それはその時の実力次第です。正確にはその後の人生で目覚める可能性もありますが。・・・・あ、ちなみにこの教習は無差別に行ってるのでアナタの顔どころか性別すらもこちらはうかがい知れませんから悪しからず。べつにアナタが特別って訳ではありませんよ」
「・・・・・」
「まあ、そう言わないで。たとえ勇者に成れなくても、ここでの教訓はいつかどこかで役に立つはずですよ・・・きっと。ではさっそく」
女神が手を叩くと、人影が浮かんできてアナタはその中に引きずり込まれた
「・・・ッ」
「トレーニングの為のダミーの身体を用意しました。思考が乱れている影響もあり、これが出来ないのかと歯がゆい思いをするでしょうが。まあ、がんばってトレーニングにはげんでください」
アナタはダミーの身体を動かして動作をチェックしている
「・・・・」
「問題なく動ける様ですね。ではまず、身体トレーニングから始めたいと思います」
「・・・・?」
アナタが首をかしげると、女神は答えた
「ダミーの身体なのに意味があるのかって? もちろんありますよ、異世界にわたってから別の身体に入れ替えられる事も有りますが、トレーニングの経験が有るのと無いのでは大分違います。もし体力の無い身体に移されても直ぐに効率よく鍛え、遅れを取り戻す事が出来ますからしっかりやってくださいね」
「・・・・」
「そんな顔しないで。筋力トレーニングと言うよりも、人間の身体の操作に慣れるトレーニングですから。大抵の人間って自分が思っているよりも身体を使いこなしていないのですよ。さあ、そこに立って」
アナタは女神に言われるまま、指定の場所に立つ
「・・・・」
「よろしい。では片足を上げ、そのまま立ってバランスを取ってください」
「・・・・・・・」
次の指示を待ち女神の顔を観ているアナタを見て、女神は首をかしげた
「え?なんですか」
「・・・・・」
「それだけかですって? これだけですよ。余裕が有れば目をつむってください。視界を封じるとバランスが崩れやすくなりますから油断しない様に、必要なら壁に手ををついた状態から徐々に慣れていったください。現世でご自分の部屋でやる場合には転んでも平気なようにしっかり片付けておく事もお忘れなく」
「・・・・ッ!」
そう説明しながらも片足立ちを実演する女神、そして女神は平然と続けて喋り続ける。いつの間にか女神の後ろのホワイトボードには”片足立ちバランストレーニング”と文字が浮かび上がっていた
「そう怒らないで、片足で立てるかどうかは重要な事ですよ。歩いたり走った時に人間は一時的に片足で立つことになります、片足で立てないと言う事は歩く度に不安定な状態が生まれ隙ができ、体力の消費も多くなります。護身の観点から見ても日ごろから魔物に備える勇者には必須の技能ですよ!」
「・・・・」
「どこまでやればいいのかですって? そうですね、両方片足で目をつむって30秒以上出来るのが最低ラインでしょう。慣れたら1分、3分と増やしても良いですが、20分、30分と長時間やる必要はありません。そこまでできるなら別のトレーニングをやった方が効率的でしょう」
「・・・・」
しばらくたった後、女神が手を叩いて宣言した
「さて、今日の教習はここまで! この様に超初心者のも優しい内容から始めますから次回もはげむのですよ。あ、タイトルに一日目とは書いてありますが、納得のいくまで何度でも繰り返してもらっても構いません、そこは神様ルールなので」
「・・・・」
「ではまた次回!さらばです勇者候補よ!」
そう言い残し女神は去って行き。アナタは日常に戻て行った
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます