8日目 水にご注意を

 前回の教習をこなして、再び教習に来たアナタ


「よく来ました勇者候補よ。身体の調子はいかがですか?」


「・・・・・」


「足も腕も疲れた? ハハハ、しっかり修行にはげんでいるようですね勇者候補よ。では今回の教習は座学にいたしましょう。さあ席に座ってください」


 女神はホワイトボード出し。アナタは用意された席に座った


「・・・・・」


「では今回の座学は・・・ズバリ!飲み水についてです!」


「・・・・」


「サバイバルの教習かって? いいえ、人里で暮らす事になっても必要になる知識です勇者候補よ。転生先が水が気軽に飲める環境であるとは限りません。運よく召喚された場所が水質管理が徹底されてる場所であっても、旅に出る事になったら当然旅先に事情に合わせる必要があります」


「・・・・・」


 女神は透明な水瓶を教卓にドンと置いて語り出した


「まず水を飲む前に水分の必要性から! 食糧無しでも人間は3週間は生きられますが、水なしでは3日持つかどうかです! 具体的にはサバイバルな状況下では1日1リットルの水を確保する事を推奨し、日常生活でも1日2リットル以上の水分補給は必要です。運動量が増えたり気温が高かったりした場合は更に水分が必要になるのです!」


 女神が1リットル2リットルと口にするたびに水瓶の中に水が溜まって行った。恐らく口にした量だけ水瓶に溜まっているのだろう。それを見たアナタはある疑問を口にした


「・・・・・」


「え?いつもそんなに水分を取ってない? 勇者候補よ、食事をした際にも食材に含まれる水分を吸収しているので大丈夫です。それでも足りないか不安なら尿の色で判断しましょう、水分が足りず尿が不足しているなら不要物の多い濃い色に、足りてる様でしたら尿の色は透明です」


「・・・ッ…」


「話が汚い? すみません勇者候補よ。でも大事なことですよ。水分が足りないと体力も思考力も低下します。ベストな状態を確保する為に水を何時でも補給できるよう生活環境を整えましょう。えいっ☆」


「・・・・!?」


 女神がそう言った後、周りの景色が一変した。アナタはファンタジー系のゲームに出て来そうな酒場の様な場所の席に座っている


「驚きました? この方が雰囲気あって良いでしょ」


「・・・・・?」


「ふふ、では本題。そのまま飲める良質な水源があるのはごく限られた地域の可能性が高く、その地域の水事情がどうなのか人里でその飲料水がどの様に処理されたてるか確かめる必要があるでしょう。一番可能性があるのは煮沸消毒ですね。水を加熱し沸騰させて雑菌や寄生虫を殺し、安全に飲めるようにしたものです。お店で水を頼んで温かい白湯が出てきたらこの方式が一般的な地域なのでしょう」


「・・・・・」


「どうぞ勇者候補よ、20分前に客の為に沸かした湯が冷めた湯冷ましです」


「・・・・」


 女神にぬるま湯の様な水を出されて、アナタは仕方なく飲んだ。飲んでるアナタに向かってまだ女神は説明を続けた


「例え井戸水であっても安全とは限らず、水は出来るだけ煮沸消毒する事をお勧めします。毒でも入ってない限り一番確実な方法ですからね。そして、沸騰させても水質が良質とは限りません、中には泥臭い物もあるでしょう。そう言った物の味をごまかす為に煮沸消毒するついでにハーブティーなどにする場合が有ります。どうぞ」


 女神に何かのハーブティーらしきものをだされた


「もし旅先でこう言ったお茶系の物を勧められたら素直に従っておくのが無難でしょう。お茶に出来る植物が豊富か、泥臭い水しか無い地域なのかもしれません。ハーブすら無い場合は問答無用で泥臭い茶色い水を出されることも覚悟してください」


「・・・・」


 女神の話を聞きながらお茶を啜っていたアナタだったが、女神の次の言葉に


「まあ、お茶とか味と香りがついてる物は毒薬を混ぜやすいですし。毒物を使った追剥にあう可能性もありますけどね」


「ッッ・・・・!」


 アナタはむせてしまった


「大丈夫ですか勇者候補よ。教習中に喉を詰まらせて死なれても困りますからね。さて次の説明をします」


「・・・・ッ!」


 女神はアナタを無視して話を続けた


「これまでは煮沸消毒でしたが、一度沸騰させてもその後長時間放置すれば再び雑菌が繁殖し飲めなくなりすし。何時でも頻繁に火を起こせるとは限りませし燃料が足らないかもしれません。そう言った場合はアルコールなどを混ぜて消毒します」


「・・・・・」


「はい、水割りの酒ではなく水の酒割りです。煮沸消毒ほどの効果はありませんが、ぶっちゃけこの方が楽なのでお店で出される水はワインの水割りの様な物の可能性が有ります。酒造場などお酒が豊富な地域に限りますが。どうぞ」


 女神はうすーいワインをアナタに差し出したが。アナタは飲むのをためらった


「ん? お酒は苦手ですか勇者候補よ。運が良ければヨウ素などの浄水剤が道具屋に売っているかもしれませんが、無ければそうも言ってられませんよ。ビールの酒造場があれば、ビールの副産物として発生する炭酸ガスを使って炭酸水を作ってる可能性もありますから探してみては? お店て水を頼んで炭酸水が出てきた場合は、天然の炭酸水が湧き出る水源が有りそこを利用しているか、炭酸水を作る技術があるのでしょう。炭酸で殺菌して飲めるようにしているのですね」


「・・・・・・」


「水はもうこりごりですか勇者候補よ? では今回の教習はここまで! 旅先での水辺りには注意するのですよ~。アナタの転生先では精霊による浄化だの浄水場などが有って気軽に水が飲める世界である事を願っています。・・・まあ転生先を決めるのは私なんですがね。アハハハ」


 そう言って女神は去って行き。アナタは日常へと戻っていった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る