　今日は天気予報が外れて一日雨だった。

　ミキちゃん、うーたんと三人でコンビニで昼ごはんを買って課に戻る途中で、花畑さんとすれ違う。

　この雨の中でも昼休みの車チェックに行くのだろう。

　今日も安定の片裾靴下（と呼ぶことにした）だ。

　企画課の前の廊下で、ゴリエスト松代さんと、彼の同期の谷田部さんが窓の外を眺めていた。

　谷田部さんに「面白いから見てみ」と言われてその視線の先を追うと、駐車場を右往左往する一本の真っ黄色の傘が見える。

　花畑さんだ。

　いつもは昼休みに研究所内をジョギングしてる谷田部さんが雨の日は暇だからと、娘さんが持っていたリルリルフェアリルのシールをもらってきて、花畑さんの愛車のバンパーに一枚貼ったらしい。

　朝の車チェックでは異常がなかったはずの愛車に、突然大好きなリルリルフェアリルのシールがついていたものだから、花畑さんは若干（かなり？）パニックになってるようだった。

　しきりに首を傾げながら、ひたすら車の周りを歩き回り、バンパーに貼られたシールを剥がそうか剥がすまいか悩んでいる風の花畑さん。

　谷田部さんとゴリエストはうひゃうひゃ笑いながらその様子を見てたけど、私たちは呆れてすぐにその場を離れた。

　夕方ゴリエストに聞いたところによると、花畑さんはその後３時過ぎまで研究室に戻って来なかったらしい。

　同じ研究室の谷田部さんが、シールの残りを花畑さんにあげる約束をして、ようやくバンパーのシールをそのままにしておく（そっちに決めるんだ……）ことを決意できたんだって。

　暇つぶしで花畑さんをからかったはずが、花畑さんが担当しているプログラミング作業が大幅に遅れて、結局谷田部さんが自分の担当を棚上げしてフォローに入らざるを得なくなり、残業確定なんだとか。

　谷田部さん、自業自得とはこのことだわ……（呆）

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