12日目 あらゆる武器の基本!棒
前回の教習を終え、今回も教習に来たアナタ
「よく来ましたね勇者候補よ。さあ、席についてください」
「・・・・・」
女神が用意した席にアナタは座った
「では今回の教習も前回に引き続き武器教習。ざっくりと説明しますから、異世界転生後は現地の武器を見てここの教習で習った知識を応用して判断してくださいね」
「・・・・・」
「では今回は人類が初めて使ったと言われる武器の一つ、棍棒、というか棒です。様々な棒状武器が有り、長さや形状も様々ですが、簡単に大体の長さで分けながら説明します」
「・・・・・」
女神は空間から何かをにゅっと取り出し説明する
「それでは一番短いの物から。この握ると手の両側から少し飛び出る程度の物です。これに近い武器は独鈷や寸鉄、クボタンなどです。アナタの世界ではタクティカルペンなどと言う金属製の丈夫なペンが有りますね。ペンは剣よりも強しですか? まあ実際それで剣に勝つのは難しいですがね。ハハハ」
「・・・・?」
「そんな物が役に立つのかと? 確かに他の武器と比べて間合いが小さく、攻撃を捌く事も難しいです、捌く時は素手と同じ要領でやらなければならないでしょう。ですが素手と比べれば格段に戦いやすくなります」
「・・・・」
「実感しづらいですか? ではあえて別の武器メリケンサックを例として話します。相手がメリケンを持った時、アナタは”殴るのと威力以外は変わらない”と思うかもしれないですがそれは大きな間違いです。使い慣れた相手が使うと間合いもスピードも劇的に変化します」
「・・・?」
「一つづつご説明しますよ。まず間合いなのですが格闘武器の戦いにおいて相手の一番近い場所狙うのは基本です、武器を使えば素手では狙えない部分も標的になりますから。例えば相手の拳や手の甲や指、前腕の骨を狙ったり丈夫な肘でも標的になります。殴っても怪我しませんからね。戦う為に構え、前に出した腕が標的になってしまうのです。武器を持ってる人にとっては相手の腕を使えなくしてから頭部などの急所を狙えばいいのですよ。胴体や頭部を狙うわけではありませんから素手同士と比べて距離を取ります。アナタが隙を見せ急所を露わにするまでは・・・」
「・・・・」
「次にスピードです。素手では腰を入れて体重を乗せないと効果的な威力が出せませんが、武器を使えば腕をスナップさせるだけで十分な威力が出ます。ここでスピードと連射速度に差が出るのですが、それだけでなくメリケンの場合前面のナックル部分だけでなく側面の端の部分も使って攻撃してきます。それらの事から多方向から矢継ぎ早に前に出した腕に攻撃が襲ってくるのです」
「・・・・・」
「素手のアナタが間合いの外から攻撃して来る武器を持った相手にたまらずに、素手攻撃で一番遠距離を攻撃できる前蹴りを放ったら、その足を狙って攻撃されてしまい足が使えなくなる恐れもあります。片足でも立てなくなるほど負傷したら、もう座らないと蹴りは打てません、機動力ももちろん下がります。素手で武器を持った相手と戦うのは一般の方が考えるよりずっと難しいのです。相手がこれらの基本も出来ない使い手であることを祈るしかないでしょう。生き残るには後は必死に足掻くしかありません。相手がパンチを行う武器を装備してるからって過度な油断は禁物ですよ!」
「・・・・・」
少し動揺するアナタを気にもしてない様に女神は言う
「では話を戻してっと。メリケンサックではありませんがこんな短い棒でもその動きは応用できます。両端の握ってはみ出た部分で打撃したり、相手の引っかけ投げ技をかけたり、急所に押し当てながら関節技をかけたりと、使い慣れた人が使えばかなり多様な攻撃が出来ます。身近な物で代用できますが、代用する際は握った手の中で砕けて怪我をしない様に丈夫な物を選びましょう」
「・・・・」
そう話終わると女神はその短い棒を空間に戻してから、少し長い棒を引き出して説明を始めた
「次はもう少し長くなってこの棒、逆手に持って腕に当てると肘辺りまで届く短棒です。この長さならギリギリ大型武器の振り下ろしにも対応できます。この逆手に持ったままカラテの上段受けの様に腕を上に上げ、前腕に当てた棒で斜めに受けて攻撃を受け流すのです」
「・・・・・」
「攻撃の方法は先ほど言った格闘武器の基本を参考に7日目の定規での素振りの教習を思い出してください、普通にまっすぐ順手で持っても逆手で持っても攻撃できるように。あ、それと長い方で殴るだけでなく、剣で例えると柄の底の部分で攻撃できることもお忘れなく。剣術の柄打ちに当たる攻撃ですが、短い打撃面でも多彩な攻撃が出来るのは前の短い棒で説明した通りです、長い分細かな攻撃は出来ませんがね。これらが使えれば紐の切れたヌンチャクでも戦えます」
「・・・・」
「それと他の棒状武器にも言えますが、剣ではなく棒なので刃の方向に捕らわれず多方向からの打撃も出来ます。木製なら木目が縦になる様に打つのが安全ですけどね、木目の横から打つと割れやすいですから注意です」
「・・・・・」
「さて次は更に長くなり・・・・」
「ピンポンカーンコン♪」
女神が何かを言おうとしたが、どこからかチャイムが鳴りホワイトボードは片付けられ教習は中断された
「申し訳ありません、もう時間が来てしまいました。それでは続きはは次回! 修行にはげむのですよ勇者候補よ」
そう言って女神は去って行き。アナタは日常に戻っていった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます