4日目 休憩とイメージトレーニング

 3回目の試練を乗り越えたアナタは、再び教習所に立ち寄っていた


「おお、勇者候補よ。前回の教習にもめげずによくぞ参られました」


「・・・・」


 いつものように出迎える女神にアナタは軽く言葉を交わし、女神はそれに軽く答えた


「いえいえ、ここまで来るのは大したものですよ。すでに3日目にもたどり着けずに1日目で躓く者や、2日目を越えられねぇ…と嘆く者が表れ始めてしました。この程度の試練で苦戦するとは全く嘆かわしい。ではさっそく今日の教習は・・・、どうしたのですか勇者候補よ?」


「・・・・」


 脚の付け根を押さえながら言うアナタの言葉を聞いて、女神は言った


「え、ペンギン走法で変な筋肉を使ったったせいで上手く動けない? 仕方ありませんね。では、今回は休息中にも出来るイメージトレーニングと雑談にしましょうか」


「・・・・・」


「イメトレなんてわざわざ教えてもらう事でもなさそうだし、そんな事意味があるのかと? 効果はありますよ、少なくとも何もしないで寝てるよりはマシです。トレーニング後に使いすぎた筋肉を休ませるのは筋肉を育てるには重要ですが、運動したい欲求を抑えるために気を紛らわすのにも役に立ちますしね」


「・・・・・」


「毎日トレーニングをやらなくて良いのか? うーん、その人の体質によりますね。自身の体調を理解して自分のペースを探る必要があります。例えば筋肉を酷使するボディビルなどでは1日目は腕、2日目は脚と分けて部分的に鍛えて次の日のトレーニングでは前回使った筋肉は休めるようにするのですが…」


「・・・・・」


 筋肉マッチョなイラストがホワイトボードに表示され、教鞭を振りながら女神が語り始め、イラストは別の物に切り替わった


「筋肉を鍛えるだけならそれが一番効率的なのです。しかし戦闘法などの技術も一緒に鍛えるとなると難しくなります。パンチ一つ打つにも足腰も使った全身運動になりますから、毎日ボディビルの様に筋肉が発達する程のトレーニングをするのは難しいです。それでも出来ちゃう人は出来ちゃうのですが」


「・・・・・」


「武道家だから毎日鍛練すると決めてかかることは無いでしょう。まあ、そんな人はこんな場所で教習なんて受けずに素直に師匠に聞けって話ですが。週一日しか時間が取れないとか時間が無いのを理由に鍛える事そのものを諦めるよりはマシです。古い昔の空手唐手の教本には毎日やるように書いてありませんでしたし。と言うより毎日の感覚が現代と違う感覚だったようですが」


「・・・?」


 女神の曖昧な言葉に混乱するアナタに女神はホワイトボードに一週間の予定表みたいなもの書いてを答えた


「その例の空手の本には ”毎日の日課としてやるならば、普通は月水金というふうに一週三回くらい日を決めてやるのが便利である” と書かれていて月曜日に稽古をやって火曜は休み、水曜稽古で木曜休みで金曜稽古、土日休みと、稽古の次の日には休める様な特徴的なスケジュールの組み方を例にしてました。一般大衆向けに書かれたからなのかもしれませんが、現代のアナタたちの言う毎日やるとは大分違うものですね、週三日なんて現代は毎日なんて言わないでしょ」


「・・・・」


「まあ要するに、自分のペースを見つけて無理なく怪我なく、サボるなって事です。もし毎日やりたいならば現在の自分が毎日できる運動量を探ればいい。片足立ち1分がそれならそれで良いですし、慣れたり物足りなく無くなったら次に進めばいいのです。話が少しそれましたね。イメージトレーニングの方法に移りましょう」


「・・・・」


 そう言って女神はベットや椅子を取り出してい言う


「ではまず、楽な姿勢の取ってください。椅子に座ったり寝転がっても良いですし。自然体で立っても座禅を組んでも構いません。そうしたら目を瞑って・・・」


「・・・・」


「そうしたら想像の中で4つ数えながら実際に息を吐いて2つ数え終わるまで息を止め、4つ数えながら息を吸い、2つ数え息を止めるのを繰り返し、精神を落ち着かせます」


 女神の言われるままアナタは意識を集中し・・・寝てしまったら女神に叩き起こされた


「・・・・...zzZZ」


「こら寝ない! まったく下等な人間め・・・。これに慣れたら呼吸の操作と、少なくとも頭の中で数字を数えられるだけの想像力は身についたかと思います。呼吸の操作は重要で、痛みを受けた時などの強いショックを受けた時にも冷静に対処できます。不必要に過呼吸になったり息が止まりそうになっても呼吸を操作で切ればある程度は動ける様になるでしょう。では次です」


「・・・・・」


「そうしたら、次は指先に集中してください。まずは片手の親指に集中したら次は人差し指と順番に意識をむけ小指までやったら手の平全体、次は手首、前腕、肘と身体の中心に向かって順番に意識していき肩までたどり着いたらもう片方の腕に同じように行ってください。それが終わったら足も同じように。イメージしにくい場合は集中したい部分の筋肉を少し動かしても構いません。頭も同じように意識し頭の先、額、耳や目など先からイメージしてください。腰回りや胸、背中なども忘れないように、やり易い順番で構いません」


「・・・・・」


「終わりましたか? イメージトレーニングはより具体的な想像をしたした方が効果が有りますのでその下準備です。自分の身体を意識し、想像の中で動く自分の身体をイメージ出来なければなりませんからね。そうしたら想像の中で自由に動いてみてください。想像の中の場所はアナタの慣れ親しんだ場所がイメージし易いでしょう」


「・・・・」


「このトレーニングに慣れると体の感覚を意識し記憶しやすくなり。トレーニングを行っと時の体感の記憶もより鮮明になりイメトレしやすくなるでしょう。後は成功する様にイメージしてトレーニングしてください。当然ですが余りに突飛で具体性の無い想像はただの妄想に終わるのでご注意を」


「・・・・」


「はぁ・・・、なんだか私も眠くなってきました。勇者候補よ、今回の教習はここまでにします。ではまた次回お会いしましょう」


 そう言って女神は電気を消し去って行き。アナタは日常へと戻っていった

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