18日目 荷造りしましょうか
再び教習に来たアナタを女神が出迎えた
「よく来ました勇者候補よ。では今回は紹介したアイテム等を持ち歩く為のアイテムの教習になります」
「・・・・・」
「ではまず武器やポーチなどを固定する為の腰に巻くベルトです。それなりの幅があり丈夫な物を選びましょう。ですがこのベルト、アナタの世界のベルトのバックルと構造が違いベルトの穴に金具を差し込んで留めるタイプでなく、ただリングが付いてるだけの場合が有ります。またベルトの長さが現代の物と比べ異様に長く、そのまま巻いただけでは余った部分が邪魔になる物もあるでしょう」
女神はそう言って身の丈を越えてるんじゃないかと思えるベルトを手に取った。アナタは素直な感想を言う
「・・・・・・?」
「切っちゃえばいい? 切っちゃだめですよ! 余った部分をベルトに巻いて固定するのに使うんです! 余った部分が横に飛び出てプラプラしてたら邪魔でしょう? やり方はですね、ベルトのバックルの様についたリングに普通にベルトを通し、余った部分をすぐ裏の身体に巻いたベルトと身体の間に下から上へと通します。そしてリングと通したベルトの間に差し込んでギュッと引っ張ります。そうすれば余った部分が下にむいて邪魔になりません。このような物しか無かったらこうやって巻いてくださいね」
そう言って女神は自分にベルトを巻いて見せた
「・・・・」
「そしてこのベルトに装備を取り付けてから巻くわけですが。剣は直接ベルトに刺さないで、ソードベルトと呼ばれる専用の固定具をベルトに通してそこに剣を取りつけます。多くの方が右利きですから、剣は左腰に取りつけ、ダガーは右腰に紐で吊るすのが普通ですね。他にも違う取りつか方が有りますがここでは触れません。ダガーを吊るす時の高さは自然体で立った時に、下がった右腕の手首くらいの高さにダガーのグリップがくる高さが良いでしょう。その高さなら非常時に直ぐに逆手で抜く事が出来ます」
「・・・・・」
「あと、小物を入れるポーチがあると良いですね。歩いてもプラプラしない様、ベルトに通すストラップが両側に付いたタイプが良いですね。この二つのストラップの間にダガーを刺しポーチの裏に通す携帯方法が有りますが、ダガーの位置が少し高くなるという欠点が有ります。ポーチは足の前には着けず、足の動きを妨げないようにしましょう。身体の横に取りつける場合も、真横ではなく少し後ろに取りつけるようにすれば動きやすくなります」
「・・・・・」
「他にスペースが無くてどうしても身体の前に着けたい場合は、堂々とド真ん中に着けてやりましょう。大事な物を股間の前にぶら下げてやるのです! そこにさらにダガーを装備すればもう完璧! 男を魅せてやりましょう! いや、アナタは女性かもしれませんが」
そう実際に装備しながら女神は言い放った
「・・・・」
「いえ、ジョークではありませんよ? 異世界で実際にこの様に装備した人を見かけるかもしれませんが、決して笑わないでくださいね! 特に武器はダガーしか持ってない人だったら要注意! ダガーを股間の前に装備する事により、左右どちらの手でもダガーを抜く事が出来るのです。ですから左右どちらから攻められても反撃できます。どちらの手でも武器を自在に扱える自信がある練度の高い人の可能性が高いのです。純粋に男を魅せてやりたいファッションの可能性もありますが、侮るのは危険でしょう」
「・・・・・」
「さて、ポーチ以外の小物入れだと紐のついた袋が便利ですね。ファンタジー作品でよく金貨とか入れてるアレですよ。その袋を閉める紐の部分を携帯のストラップの様にベルトに通して腰に下げる事が出来ます。いちいちベルトを脱がなくても取り外し出来るので地味に便利ですよ。これらポーチや袋を防水にするべきかどうかはお好みで、前回紹介したマントを装備すれば雨風は凌げますからね」
「・・・・・」
「そして大荷物を運ぶ必需品リュックですね。先ほど話した袋を大きくして背負う為のベルトを付けた様な見た目のボンサックとかありますが、片方の肩だけで背負うタイプは、負担が片側に集中するので疲れます、ちゃんと両肩で背負える物を選びましょう。ほとんど無駄なパーツが無いので、使わない時は小さく畳んでしまえるのが魅力ですね。ですが中の荷物の感触が直に伝わるのでそこが不便です。荷物を入れる口が上にあり、そこを紐で締め上げてるだけなので雨にも弱いです。防水だったら雨が溜まって水袋になっちゃいますよ」
「・・・・・」
「ですからちゃんとした登山用リュックの様な物があると幸いです。防水で荷物を入れる上部にちゃんとカバーが付いていて、荷物を入れる口にはボンサックの様に紐で閉じられるフードが付いた二重構造で荷物を雨から守り、背中が当たる部分にはクッションが付いていて快適。さらに腰にベルトが付いていて肩だけに負担がかからないよう腰で背負える様にして負担を分散し疲労を軽減できる物が良いでしょう! さらに! 入れる荷物の量に合わせてリュックを締めあげられる構造になっていれば非常に便利です!」
「・・・・・」
「しかし! こう言った物が有ってもきっとお高いのでお金に余裕が無いと入手するのは難しいです。雨の時は防水カバーを付けて凌ぐか、それすらない場合はマントの中で背負っちゃいましょう。不格好になっちゃいますが。それと、こう言ったリュックは””いざとなったら捨てる””物だと言う事を覚えてください」
「・・・・!?」
「非常時に荷物を背負っていては早く動けないでしょう? リュックを無くしても最低限どうにかなる様にしてください。だからと言ってポーチの様な物を身体に幾つも着けて動けないなんてことにならない様に! 欲張ってあれこれ持っていたら動けませんよ! 強欲は死を招きます。装備選びは慎重に、何がどう必要かちゃんと自分でアイテムを把握できる様にしてくださいね」
「・・・・・」
「リュックに荷物を入れる際にもひと工夫を。あまり使わない物を奥に入れ、使う頻度が高い物は上に来る様にし効率よく荷物を取り出せるようにしてください。こういう状況を想定したらこれが必要で、どう言った物をどこに何故入れるかメモして頭に叩き込んでおきましょう。定期的に点検して入れた物が傷んでないか、今は不要な物が入っていないかチェックし。入れ物自体も痛んで穴が空きそうになってたり、負い紐が取れそうになって無いか確認を! あと重い物を上の方に入れると背負う時に楽ですが重心が高くなるので人に押されたり、強風にあおられた時に転びやすくなりますから注意してください」
「・・・・・」
「今日の教習はここまでにします。ではまた次回! 荷造りは計画的に行うのです勇者候補よ~!」
そう言って女神はリュックに荷物を素早く入れて走り去って行き。道具屋のセットが崩れてバタンと倒れた。アナタは何時もの様に日常に戻っていく
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