第5話 連載に臨む姿勢を確認す

 連載をお引き受けするにあたり、私は過去の経験に基づいて、以下を担当の編集者にお願いしました。


 ・初稿の送付後の加筆修正は自分で行い、最終稿まで書かせて欲しい

 ・拙記事の掲載号の特集記事や、前後する記事との整合性やバランスに関して、必要であれば可能な限り修正に応じるので、遠慮なく知らせて欲しいし作業を私にやらさせて欲しい


 初めてこの出版社に原稿依頼を受けたのは2年ほど前の単発記事でしたが、その際は、初稿の後の加筆修正も校正もほぼ全部編集者が行いました。

 しかし私は、入稿直前の確認原稿を貰うまでそれを全く知らず、驚きました。初稿を送った後に特に変更や修正の依頼もなく、どうするのかなとただ漠然と過ごしてしまっていただけの抜けた奴だったのです。

 

 大御所たちの力量やお忙しさを思えば、それは編集部からの配慮なのだろうと思いますが、若輩者で力不足の私は、そこを自分でやらなければ伸びません。

 編集者には面倒なやりとりをさせることになるかもしれないけれど、そこは譲れませんでした。


 また、掲載記事の前後とのバランスや主張の整合性は、読者としても以前から気になっていたので、思い切って申し出てみました。

 編集者は、それこそは編集者の仕事であって、書き手である私に責を負わせるものではないと恐縮されましたが、整合性を持たせるには誰かが歩み寄らねばならず、その際はどう考えても最年少で未熟者の私がやるのが一番良いのです。


 お陰様でいまのところ、前者に関しては完全に実現させてもらって満足しています。

 「こんなに何度も原稿を改訂していただいて、お時間を取らせて申し訳ない」と担当編集者からメールがある度に、

 「とんでもない。有り難い修行の機会を頂き感謝に尽きません」と返しています。ほんとにその通りですもの。

 

 それでも、さすがに数回(いまのところ、最高8回)書き直しは記録にないそうで、担当者が恐縮なさっていたのですが、お心遣いに感謝しつつ、

 最善の修行となっていることと、

「この原稿を以て私の為人ひととなりを、会ったこともない世間の人々に判断されと思えば、細心の注意を払って推敲するのは当然のことです」

と正直な気持ちを添えました。


 そもそも、最初から最終稿(8回目)に相当するレベルの原稿を、初稿として提出する力のない私にこそ問題ありなのですから、お付き合いくださる編集者には足を向けて寝られません。


 また、後者についても、まだ4月号しか出ていませんが、いまのところは問題なく過ぎています。今後なにかあれば、編集者さんとじっくり相談しながら作業することになるでしょうが、書き直すことに全くなんの抵抗もないのは、小説修行のおかげでもあり、ありがたいことです。

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