第7話 編集と二人三脚 多々学び

 担当編集者の指摘には気付かされることばかりです。

 いつの間にか染みついていた我流の書き方や表現の特徴、接続詞の使い方など、言われて初めて、なるほどそうか、と思い当ることがたくさんあります。


 お世話になるのは、文章の文言だけではありません。

 構成の点でも、表現する内容の順序や論旨の持って行き方など、返信コメントで「こうしてはどうか?」と提案いただいて、なるほど~と唸ることも多々あります。

 読者にとっての分かり易さよりも、つい自分の「当たり前」を優先してしまっていたことなども、さりげないコメントから察せられることもあり、担当さんとのやり取りは、学びの宝庫です。


 大変有り難いことに、私の担当さんはお人柄も良く、またこれまで大御所を相手に仕事されてきたご経験もあるからでしょう、大変物腰が柔らかく、決して私の力不足を嘆いたり怒ったりしません。言葉遣いも丁寧で、やり取りする度に感心します。

 改善のための指摘であっても、とても謙虚に「まずは先生のお考えをお伺いしたく存じます」とあり、その後で「ご提案申し上げます」「ご検討ください」と結ばれています。


 これは決して当たり前なことではないと思います。少なからず、仲間や出版業界で活躍する教え子たちからいろいろ耳にしています。つくづく私はラッキーなのだと思うのです。


 本業の専門分野でこれですから、小説など、人々の嗜好を強く反映する媒体の場合はさらに個性的かつ剛腕な編集者さんとのやり取りが書き手魂を揺さぶることもあるでしょう。その意味では、こうして本業で先に連載を経験できたことは二重に有り難いことです。(きっと物書きとしての未来があるだろうと、まだ勝手に思っています、うふふ、信じるものは救われる~)


 掲載原稿は、初校前には編集部内で読み合わせをして確認をされているようで、私のも初校前の段階で一度、その後も一度、確認の連絡があります。

 その際、担当さんも私も気付かなかったような鋭いご指摘や、「ここは読者が別の意味にも取りかねないから修正した方が良いのでは?」という貴重なアドバイスも添えられます。

 どれも、なるほどと思うものばかりで、そうしたやり取りの度に、なんだか自分が賢くなっていくような気がして、嬉しくなります。


 恐らく、これを駄目出しと受け取っていると、へこたれてしまってこの先が続かない、と本能的に私の脳が察知しているのもあるでしょう。長年付き合ってくれた脳は、さすがです、わはは。

 修行というと苦しいイメージが先行しますが、少なくともいまは楽しさが先行していますので、その明るいエネルギーがある内に、次号の原稿に着手してしまおう、と思っております。

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