生きる
2017年9月27日水曜日
高校時代の後輩とお昼を食べに行った。
彼とはもう長い付き合いで、同性の友人のような感覚で付き合っている。
彼は夕方大学で行われる健康診断を受診しに行くとのことで、暇つぶしに彼の通う大学まで向かった。
大学内のカフェテラスで彼は勉強をし、私は本を読む。
お互いの暇つぶしに飽きると、会話を挟む。
彼は就活を控えた三年生で、話題は自然とそういった方向へと向かう。
会社勤めは向かなそうとか、卒論を書くかどうかとか、一年前の自分のことを思い出しながら話した。
アドバイスをする気は毛頭ない。
寧ろ彼が自分の好きなように生きることを望む私は、「就活も卒論も、したくなきゃ取り組まなくたっていいんじゃない」と、無責任なことを言う。
一年前には私も彼と同じように大学に通って、カフェテラスで暇つぶしに勉強したり本を読んでいたのに、今ではそんな時間がむずがゆく感じる。
たった少しだけど、確かに時は流れているんだなと感じる。
もうあの頃には戻れない。
夕方彼と別れて、駅に向かう。彼の通っている大学と私が通っていた大学は、地下鉄の同じ線の数駅挟んだ場所に位置している。
そしてここは、一年前付き合っていた彼と訪れたこともある場所だった。
その場所を今、私は一人で歩いている。
あの頃に戻ってしまう様な気がして、私は焦り始めた。
戻ってしまってはだめなのだ。
駅へと急ぐ。急いで電車に乗る。
今を生きている確証が欲しくて、家へと急いだ。
もう一年前には戻りたくない。
私は生きなきゃならないのだ。
もうあの頃には戻れない。
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