6月27日(火) キウイ棚で日向ぼっこ
「今日のわんこ」ならぬ「今日の天久保さん」。
明け方に降った雨のせいか、晴天なのにムシムシと湿気が肌にまとわりつく中、研究所の敷地の外れにある大規模転移実験施設におつかいに出た。
本棟への帰り道、吾妻チーム長の畑の方に人影を見つけて目をこらすと、それはキウイ棚の下の吾妻さんお手製のベンチに座る天久保さんで。
つい引き寄せられるように足が向いてしまった。
ぼうっと青空を眺めている天久保さんに声をかけたら、研究のことを考えていたわけではなかったらしく、ゆっくりとこちらに顔を向けて笑顔になった。
「そんなところに座って何をしているんですか?」って聞いてみたら、「脳の解放だよ」って。
普段は高速演算処理で脳を酷使しているから、時々こうやって何も考えない時間をつくっているんだそう。
吾妻さんとも仲が良いらしく、畑仕事を手伝ったり、ここのベンチでこうしてぼうっとしてるとリフレッシュできるんだって。
「私も真似してみてもいいですか?」って、勇気を出して隣に座ってみた。
二人そろってぽかーんと口を開けて空を眺めていると、たしかにここが仕事場だということを忘れて、時間の流れ方も変わってくる気がした。
しばらくして、天久保さんが思い出したように隣に置いたステンレス水筒を手にしたかと思うと、蓋になっているコップに熱い緑茶を注いで私にすすめてくれた。
間接キスをちょっぴり意識してドキドキしながらお茶をすすると、蒸し暑いはずなのに熱いお茶が喉を通った後にすうっと清涼感が感じられた。
言葉も交わさずに並んで空を見上げているだけなのに、いつまでもこうしていられそうな気がして、課長に怒られそうなのを思い出し、慌ててお先に失礼した。
というわけで、今日わかったこと。
オフのときの天久保さんは、おじいちゃんが縁側で日向ぼっこをしている姿とほぼほぼ同じってこと。
隣に座っていると、時間が経つのを忘れてしまうほどほのぼのしていた。
吾妻チーム長と一緒に畑仕事をしている天久保さん、今度見てみたいなぁ。
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