次期宰相様はご執心です

綾織 茅

プロローグ

1


◇◆◇◆◇



 “ウソだ”


 今の心境を一言で表せと言われるならば、立ちくす女の一言はこの言葉に尽きる。


 だが、たとえ口に出したとしても、現実が変わるわけでもなし。


 女は再び“コチラ側”へ戻ってくることになったのだ。


 望んでではないが、全く知らぬというわけでもないことが、ぽつねんと立つ女の背をそっとでた。



◇◆◇◆◇


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