スカーレット・トライデント

「魔王の軍勢は、その魔将軍たちは、この街を焼き、多くの民の命を奪った」


 戦没者慰霊式典で、騎士団長のヒーグライは集まった騎士たちや民衆に向けてそう切り出した。

 演台。国の旗と街の旗、騎士団の旗を掲げた高い旗竿。演台の前には四十余りの棺が整然と並べられ、その一つ一つに銀糸で龍を縫い取った騎士団の団旗が掛けられていた。

 集まった老若男女の民衆は所狭しと広場を埋め、みな沈痛な面持ちでヒーグライの言葉に聴き入っていた。


「この戦いで命を落とした市民たちは一人の例外なく善良な光の使徒で、良き息子であり良き娘であり、良き夫、良き妻、良き親であり良き恋人であり良き家族であり良き隣人であった。

 彼らはあまねく光の神々の御許みもとへ迎えられ、その生の苦しみのない世界で、永遠の喜びの中、諸君らが天寿を全うするのを穏やかに待つのだ」


 聴衆の中から啜り泣く声が、それを堪えて呻くような声が漏れ聞こえてくる。


「諸君らの悲しみ、無念、寂しさ。それは我々、竜の銀牙騎士団が預かろう。諸君らは家族や隣人を愛し、日々を暮らし、いずれ先に天界の門を叩いた同胞たちの分まで、生きる喜びを謳歌して欲しい。

 だが今は、いなくなった者たちを惜しみ、その寂しさを噛み締め、心から悲しもう。そして祈ろう。我々の仲間の、友人の、そして大切な家族のために。

 エル・エソォ・ノザ・ウェルトゥ」


 聴衆たちはエル・エソォ・ノザ・ウェルトゥ、と口々に繰り返した。


「さて、今日はこの場に異世界から来た友人たちにもおいで頂いた。

 彼らは魔王討伐の為、極北の街、闇の帝都サニャクー・マドを目指す三人の英雄たちである。

 王都を救い、そして先の戦いでは我らと共に戦いこの街を襲った五人の魔将軍を退け、その駐留地にまで攻め入って邪な侵略者たちを蹴散らした神の御使いたちである。

 赤き雷光の戦士レン・アカバネ、深緑を纏う風の闘士タケシ・ゴンドー、そして銀の光の巨人シンイチ・カヤタ。

 伝説の体現者たる彼らは今日、この街を旅立つ。

 この世界、ウェルトゥ・バースを脅かす暗黒を祓い、正義を行使する為に。彼らの為に祈ろう。光の神々の、至高神エル・エソォの御加護と導きがあらんことを」


 御加護を、導きを、という祈りが広場に満ちた。

 ヒーグライは場をレンに譲った。

 レンはヒーグライに礼をして演台に立つと声を張って言った。


「まずは、みんな。俺たちの為に祈ってくれてありがとう。

 先に言っておくけど、正直こういう演説みたいなことは苦手で……根も田舎者だから礼節に足りない部分があっても許して欲しい」


 レンは咳払いを一つした。


「さっきも言った通り演説は苦手だ。俺は俺の思ったことを言うことしかできない。だからだ、みんなが思ってることも聞かせて欲しい。みんなの代表として戦う騎士団の騎士たち、そして俺たちはみんなの気持ちをもっと知りたいんだ」


 レンは一度空を見上げた。

 晴れ渡ったそらは高く、風は穏やかで暖かく、訪れる春の気配を感じさせた。


「先の戦いで、沢山の人が命を落とした。ひどい怪我や火傷を負って今も辛い思いをしてる人も大勢いる。これって俺たちが負けたってことか? 大事な人を奪われた。家を焼かれた。街を壊された。それで魔王は、その手下たちは、目的を達したか? それは違う、と俺は思う。

 何故なら俺たちは、ここにこうして集まってくれたみんなは、生きているからだ!

 そうだよな⁉︎」

 レンは聴衆にそう問い描ける。だが返事をする者はなかった。

「返事が聞こえないぞ! 俺たちは生きてる! そうだな⁉︎」


 そうだ、と何人かが呟くように答えた。


「声が小さいぜ! 俺たちは生きてる! 死んでない奴は声を出せ! 俺たちは生きてる!」


 俺たちは生きてる、そうだ、生きてるぞ、と人々が返事をし始めた。


「俺たちは生きてる!」

「俺たちは生きてる」

「俺たちは生きてる!!」

「俺たちは生きてる!」

「俺たちは生きてるッ!!」

「俺たちは生きてる!!!」


 レンの掛け声に応えるように、聴衆の声は大きくなって言った。


「何が演説は苦手だ。儂よりよほど達者ではないか」

 ヒーグライは演台の脇で苦笑した。


「これはこれは……とんでもない英雄が召喚されたものですねぇ……」

 教会の鐘楼から広場を、その場に集まる民衆を、演説するレンを糸のように細めた眼で見下ろしながら、羽帽子の吟遊詩人はそう呟いた。


「そうとも! 魔王は六魔将の内の五人を差し向けながら、この街を滅ぼすことはできなかった! 奴らの卑劣な企みは失敗したんだ! この街にいた俺たちの勇気と、行動力と、強さの前に! 今回の戦いに敗北したのは奴らの方だ! じゃあ勝ったのは、勝利者は誰だ⁉︎」


 俺たちだ! この街だ! 

 叫ぶ人々の返事は熱を帯び、声の波となって広場の中を繰り返し寄せては返す。


「そうだ! 俺たちは勝ったんだ! そして勝ち続ける! 俺たちが、生き続ける限り! 分かるか? 剣を取り魔物と切り結ぶだけが戦いじゃない! 奴らが俺たちを滅ぼすことが奴らの勝利なら、生きることが、毎日を暮らすことが奴らに対する俺たちの勝利なんだ!

 パン屋はパンを焼け! 大工は家を建てろ! 仕立て屋は服を縫い、床屋は髪を切れ! それが俺たちの戦いで、同時に俺たちの勝利だ!

 みんな、俺たちと一緒に戦ってくれ!

 俺たち三人が、魔王を倒し、この世界に真の平穏と秩序を取り戻すまで!」


 ウオオオ……!

 歓声は地鳴りのように街全体を覆った。


「トゥエ・イー神聖王国に、勝利の街ヘンドラバーグに栄光あれ‼︎」


 レンは声を限りにそう叫んだ。

 熱狂がそれに答えた。

 人々はトゥエ・イー神聖王国の名を叫び、ヘンドラバーグの名を叫び、竜の銀牙騎士団の名を、ヒーグライの名を、総督であるクラドックの名を叫び、レンたち異世界の三英雄の名を叫んだ。

 地面を踏み鳴らす者がいた。手近な金物を打ち鳴らす者がいた。一心に祈りを捧げる者がいた。泣き出して崩れ落ちる者がいた。様々に自分の感情を爆発させるヘンドラバーグの人々。

 だが彼らの思いは一つだった。

 生きてゆく。力強く。失われた命の分まで。

 彼らは既にその一人一人が、魔王と戦う小さな英雄だった。


「異世界の友人たちよ!」


 レンに代わって演台に上がったヘンドラバーグ総督クラドックは聴衆の熱狂に負けじと大きな声で叫んだ。


「貴公らは我々の為に正に命懸けで戦い、魂の言葉で希望を与えてくれた! 我々にできる事は少ないが、せめて我々からこれを貴公らに贈らせて欲しい!」


 国の旗、街の旗、騎士団の旗の隣に新たな旗竿が立ち上がると、そこに緋色の槍の穂先を象った紋章の旗が翻った。

 白地の旗は金と銀の糸で優雅な模様が縁取られ、中央には真っ赤な三又の矛が陽の光を跳ね返して輝いた。


「三又の緋槍は、貴公ら三人の勇気と力の象徴である! この赤は、我々の悪に対する怒りと、正義に滾る血潮の象徴である! この紋章と共に、私、ヘンドラバーグ総督マシュリエ・クラドックの名において、貴公らに三又の緋槍騎士団の号を贈りたい!」


 熱狂は最高潮に達した。

 三又の緋槍騎士団の名が連呼される。

 レンの名が、権藤の名が、カヤタの名が繰り返し繰り返し広場の中に響き渡る。


 その喧騒の中で、レンはぽつり、と呟いた。


「スカーレット・トライデント……か」


 民衆の声はやがて街を、国を、世界を称える歌に変わり、繰り返し広場に満ちて、いつまでもいつまでも鳴り止まなかった。



 ***



「あーッ腹立たしい!!! この鼻先の角の恨み……人間どもを三回は滅ぼさないと晴れねえぜ‼︎」


 真っ赤な髪の髭の大男の愚痴が、暗い広間の中に木霊する。


「あなたが油断したからよブーネ。お陰で私まで痛い目を見たわ」


 漆黒の粘土で作られた塑像のような女が冷たい声でそう言った。


「あの虫人間……ぜってえぶっ殺す!」

「私はあの赤い戦士ね。私がされたのと同じように、綺麗に真っ二つにしてあげるわ」


「アカイセンシハ オレガヤル。 テダシスルナ」


 鳥のような面をし、みののようなものを羽織った殺し屋が口を挟む。


「あらハイガンダー。あなたが殺す相手に拘るなんて珍しいわね。いつもはベアブレフェン様の命令のままに……そっか。殺し損ねる事が珍しいのね。いつもなら今ごろ標的はとっくに死んでるんだもの」

「メイレイハ マダイキテル。ヤツモ マダイキテル」

「はいはい分かりました。じゃあ私はあの銀の巨人ともう一度踊るとするわ。幻惑と快楽が彩る死のダンスをね」


 その遣り取りを壁にもたれ掛かって聞いていた青い鎧の騎士がふん、と鼻を鳴らした。



 ***



 キャングオクシナは暗闇の中で意識を取り戻した。


 目を開けてみるが真っ暗だ。少し寒い。

 彼女は自分が死んだのだと思った。

 そして自分の死の直前の事を段々と思い出した。


 駐屯地。天幕への侵入者。不覚を取って人質にされたこと。自らに炎の精霊を宿してその侵入者の足を焼いたこと。

 侵入者の最期を見届けられなかったのは残念だが、自分がその足に与えた火傷は骨まで達するものだったはずだ。そんな足で三百からの軍勢の囲みは抜けられまい。彼女は満足だった。自分の落ち度の恥は濯ぐ事ができ、一族の名誉は守られただろう。

 満足し、安心すると、彼女の脳裏に彼女の主人の顔が浮かんで来た。

 ベアブレフェン様は、褒めて下さるだろうか。私の死を、少しは惜しんで下さるだろうか。


「ベアブレフェン……様」


 真っ暗な闇の中に横たわる彼女はぽつりとその名を呼んだ。意外にも、声は生きていた時と同じように出すことが出来た。


「気が付いたか?」


 彼女は耳を疑った。

 魔軍司令の声はすぐ近くに聞こえた。燭台に火が灯され、彼女の敬愛する魔軍司令の美しい顔が暗闇に浮かび上がる。彼女の右眼はその怪しい美貌に釘付けになったが、左眼はやはり暗闇を写すだけだった。混乱の中で彼女は自分が命を拾ったことを悟り、ベアブレフェンが自分を案じてそばに居てくれたことを悟り、自分が彼の名を呼んだのを聞かれたことを悟った。体温は上昇し、顔は火のように熱くなった。


「ごっ、ご無礼を」

 彼女は身を起こそうとしたが、全身の皮膚が引き攣るように痛み、寝台から頭を浮かせることも叶わなかった。


「良い。楽にせよ。全身灼け爛れて肌は炭にまでなったのだ。しばらくは治療と回復に専念するのが任務と心得よ。これは命令である」


 命令と言われては無理することも出来ず、彼女は死体のように寝台に横たわる自分を受け入れた。


「左眼は残念だが治せなかった。あの僧正殿の術を持ってしてもな。たが戻ってくれて嬉しいぞキャングオクシナ。私はそなたに、私のそばに居て欲しいのだ」


 思いもよらないベアブレフェンの言葉に、キャングオクシナの胸は高鳴った。それは勿論、近侍の騎士として部下としての話だろうが、それでも充分過ぎる喜びが津波のように押し寄せて彼女の小さな胸を満たした。


「申し訳……ありませんベアブレフェン様」

「何を謝る。近衞騎士として手本となるべき見事な戦いぶりであった。仲間を呼び寄せ、まんまと逃げおおせたあの異界の戦士がそなたより少しだけ強く、また運に恵まれていただけのこと」

「逃げおおせた⁉︎ あの侵入者が、うぅ……」


 驚きの余り起き上がろうとした彼女はまた全身を走る激痛に悶えて寝台に倒れた。その弾みで彼女に掛かっていた毛織物の掛け布団がするりと落ちる。その下は薄衣一枚纏わぬ裸体で、敬愛する主人の前にその身体を晒すという非常事態の余りの羞恥にキャングオクシナは息を飲んで固まった。


「大人しくしていろ。僧正殿の話ではあと二度の施術で動けるようになるそうだ」


 ベアブレフェンは手ずから落ちた掛け布団を拾い上げると、それを再び元通り動けない彼の腹心に掛け直した。


「ベアブレフェン様……その、私は……」


 次々と起こる予想だにしない出来事にパニックになりながらキャングオクシナは何か言おうとした。ベアブレフェンはその唇を人差し指一本で塞いでその言葉を遮った。


「静かに」


 自分の唇に当たる冷たい指の感触に、彼女は全神経を集中して呼吸を止めた。


「余計なことは言う必要も、考える必要もない。そなたは休み、身体を癒やすことだけに集中せよ。それが今のそなたが果たすべき私からの命令だ」

「我が主人、ベアブレフェン……様」


 キャングオクシナは潤んだ瞳でベアブレフェンの瞳を見つめた。その黒水晶のような瞳には燭台の頼りない灯火に揺れる彼女自身が映っていた。



 扉一つ隔てて、その二人の様子を伺う人影があった。

 子供のような上背うわぜいの頭の禿げ上がった小男は、声を立てず、ただその紫色の僧衣を揺らして笑った。



 ***



「開門‼︎」


 ヒーグライの号令でヘンドラバーグの北の大門は重々しい音を立てて開き始めた。


 レンの乗る白馬を先頭に、白と金の新品の装甲馬車が続き、その左右をカヤタの鹿毛の馬と、権藤の黒馬が跑足だくあしで進む。


 御者台ではグリストが手綱を握り、その隣に不機嫌な顔のエレンが収まっている。


 天気は快晴。東南東の風はしかし穏やかで、暖かな日差しの中むしろ涼やかで心地よい。


「どうした? 百人隊長。朝メシの玉子が悪くなってたか?」


 レンの声がすぐ耳元で聞こえて、エレンは驚いて周りを見回した。


 レンは先頭の馬に跨ったまま、こちらを振り向いてニヤリと笑っている。


「妙な真似をするなレン。また異世界の怪しい仕掛けか」

「いんや。これは精霊魔法だよ。アプジーが風の精霊の、遠話の術の合図だけ教えてくれたんだ」

「遠話の……魔法」

「彼女の話じゃ、なんでも俺たち異世界の住人は、こちらの世界の人たちより精霊と相性がいいらしい。魂の濃さが濃いそうだ。自分じゃ良く分からいけど」

「……便利だな。どれくらいまで届くんだ?」

「俺を中心に俺の視界の範囲だそうだ」

「夜だと範囲が狭まる?」

「相手を認識できれば姿が見えてなくても大丈夫らしいが、細かいことは俺にも分からん。俺が教わったのは、術を始める合図と終わらせる合図の精霊語だけだ」

「盗み聞きに使うなよ」

「盗み聞きされて困るような話をする予定があるのか?」

「盗み聞き自体が悪業だ。私をその術に巻き込む時は事前に言え」


 街の人々の、騎士団の声援を背中に受けながら馬車の一隊は街道を進む。


「この術を使わないと術を使うことを伝えられない場合はどうするんだよ」

「知らん。自分で考えろ」

「無責任だな。この術で合図してみんなで逃げる時も置いてくぞ」

「好きにしろ。殿しんがりを戦うのは騎士の名誉の一つ。それより前を見ろ。誰か待ち伏せてる」


 エレンの言葉に前を見たエレンは、そこに見覚えのある羽帽子の吟遊詩人を見つけた。彼は既に自分の荷物を積んだ馬に跨っていて、タイミングを合わせて拍車を掛けると、レンの横に馬を寄せて来た。


「ご機嫌麗しゅうございますアリエレッド卿」

「ようダックス。あの襲撃の中よく無事だったな」

「英雄見物の宿泊客で宿屋が一杯でしてね。たまたま街から少し離れた所で野宿していたもので運良く難を逃れました」

「なるほど。、ね」

「次の街へ?」

「ああ。港町リンドックス。そこから船で北の大陸に渡るそうだ」

「同行しても?」

「そういう話だったろうが。せいぜいいい歌を作ってくれ」

「そうこなくては! 一命に替えても最高の叙事詩にして見せます」


 上機嫌の吟遊詩人は馬の速度を落とし、隊列の最後に馬を付け直す。

 レンは権藤に意識を集中し、風の精霊シルフに彼の小さな囁きを託した。


「権藤、聞こえるか?」

「ああ」

「吟遊詩人に注意しといてくれ。最悪暗殺者かも知れない」

「分かった」


 このことは、後で他のメンバーにもそれとなく伝えないといけないな、とレンは思った。


「見てください! 皆さん! 渡り鳥の群れですよ!」


 そう叫んだのは手綱を取っていたグリストだった。その言葉通り、一行の頭上を追い越すように北上する数百の白い鳥の群れが広げた反物たんもののように帯を成しながら飛んでゆく。


 グリストの声に場所の中のファムナとトゥーメも窓から顔を覗かせて空を見上げた。


「侯爵サギです。頭に冠に似た飾り羽があるからそう呼ばれると聞いたことがあります」


 トゥーメが意外な博識ぶりを見せて、鳥の説明をする。


「古来より、鳥は神の御使と言われています。きっとこの旅の先行きの幸いの先触れです」


 ファムナの明るい声を背後に聴きながら、エレンの心は夜明け前の森のように暗かった。その深い記憶の底で、彼は自身の主君から直々に言い渡された、彼の重要な任務について思わずにはいられなかった。



 鳥たちの後を追うように砂塵を上げて走ってゆく白い馬車には、三又の緋槍の紋章が誇らしげに大きく描かれていた。


 ***



「恐れながら陛下、今……なんとおっしゃいましたか?」


 時間は数日前にさかのぼる。

 王都を出る前の晩、一人王の執務室に呼ばれたエレンは、王の命令の異常さに自分の耳を疑い、不敬を承知でそう聞き返していた。


「魔王が倒された後の話だよ。エレレナンシュタト卿」


 若き王はいつもと変わらぬ威厳を持ってエレンにその秘密の任務を告げた。


「魔王が三人の英雄に倒されたのを確認したら、機を見て我が妹を、ファムナ=ファタリ姫を──」


 椅子から立ち上がった王は膝を突いてかしこまるエレンのそばに歩み寄ると屈み込み、その耳元で声を潜め、だがはっきりと言った。


「──殺せ」




















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次回予告


 侵略と暴力、虚偽と陰謀の渦巻く異世界ウェルトゥ・バース!


 密林に潜むペンネンネネリ族!

 船を襲う巨大怪鳥!

 大平原を埋め尽くす闇の軍勢に立ち向かう光の国々の連合軍団!

 長い旅路の果てにファムナと三人の騎士は、異界から来た英雄たちは、遂に極北の魔都サニャクー・マドへと足を踏み入れる!


 襲い来る暗黒六魔将!

 最強の敵、魔王ヤーテサブ・ロウ!

 戦いの結末に彼らが知る悲しい真実とは⁉︎


次回 三大ヒーロー スーパー異世界大戦2

  デッドリー・ウェディング


  緋色の槍が、闇を貫く!!!




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スカーレット・トライデント 〜三大ヒーロー スーパー異世界大戦〜 木船田ヒロマル @hiromaru712

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