第14話 改めてプロの拘り歴然と

 次号の最終原稿をやっと送付完了しました。

 暗いトンネルをようやく抜け出して、明るい光の元に這い出た気分です。


 今回は、これまでの反省も込めて、できるだけ手元で完成に近付けてから編集者に送ったつもりでした。

 だからせいぜい第3稿くらいまでの改訂で済みそうだなと高を括っていたのですが、やはりそれは甘かったのです。

 今回もその2倍を遥かに上回ってしまいました。


 しかし書き直しの回数なんて、二の次です。

 最も大切なのは、納得のいく仕上げをすることです。

 付き合ってもらう編集者には申し訳ないけれど、最後の最後まで気を抜くことなく

 完璧を目指す――そのために書いているのだから、と自分を戒める一週間でした。


 4月号に始まって今回まで計4回の推敲作業を通じて改めて感じたのは、プロの拘りの凄さです。

 素人レベルのモノ書きとの差は、歴然です。


 その最たるものは、最終段階の仕上げで感じる「気を緩めない」推敲でした。

 まるで獲物を狙う鷹の目で、一言一句、つぶさに原稿を見ていくのです。

 同時に、全体の配分や統一感、語調、文頭と文末の落ち着き具合にも目を凝らすのです。


 そして、わずかでも違和感があったら、逃しません。

 推敲のプロセスで、

「ここが気になるので、こう修正しました」とコメントして送ると、

 返信原稿では、ほぼ毎回

「実は私も気になっていました。修正でとても良くなったと思います。これでいきましょう」と書かれ、コメント機能の「解決」ボタンがようやくそこでポチされる、という流れが繰り返されたのでした。


 つまり、素人の趣味レベルのモノ書きでは、

「ちょっとここが気になるけど、まあ、大筋に響くわけでもないし、大事な話の流れは邪魔してないからいいかな~」なんて放置できるし、実際に私はそうしてきたと思います。


 しかし、それがたとえ一言一句でも許されないのが玄人レベルです。

 これが、お金を頂いて文章を書くということ、出版して世に送り出すということなのだ、と改めて思い知らされたのでした。

 そして、そうしたプロセスを経た完成原稿は、初稿に比べ、出来栄えは明らかに段違いです。それを目の当たりにしたら、やはり手を抜くなんて絶対に出来ない、との気持ち新たにするばかりです。

 


 余談ながら、編集者は筆者を気遣い、余程のことがない限りは、最初から「ここが気になる」とは伝えません。やはり相当、遠慮されるようです。

 もちろん、自分で気付いて直すのが一番ですが、経験豊富な編集者の目は確かで、頼りになります。

 ですから、率直にどこまで言ってもらえるようになるか、という関係形成も、連載を前向きに続ける上では大変重要なことだと思います。


 その点については、お陰様でとても順調です。

 親しき仲にも礼儀あり、とばかりに、編集者とのメールは敬語満載でありながら、大変示唆に富んだコメントが並びます。

 そうしたやり取りからも多くを学ばせて頂いて、幸せな日々です。

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