時計
2017年9月22日金曜日
仕事に向かう彼を見送って、もう一度ベッドに突っ伏す。
私の鼓動の音だけが どく どく と聞こえる。
こうしていると、だんだん私が氷のように溶けていって、ベッドに染み入っていくように感じる。
いつか全て溶け入って、この鼓動の音だけが残るだろうか。
今週の診察は、祝日の関係で水曜日にずれこんだ。
そこで私は、「人と会うリハビリ」をするようにと医師から言われた。
「人と会う」という当たり前の営みが、今の私にとってはリハビリになるのかと少しショックを受けたが、「人と会う」ということにわくわくしている自分もいた。
全ての人が、時計を持って生きている。そう私は思う。
人によって、時計の針の動きは早かったり遅かったり、そんな中で、似たような道を歩んでいる。
私の時計の針は、動き辛くなってしまった。今までは、それを無理に動かそうとしていたのだ。
でも、必要なのは針を無理に動かす力ではなくて、針を交換することや、油を注すことなのだろう。
私は、ベッドに染み入った私を取り戻して、時計の針が円滑に動くように、試行錯誤する。
それが今の私に必要なことなのだと、ひと月半の休養の中で、やっとわかった。
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