第一章
1
◇◆◇◆◇
美夜はここがどこであるのか理解すると同時に、深く
ここは美夜が
大半の調度品はとある人物から送られたものであり、美夜自身も調度品の良し悪しなど使えれば良かったので送られるがままに受け取り、使っていた。
(さて、あの問題児はどこにいるのやら)
とりあえず自分をここに呼び出した手紙の主──マクシミリアンを探しに部屋を出ようとした時だった。
部屋の
ハァハァと息をつくその姿に、一体何から逃げてきたんだと思わずにはいられない。
「あの、大丈夫?」
「……ミ、ミヤ?」
あらゆる種類の光を受けて輝く長い金髪を高く結い、今にも
しかし、身体の方は
現に、今も部屋の中にいるのが美夜だと分かった瞬間、青年──マクシミリアンは涙をボロボロと
「あ、会いたかったよぉ!」
「ちょ、分かったから! 苦しいから
もう昔のように小さな子供ではないのだから、そこら辺の力加減はしっかり覚えて欲しいところだ。
(そりゃあ、小さい頃は二人がかりで飛び込んでこられても受け止めきれるくらいの力はあったけど。もうこの体格差になれば一人でも無理だわ。下手すりゃ圧死する)
やっとの思いで引き
その隣に腰かけると、マクシミリアンはここぞとばかりに頭を
……が。
今はまず先に問い詰めることがあった。
美夜の手が自分の頭に乗せられる雰囲気を察したのか、マクシミリアンはいそいそと頭を低く下げた。しかし、その美夜の手が頭を撫でることはなく、それどころかグイッと押し剥がしにかかった。
「……ミ、ミヤぁ」
「今はそれよりも先に言うことがあるでしょ?」
一瞬ポカンとするマクシミリアンだったが、思い当たる節に考えがたどり着いたのか、身体ごと美夜の方へ向き直り、バッと頭を下げた。
「また
「……ハァ」
「許してくれる?」
「許すも許さないも、ここまで来ちゃったら仕方ないでしょ? それよりも、なに? あの手紙の量は。あれじゃ、あなたもあの子と大して変わらないわ」
「だ、だって……」
指で
口をへの字に曲げ、不服だということを顔中で表現しているこの青年・マクシミリアンこそ、美夜が二年前、十五年間にも渡る異世界生活に
美夜はもう一度、ハァッと深い溜息をついた。
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