幸せはそこかしこに

2017年10月13日金曜日


「ボンジュール、アン」という映画を観た。

フランシス・コッポラの妻、エレノア・コッポラの作品だ。

映画プロデューサーの旦那の影に隠れ、自分自身を見られることから遠ざかり、女性としての人生の一仕事を終えた「映画プロデューサーの妻」である「アン」が、一人の「女性」としての新たな人生を見つける話だ。

フランシス・コッポラは、この作品をどのような心持で観賞したのであろうか。


作中、「僕の幸せは食卓にある」、というセリフがあった。

私の幸せはどこにあるだろう。

劇場から家までの帰り道、ふと思った。

映画館の客席?

ベッド?

浴室?


「幸せになりたい」と、口癖のように言っていた時期があった。

今私は幸せだろうか。

猫と過ごすソファ、父と食べる大盛のラーメン、姉と観るアニメ、祖母と観るワイドショー、おやすみのキス、「おかえりなさい」と言いながらするハグ。


思いつく限りの全てが「幸せ」だった。

「幸せになりたい」と口癖のように言っていた時、私は「幸せ」が永続的な物だと思っていた。

でも本当は、「幸せ」は一瞬なのだ。

一瞬一瞬の「幸せ」が、積み重なっていく。

猫の構って攻撃を受けながら、カタカタと文章を打ち込むこの時間も、ひと時の「幸せ」だ。

「幸せ」は、そこかしこにある。

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