21日目 お次は槍ですよ
再び教習に来たアナタ
「よく来ました勇者候補よ。もう20日を超えたというのに、めげずによく頑張りますね。感心です。今日の教習は槍になります。槍の使い方は・・・・」
「・・・・・」
「まあ、言うまでも無く棒術で対応できるのは想像できると思います。しかし槍先の構造によってできる事は違いますし、槍ならではの攻撃というものが有りますので。先ず槍がどんなものか例を出しながら説明します」
「・・・・・」
女神は空間から槍を引っ張り出した説明する
「まず一番シンプルな物から。葉っぱの様な形をした両刃の刀身の根元に柄になる棒を刺す為のパイプが刀身と一体になっています、この様に槍先に棒を差し込むソケット式はけっこう普及してますね。日本の槍の様に槍先を棒に差し込む方式は珍しいんですよ、その方法だと柄が折れ易くなってしまいますから。ですから日本の槍は槍先を差し込んだ場所が補強されているのです。槍先の後ろの太刀打ちと言う部分で、そこで武器を払ったり、相手を殴ったりできます」
「・・・・・」
「殴るの? って棒術でも殴るでしょ。槍先が付いているからって、それに囚われて忘れてはいけませよ。補強されてるとは言え、先ほど言ったように割れやすいですから、積極的に打ち合うのを嫌う流派もありますけどね」
「・・・・・」
「具体的には、まず相手をぶん殴って隙を作ります、その後刺すのですが、長い槍の先端で正確に突くのは難しいです。そこで槍を短く持って鎧の隙間や急所を突き刺すのです。前回の剣の教習で片方の手で刀身を握って槍の様に扱う方法を話しましたよね。あれも似たような発想で切先に近い部分を握って先端を操作し易くし、鎧の隙間に正確に刺せる様にする為でもあるのです」
「・・・・・」
「そして柄になる棒の部分ですが、根本が太く、槍先に近づくほど細くなる構造になってます。重心が先端に偏って扱い難くなるのを抑える為です。この様な構造は日本や西洋、中国でもあります。この辺りみんな考える事は一緒なんですね。槍先とは逆の方には石突きと呼ばれる金具がついている物が有り、地面についても柄がすり減らない様にし、攻撃にも使います」
「・・・・」
「変わった物だと中国の武器にはこの石突きが槍先の重さを緩和する為のカウンターウェイトとして異様に大きい物が有ったり。柄の両側に槍先を取り付けた物が有ります。槍とは少し違いますが、最遊記のカッパがもってるヤツとかですね、両側で強力な攻撃ができますから接近戦では強力です。しかしその反面、端を持って遠距離で戦うのは不向きですから乱戦むきの武器ですね。彼らは少数で旅をしていますから、自分達より数の多い相手と戦い易い様にカッパなりに考えて持ってるのかもしれません」
「・・・・・」
「さてと、話を戻しますが、槍は棒と違って刺せますから棒とは別の攻撃手段が出来ます。槍投げです。鎧を着た相手には効果は薄いですが、軽装な相手、つまり裸のモンスターに使ってみるのも手でしょう。いっぱい刺せれば機動力を削ぐことが出来ますしね。こう言った投げ槍は投げた後に投げ返されにくい様に、槍先が簡単に外れる様になってる物もありますからご注意を」
「・・・・・」
「あまり乗り気ではありませんか? まあ、優秀な戦力である槍をポンポン投げれる状況はなかなか無いかもしれませんが、狩猟の手段として使う機会があるかもしれません。例えば・・・・」
馬上がそう言った後、何故か彼女背後にキラキラしたイメージ映像が流れた
「・・・・・ッ?・・??」
「穢れを知らぬ村娘、もしくは青年と二人っきりで野山を馬に乗って駆け巡り♥ 哀れな獣たちを追い立て、槍投げでブッスリ♡ 仕留めた獲物を持ち帰って2人で暖かい料理を作って食べる♥ 槍投げをマスターすればそう言った萌えるシュチュエーションが出来るでしょう。やりましょう槍投げ♡」
「・・・・・・」
「え、萌えない? おかしいなぁ~、やる気を出してもらおうと思ったのに、人間の萌えポイントは分かりませんね。アナタにはまだ早・・・いえ、500年ほど遅かったでしょうか? まあ、良き人間関係を作る為の手段としても有用かもしれないって事です。投げ方を教えるので覚えてください」
「・・・・・・」
「まず、槍先が親指と逆側に来る様に槍の中央を逆手に持ちます。あまり端を持つと重量バランスっが狂って槍先の狙いが定まりませんからね。そうしたら顔の高さに槍を持った手を上げて構えて槍先わ前に向けて狙いを定めます。そのまま腕を後ろに引いて投げるか、投げる直前に腕を高く上げて投げる方法が有ります。後者の方法があるそうですよ。走って勢いをつけながら投げたりもします」
「・・・・・」
「そして勇者候補よ。この槍の構えは片手で槍を扱う時に役立ちます。と言うか槍投げよりこっちを憶えて欲しかったんですよ」
「・・・・?」
「片手で槍を使う必要性があるのか? 片手を怪我したら戦えないなんて事にならない為です。片手に盾と槍を持った絵とか見た事あるでしょう? 別に特別な技術ではありませんよ」
「・・・・・」
「構えは主に二つ。一つは槍投げの様にもち腕を高く上げて、槍の重さを利用し上から突き下ろす構え。もう一つは逆手ではなく順手で持って腕を下げ、下から突き上げる構えです。これらを組み合わせて二刀流ならね二槍流で戦う事も出来ます。その際は上下の構えを左右の手で別々に行い、上段と下段をカバーしましょう」
「・・・・・」
「槍は突き主体の武器ですから、突きの危険性についてもお教えしましょう。狩猟用の槍の中には槍先の後ろに出っ張りが出ている物が有ります。これは獲物を刺した時、そのまま突進されてしまうのを防ぐストッパーなのです。これが無いと槍が貫通してしまい、そのまま間合いを詰められて攻撃される危険が有るのです」
「・・・・・」
「これには剣も同様で、剣で急所を刺したにもかかわらず、相手にそのまま突進されて攻撃を受けてしまい相打ちになる事が有るのです。急所を刺したからって油断しない様に」
「・・・・」
「槍に話を戻します、その狩猟槍はボアスピアと言い、戦場でも活躍してました。その出っ張りで相手を引き倒したり出来たのです。そしてこのような戦いに適した物だとハルバートが有ります。先端のスパイクで突く! 両側に出た斧や
女神の説明はまるで通販番組の様だった
「・・・・」
「ハハ、便利そうでしょう? 槍等の長物相手では剣は不利と言われてます。槍はリーチが長く間合いが調整でき、槍先と石突きの両側で攻撃してきますから相手にするとなると厄介でしょう。旅には長くて邪魔ですが剣よりこちらを選ぶのも手ですよ。金属が多い剣より槍の方が安いかもしれません」
「・・・・・」
「では今回の教習はここまで! また次回お会しましょう!」
そう言って女神は去って行き。アナタは日常に戻っていった
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