突然血迷ったテーマで七月から「短期集中連載」と銘打って開始しました「熱く叫べ」、ようやく完結いたしました。本作については色々と横から説明加える必要が出てきたかなと思うんで、近況ノートに取り上げます。
先にまずは告知。作中の「選挙」の少し細かい設定について、第一話の最後と第二話の最初の方に説明文を追加しました。なくてもなんとなく読めるでしょうが、一応ご案内。
あと、一話当たりの長さが終盤になってかなり長めになったんで、ほとぼりが冷めた頃に一度区切り直そうかと思います。結果、もしかしたら全体で一、二話ぐらい増えるかもしれません。中身の手直しまでは当面やりませんが。
さて、本作は書き始めと書き終わりで、結構イメージが変わってます。予想分量もどんどん変化していきました。最初はなんて書いてた? 四~五万字で七、八話とかそんな感じ? うーん、三倍近くか w。以前から湾多作品をお読みになっておられる方々からは「またこんなことやってるぜ」とか言われそうですが、まあこういうのは毎度のことだし、予想の範囲内と……はい、まことに面目ありません。
で、なんでこんなことになったかと言いますと、今回は割合はっきりした原因があります。ちょっと、作品紹介の文章の前のバージョンのやつ、その後半部分を引用してみましょう。
・・・さて、内容に関しましてまず念を押しておきたいのは、私自身は本作の中で、国防のあり方とか自衛官の定員不足問題とかを正面から論じるつもりはない、ということです。……今回はあくまで「世間から逃げようのないむちゃ振りを受けた主人公とその周囲」を描くのがメインであり、自衛隊とか国防問題は、いわばその材料です・・・
いやあ、「嘘をつけ嘘をっ」というツッコミがマルチチャンネルで聞こえてきそうですねー 笑。
作品紹介の他の部分で書いてましたが、本作は当初、単なるバカ話のコメディというイメージで書いていたのですね。めちゃくちゃ古い例で恐縮ですけど、それこそ「バカヤロー! 私、怒ってます」みたいな感じで全編書き通すつもりでした。これはプロット案の残骸にもはっきり残ってます。
ところがね、筆が全然進まなかったんですわ w。なんか面白くない。作品が書けない春の気分を引きずって着手した作品なんで、多少気乗りがしなくてもがんばって続けようとしたんですけど、それにしても進まない。これはやはり、書き手がノリノリになれる要素をぶちこまんとあかんのでは、と思い始め、そこで急浮上したのが今の路線ってわけです。この際、右翼とか左翼とか国防とかを正面からわいわい論議できる文章にしたらオモロイんじゃね? と。
話を後半まで読まれた方は、「なんか『沈黙の艦隊』がそのまんま主張ごと入り込んでるような」と思われたかもしれませんが、実際その通りです。湾多の政治軍事のドラマ作りの原点はかわぐちかいじ氏の作品によるところが大です。まあ、未来のあるべき安全保障論については、かいぐち作品からもう一つ新しい要素を入れられんもんかと模索はしましたが、元々が何十通りもアイデアが出せる分野でもないし、三十年前の人気コミックを後追いする形になってしまったのは、遺憾と言えば遺憾ではあります。
ただ、ついでと言うとなんですが、私が本作でより多くをパクった w のは、「沈黙の艦隊」ではなくて、同じかわぐち氏の「イーグル」ですね。アメリカ大統領選挙をテーマにした政治ドラマで、「沈黙の艦隊」で語ったあの安全保障論が、もう一回り具体的になって出てきます。ドラマ的にもめちゃくちゃおもしろくて、いつかこういう長編が小説で書けたらなあ、とずっと思い続けております。あ、wikiの記事は短い説明の中でラストまでネタバレしてるので、参照するのはお勧めしません w。今はkindle版が出てるのかな? 今あれを読むと、現在のアメリカとのギャップにめまいがしますがね……
どこかで書いた気がするんですけど、「沈黙」にしろ「イーグル」にしろ、とにかく政治家がかっこいい。普通ならきれいごととしか見えない理想論をガン飛ばしながら語ってるシーンとか、めちゃくちゃかっこいい。とりあえず、本作ではそのかっこよさだけ、ストーリーにかこつけて描いてみたつもりなんですが、最後までザコ敵しか登場しないんで、予告編みたいな話で終わってしまったのは、やはり初期構想の甘さのなせる業かと。
いつもなら「いずれ手直しを」とか一応書くんですが、想像をはるかに超える形でこの作品に時間とエネルギー食われましたんで、これからその埋め合わせにかかります。連載二ヶ月分と、コレクションの短編と、それから……という感じで、夏は終わりましたけど、秋はまだ始まってません。結局、このまま冬が到来して年末年始になって時間切れ、という公算が大ですが 笑、まあ残り三か月、がんばってみようと思います。
というわけで、今年のこの後も、無事書き上げられればですけれども、湾多の次の一品をよろしくお願いいたします。