23日目 その他、遠距離武器
再び教習に来たアナタを女神が出迎える
「よく来ました勇者候補よ。さあ、今回の教習を始まますよ」
「・・・・・」
「今回の教習は遠距離武器です。先ずはこちら!」
「・・・・・」
女神は石と紐の様な物を取り出した
「見ての通り石です、前に物を投げろとお教えしましたが、その投げる行為をより効率化する為の武器類です。この石をより強力に投げる為の武器がこちらスリングです。この様に両手を横に広げたぐらいの長さ紐の中央に石を乗せる場所が有り、紐の端の片側を指、もしくは手首に固定してもう片方の端を掴んで、グルグルと回して勢いを付けて掴んだ紐を放し前に投げます」
「・・・・・」
「凄く地味で使い難そう? 確かに慣れるまでうまく扱えないでしょうが、簡単に自作でき、弾の調達も楽ですからコストパフォーマンスが抜群で、そう言った意味では使い易いですよ。慣れた人が使うと鞭の様なスパーン!って音が出ます。軽装の相手には有効でしょう」
「・・・・・?」
「スリングが音速を超えるのか? アハハ!それはないです勇者候補よ、鞭の様なとは比喩表現です。よく鞭が音速を越えて音を出すという話を聞いて鞭自体が音速を超える物だと勘違いしている人が居ますが、音速を超えるのは鞭の先端についているクラッカーと言う細い紐です。名の通り音を鳴らし家畜を追い立てる為のパーツですね。ロープなどを振ってパン!と鳴っても、鞭のクラッカーが鳴らす音とは違います」
そう言って女神は片手でスレングを放ち、もう片方の手で鞭を振るいスパン!スパン!と音を出して実演した。そしてまた別の物を取り出す
「・・・・・」
「次は槍投げの強化です。投げ槍は90cm位な長さが扱いやすいとされています、そのタイプの投げ槍を投げ槍器に乗せて投げれば威力が上がります。投げ槍器は槍を乗せる溝が掘ってあり、後ろの方には投げる時に槍の底を押す為に盛り上がっています。下には取っ手が付いているのでそこを持ち、溝に乗せた槍を最後に後ろの盛り上がりで押してやる様にしながら投げるのです」
「・・・・」
「これも地味? 我がままですね。しかし貫通力のある投擲武器では強力な方ですよ。スリングと同じく簡単に自作出来ますしね。これの応用で適度な棒の先端に石を乗せるくぼみを作って石を投げるという大きなスプーンの様な武器もありますが、威力から考えるとスリングの方が優秀でしょう。双方とも使える様になって損はないはずです」
「・・・・」
そう言って女神は今まで出した武器をしまい、新たな武器をやれやれと言った感じで取り出した
「さてさて、これらは勇者候補にはマニアックすぎる様なので定番の物を紹介しましょう。弓矢です。投げる力ではなく矢の弾力を使って物を飛ばす武器になります。構造は・・・言うまでもありませんが弾力のある細長の板の両側に
「・・・・・」
「じゃあどうするのかと言うとですね。専用の機械で曲げるのが楽ですがそれ等が無い場合、脚で挟み梃子の原理で曲げます。脚と脚の間に弓を通して片方の端を脚の前、弓の中央付近が脚の裏に来る様にして、もう一方の端を手で掴んで曲げてやると弦を外せます。弦を張る時もそうですね。弦が傷んだら使用中に切れて事故になりますから気を付けましょう。この脚で挟む方法でも曲がらない強力な弓なら自力でやるのは諦めるしかないですね」
「・・・・・」
「使い方を簡単に説明しますが、矢をつがえて弦を人差し指から薬指の三本、もしくは親指一本を引っかけ、自分の頬に来るまでしっかり引き放ちます。矢を放った際に前腕に弦が当たる事が有るのでご注意を。使えば分かると思いますが弓を引いたまま相手に”動くな”!と矢を向けるのは現実的ではありません。相当弱い弓か、腕力が人間離れしていないと無理でしょう」
「・・・・・」
「当たるかはともかく、弱い弓ならアナタでも扱えるでしょうが狩猟用や鎧も貫通するような戦場で使う弓は専門の訓練を受けないと扱えません。弓によって扱い方も違い、先ほど教えた方法では対応できない物もあるでしょうから、弓矢なら簡単に扱えるだろうと楽観しないでください! しっかりとした
「・・・・・」
女神は弓矢をしまって新たな武器を取り出した
「そしてこれらの問題をある程度解決し、素人でも扱い易い武器がクロスボウになります。ボウガンと言った方が分かりやすいですか? 矢に板を取りつけ、引いた弦と矢を固定する爪が付き狙いやすく、板の下部の引き金を引いけば矢が放たれ銃の様に狙えます。まあ中世のクロスボウは引き金がL字ですし、銃の様な握りが付いてないので戸惑うかもしれませんが」
「・・・・・」
「使うならこれが良さそう? しかし勇者候補よ。素人でも扱いやすいと言いましたがそれは”ちゃんとした手順を踏めば”と言う意味です。他のも問題が有りますが・・・」
「・・・・?」
「まずクロスボウの弓や矢は普通の弓矢と比べると非常に短いです。その為、小さくても十分な威力を出す為に強力な弓を使ってるので手の力だけでは引けません。ですからクロスボウの先端にはトライアングル状の踏み台が付いていて、そこを片足で踏んで両手で弦を引き上げる必要が有ります。それでも無理な物は腰にフックの付いたベルトを巻いて、そのフックに弦を引っかけて足と腰の力で引く専用の機具もあります。他だとクロスボウに突起が付いており、そこに専用のレバーを引っかけて弦を引くタイプもあります」
「・・・・・」
「これらの事から当然連射が効きませんし、一撃必殺を心掛ける必要が有ります。仕留めぞこなったら次弾を射る前に反撃されてしまいますから。この為”どうせ連射出来ないならもっと威力上げようぜ”と言わんばかりに、先ほど紹介した方法でも引けない物も現れました」
「・・・・・」
「そう言ったも物はですね、クロスボウの後ろに器具を取り付け、弦にその基部のフックを引っかけてレバーを回して巻きあげます。とうぜん自分で弓から弦を外したり、切れてしまった弦を取り換えるのも難しいですから、弓とは別の意味で気難しい武器と言えるでしょう」
「・・・・・」
「さて、今回の教習はここまでです! ではまた次回! 忘れてるかもしれませんが身体の鍛練も怠らない様にしてください勇者候補よ!」
そう言って女神は去って行き、アナタは日常に戻っていった
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