ハイヒール クソみたいな自由だった
ハイヒール 危ないからダメ
イヤホン 危ないからダメ
彼氏 危ないからダメ
プール 危ないからダメ
自転車 危ないからダメ
バイト 危ないからダメ
ダメダメダメで何もできないから、良い子の顔をして危ないことをしていた。
私がおじさんたちの前で歌ったり踊ったりしてたとき、周りはマジックミラー越しにパンツを見せてお金を稼いでいたな。
あのころ、望遠カメラで撮ったきれいな月を見せてくれたおじさん、何してるかな。
最後に見たときは、薬指に着けたどっかのお店の女の子とのペアリングを、笑顔で見せてくれた。
お姉ちゃんが離婚して自分だけの人生を歩き始めたころ、夜は専ら新宿の区役所通りだった。
お姉ちゃんとお姉ちゃんの友達とプールに行った日、焼肉を食べてお酒を飲んで、いつものホストクラブへ行った。
テキーラを何杯も何杯も飲んで、酔っ払って店を出た。
座間のバラバラ殺人の犯人が女の子に声をかけてたあたり、あそこの公衆トイレの前で、お姉ちゃんが寝そべり始めた。ハイヒールを投げ出して、死体みたいだったけど通り過ぎる誰も見やしなかったね。
私はコンビニの缶チューハイを飲みながらタバコを吸ってて、フランス人が「一本ちょうだい」って声をかけてきた。
そのうち馴染みのホストがお姉ちゃんを迎えに来て、家まで連れて帰った。私とお姉ちゃんの友達は時間を潰して、朝方連絡が来るとまだお酒が残ったまま西新宿のお姉ちゃんの家へ歩いて行った。
夏だったから朝日が早くて、四時頃だったと思うけどあたりは真っ白だった。
そんな毎日のすぐあとで、私は怖い目に遭って外に出られなくなる。
ひきこもりながら、怖いもの知らずの日々を思い返してた。
ハイヒールはもう履かない、いつだって走り出せるように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます