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初の長編連載 「すぷりんぐ・うぉー」について


 この作品は、一応十数年前に完結させたものの、どうしようもない出来で、リメイクに取り掛かったけれども、それもまるで進まず、そのままお蔵入りにしていたものです。
 なんでひどい出来になったかと言うと、ここからは前の近況ノートの続きみたいな話になるのですが、「商業出版レベル」を意識しすぎたからです。
 投稿作品を評価する目安として、自分は一般的な商業出版の価値基準を、おおむねそのままものさしにしている、と前回申しました。ですが、この言い方には落とし穴があって、結果としてろくでもない作品が出来てしまうこともあります。
 具体的に言うと。

「すぷりんぐ・うぉー」は、ラノベ路線だけれどもSF要素があって、基本骨格は学園ラブコメ、という構想で書いた長編でした。当初はまだまだ習作のうちと思っていたのですが、その当時、通っていた小説講座で「欠点はあるけれども、これで行けるところまで行こう」と背中を押してくれたこともあって、ある程度筋が出来てから、ラノベの新人賞を本格的に狙う、そのメインの投稿作品に格上げとなったのです。
 ラノベの新人賞、ということは、まず本格過ぎるSFはだめ。理系的な説明は最低限に抑え、展開の速さを優先すること、ということです。
 さらに、冗長な表現、多めの漢字というものも忌避されます。構成がテンプレから外れすぎるのもマイナス。プロローグが長すぎるとか、単純に400枚超えというのは応募先が当時はありませんでした。
 という要求基準を色々満たしていると、まあこれは私の未熟さ故というのもあるのですが、ひどく珍妙な、スケールの小さい、ややこしいところは全部コメディ色でごまかしただけの、全然おもしろくない駄作が出来がってしまいました。
 結論から言うと、私はあの時、とことん自分の好きなものを書きたいのだから放っておいてくれと言うべきだったのでしょう。とはいえ、プロデビューを一応の目標に開かれているその小説講座では、その物言いは自己矛盾そのもので、一種の禁句だったのですが。

 私がカクヨムに投稿を始めたのは、最終的には、とある長編の構想を具体化するためで、過去作品は、まあ出来のいい短編ぐらい上げてもいいかな、と思ってきたのですが、最近になって、ふと、さんざんに版を重ねて未完のままの長編のあれこれに目が止まってしまいました。
 今ならこれはまともな形で完成できる。何しろ、枚数制限もない。テンプレから外れてもいい。きまじめなSFとふざけたラノベコメディとバカバカしいスパイアクションのハイブリッドを書いたところで、掲載レーベルがない、などとツッコミを食らう心配もない。
 読者がほとんど来ない可能性はあります。でもそれは、今現在と何が異なるのでしょう?

 前回のノートの続きで言うと、私が言う「商業出版レベル」というのは、「実際には商業的に出版不可能な作品なんだけど、一定の技術水準は満たしていて、確かに"おもしろさ"の存在する作品」という意味も含んでます。そして、「すぷりんぐ・うぉー」は、そのいちばんわかりやすい例として完結させるつもりです。
 ……とはいえ、ノリとか、笑いどころとか、多分ふるーいものになってると思うんですよね。
 個人的には、朝日ソノラマとか、リニューアル前のスニーカー文庫とか、それにハヤカワJAの柔らか目のがまぶされたような、みたいなつもりなんですが、どんだけ需要があるものか。

 ちなみに、プロローグ部分はほとんどが最近書き起こしたもので、もう仕上げてます。それに続く部分は、前半終了までは以前のものを軽く改稿する予定。ですから、作品半ばまでは、ある程度のペースで公開できる、と思います。
 正直、ドラマ部分のつじつまなどよりは、笑いがスベってないかどうかがすごく気になるので、あんまりにも痛ましいところは遠慮なくご指摘いただけると、キツいですけどありがたいです。よろしくお願いします。

14件のコメント

  • ほほう。面白そうじゃないですか。
    朝日ソノラマ系とか、私が目指してる方向でもあります。
    うちの神風VSとか、まんま同じポリシーで書いてますし。

    少なくとも、ここに一人読者がいるってことで。
    もちろん指摘は遠慮なくしますけどねw
  • 早々にありがとうございます!

    梶野さんの長編も読み進めてはいるのですが、
    しばらくこちらにかかりっきりだったので、
    コメント等書きそびれておりました。
    いや、ほんとにそちらもソノラマ系だと思ってたんですが。
    まあそのあたりは改めて応援メッセージなどで。

    「ここに一人読者がいる」って、ぐっと来ますね。
    殺し文句、ありがたくいただきました。
    よろしくお願いします!
  • いえいえ。
    すでに一度読みましたが、二読してからコメントするつもりです。

    正直、思っていたよりずっと面白かったです。
    私は感想で嘘がつけないので、合わなくなってきたら遠慮なく読むのをやめちゃいますが(プロでも)、少なくてもこの文章と方向性なら、読み続けられそうです。深く考えずに済む方向なのもいいかも。


    神風VS、身内以外からまともな感想もらったことがないので、楽しみにしておりますw
    とはいえ、長編の感想って難しいですよね、いろいろ。
    まあ気が向いた時にでもお願いします。もちろん合わなければ無理に読まなくて結構ですので。趣味120%な代物ですから。
  • 重ね重ねありがとうございます。

    参加してる企画の期間を見越して、今日の夜にプロローグ終了までまとめてアップするつもりですので、よろしけれその後にでも。
    ただ、軽く世界観紹介のつもりが、なんだか独立した短編でもおかしくない規模になってしまったので、「深く考えずに済む方向」というご期待にどれだけ添えてるか分かりません 笑。

    久しぶりに長編のぬかるみでジタバタしてます。悪い気分じゃないんですが。

  • ひとまずプロローグ読み終えました。
    もう一度頭から読むので、もうちょいお待ちを。
    やりとりが必要になりそうなので、こちらに書かせてもらいます。

    先に誤字報告だけ。

    二話
    「いくらなんでも、旅館を「ダダ」でよこせとは言えないさ。

    「おっさん、反省が足りへんのとちゃうんか!? いっそ警察に「出直した」ほうがええんとちゃうか?」
    「突き出した」、もしくは「警察でやり直した」 の方がよいかと。

    滝多緒の成人グループたちも、半ば苦笑し、半ば自慢気に、翔「緒」の話しぶりを見物している。
    「雄」の誤字かと。

    「久しぶりに見た。学園長の「人身掌握」スキル」
    人心掌握、が正しいかと思います。
    ただ、調べてもわりと人身掌握でも使われてたりするようで、間違いかは微妙です。
    ただ、心を掌握すると言う意味合いでも、こちらの方が近い表現かなと思います。








  • 誤字報告、感謝いたします。
    別の近作でも読むたんびにしょうもないミスを発見してしまい、ムダにアップデートを繰り返してます。
    昔はこの程度の枚数でミスなんかなかったもんですが。というか、あの頃は一太郎使い倒してたから凡ミスなんて発生の余地がなかったんですね。
    Linuxに環境変えてから、キーボードとの相性もあるんですが、バカバカしい文字の入れ替えミスとかが多すぎる。ちょっと執筆環境いじります。やっぱり日本語チェッカーは必須ですよね。

    さて、ご指摘いただいた点はあらかた当方の見落としでしたが、「出直した」は恥ずかしながら「んん、なんかおかしかったかな?」ぐらいの感覚しか持てず、こういう時は全部理詰めで考えるしかないと思い、語義から確認しました。で、分かったのですが、「出直す」は「〜から出直す」という使い方が普通で、「〜へ出直す」などと動作の終点を示す形だとどうしても違和感がにじむとのことで、まさにおっしゃるとおりでした。
    ではどう書き直すか、ですが、形式上は「おっさん」が主語でありながら、話者の「ケーサツ放り込んだろか」みたいな使役のニュアンスがほしいところなんで、しばし考えた結果、二文目は「やっぱ警察の厄介になっとった方がええんとちゃうか?」としておこうかと思います。
    修正反映までしばしお待ちを。

    なんだかすごい精度の読み込み方をしてもらってるようで、申し訳ないと言うか畏れ多いと言うか。
    さっさと白状してしまうと、プロローグは色々と収まりの悪い部分が多々あることは自覚してます。
    すでに見切っていらっしゃるでしょうが、ここは書きながらひらめいた、みたいな展開も結構あったんで。
    あるいは二章ぐらい進んでから大幅改訂するようなこともあるかもしれないな、とは思っていましたが、今のうちに回路を簡略化するなり増設するなり全面配線変えするなりできるものなら、お知恵をいただきたいです。
    一方で、第一章は全く別のところから話が始まってますんで、そっちはそっちでぼちぼち上げ始めていこうかと。
    アクばかりクセだらけの文章に親身にお付き合いいただいて、恐縮です。今後ともよろしくお願いいたします。
  • それでは、プロローグの感想を。


    コメディ系アクションとして、かなりレベル高いと思います。
    設定は突拍子もないながら、展開と会話のテンポのよさでぐいぐい読めました。
    文字数はかなりあったにも関わらず、ストレスがほとんどない辺り、
    個人的には理想的な内容だったと思います。

    大阪弁のキャラが多いですが、特に問題はないかと。
    まあこれは私が関西人だからで、そうでない読者だとまた違うかもですが、個性があってよいのではと思います。
    ただ、関西弁のキャラは、台詞だけだと書き分けが難しく、特に小説ではそこを意識してキャラ立てをした方がいいかもしれません。

    実際、1の後、数日間をおいて2を読み始めた時、私はセシルと真知を混同しました。
    まあこれは私がざっくり読んだせいもあると思いますが、
    「主人公が好き」「押せ押せ系の性格」「一癖ある」と共通点が多かったのはあるかなと。
    真知だけ「ショウちゃん」呼びやハリセンなど、工夫は感じるのですが。

    今回ポイント高いのは、悪役の方ですね。
    盗撮オヤジのキャラがすごくよかったです。味があって大好きです。

    あと、ガラス割った方の二人組の描写や動きも、映画のように自然で感心しました。

    逆に翔雄の石へのこだわりは、ちょっと強引感ありましたが、今後の展開に生きてくるならアリですね。

    1に限れば、さしたる不満もなく、次が読みたくなるレベルの作品だと思いました。

  • 冒頭の入り方が神がかってますね。
    まさに映画的導入で、ちょっと小説では見たことないやつです。
    一度真似したいくらいです。絶賛します。

    ただ、前回目立ってたのが翔雄と真知なのに、映像では四人と書いてあって、「他にいたの?」という気持ちになりました。ここは二人でもよかったのでは。

    バス内に作戦室があるのも、設定的にわくわくしますね。
    移動式だし、観光協会御用達っぽい空気もある。学生との親和性も高いです。

    いきなりセシルが乱入したのには驚きましたが(てっきり走行中だと思ってたので)、まあ誘ってたのなら、アリでしょう。話早いし。

    どっきり的に撮影されてた下りとかは、いかにもな感じでニヤニヤしました。

    真知の糾弾。
    ここはちょっとわかりづらかったです。
    翔雄が作戦放棄したのはわかりますが、本来どうあるべきだったのか。
    自爆装置が押されかけてたのは間違いないので、誰か行く必要はあったはずで。たとえば真知が「現場対応は私の仕事のはず」的な説明があれば、呑み込みやすいかなと思いました。

    真知の台詞と周囲の反応は満点です。

    セシルのツンデレ指摘は、ちょっと性急な気がします。
    以前からそういう関係だったならともかく、前話で初対面ですよね。
    翔雄は石優先でかなりひどいこと言ってますし、惚れる要素があの時点ではないんじゃないかなと思います。
    せめて前回の時点で、あきらかにセシルが惚れかける的な場面を設けるか、この展開はもうちょい後回しにした方が自然だと思われます。
    モブのツンデレ指摘は楽しいんですけどね。

    >中等部のヘッドらしい女生徒が、邪気のない笑顔を見せている。
    これ多分、衛倉杏ですよね?
    この時点では描写がないと誰だかわかりづらいので、台詞で名乗らせるとかしてはどうでしょう。

    この後の衛倉杏の指摘ですが、微妙に返答がズレてると思います。
    セシルの「なぜ回収をする」の返答、「ボランティアではない、旅館は根こそぎもらう」は、別に盗撮動画を回収しなくても出来てしまうので、答えになっていません。
    「盗撮された女性から回収費用も徴収する」とかならわかります。警察はしてくれませんしね。

    あ、もしくは「旅館はこちらで経営を続けたいので、旅館の評判を落としかねない盗撮動画は消しておく必要がある」という意味ですかね。
    それなら意味が通ります。ただ今の状態だと伝わりにくいので、ズバリ書いてしまった方がよいと思います。

    >「あの”リンちゃん”、悪くはなかったけど、まだまだやねって婦警役のおねえさんも言うてたで」
    これ、婦警の方も男の娘ってことですかね。
    真知が変装してた……ではないですよね、多分。翔雄を止めに来てたし。
    でも実は真知が変装してた方がインパクト高い気がしますし、
    どっちにしろ、ここで真知が婦警やってたとわかる描写があれば、後の男の娘バレに繋がって
    読者の驚きが高まるんじゃないでしょうか。

    >そういうことなら俺は離婚届を出す。
    ここら辺の理屈も、ちょっとよくわかりません。
    権利が妻にいくので、男から買い取れない、という意味合いだとは思うんですが、
    そもそもここまでの話が非合法まっしぐらなので、まっとうな権利がどうこうという展開に強い違和感があります。

    飛雄の覚醒や妻が実は知っていたなどの展開はいいと思うのですが、ここの論理展開については、
    もうちょっと簡単にわかりやすくしないと、「いいシーンぽいけどイマイチよくわからない」な感じになってしまうと思います。

    「それじゃあ、やっぱり自爆してやるぜ!」と騒ぎながら、懐から携帯型自爆スイッチを取り出したところから、
    同じ展開で謝らせるくらいの方が、1の方向性に近い気がします。

  • 率直に言って、プロローグとしては蛇足だと思います。
    蛇足というか詰め込みすぎです。
    プロローグの役目は、長編シリーズの体験版みたいなものです。
    読者に気持ちよくなってもらい、続きを読む気にさせるのが至上命題です。

    ですが、3に限って言えば、プロローグに不要な要素てんこもりです。

    まずセシルの血縁関係。
    1を見返しても、そんな葛藤がある展開ではなかったと思います。
    説明としても首を傾げる内容で、「血縁のセシルを現場に着かせた」理由に説得力がありません。
    普通に考えれば、情が移りかねない血縁は作戦から外すでしょうし、よしんば人質的に使うにせよ、
    最高責任者は別につけるかと思います。
    正直、この設定は不要だったかな、と思いました。

    この小説はコメディタッチで突き進むものと思われますし、その限りにおいては細かい突っ込みなどむしろ野暮というものでしょう。
    ですが、こういう風な論理的説明をもとに話を展開するなら、話が違ってしまいます。
    前後のギャップも大きいですし、納得がいかなければ面白くなくなります。
    現に、1ではあれだけするする読めた内容が、3ではかなり長く感じられました。

    次に姉の登場。
    どう考えてもプロローグに登場するキャラじゃありません。
    アニメだったら7話くらいで出てくる人です。
    キャラを増やす前に、メインのキャラを動かしきるべきだと思います。
    キャラそのものはすごくいいと思いますが、性急すぎます。

    真知の男の娘バレだけは、よかったです。
    ただ悲しいかな、小説だとバレのインパクトはどうしても下がりますね。
    特にこの小説では、キャラ描写はほとんどないので、余計にです。
    個人的には描写が過ぎると興ざめするので、この程度が適切だと思っているのですが、真知にかぎって言えば、あらかじめ外見の描写を多少なりしておいた方がよかったかも。
    そうであれば、もう少し衝撃度が上がったのではないかと思われます。

    あと、この男の娘志望のキャラはとてもいいので、名前つけて再登場を希望しますw
    リンちゃんが本名かどうかわかりませんが。

    或摩温泉のくだりも、ちょっと早すぎると思います。
    プロローグなら名前を軽く出す程度で十分かと。

    締めはタイトル回収でよいと思いますが、
    やはり3は1のテンポを崩して終わってしまった感があるので、ちょっと残念。
    1の流れ、2のバス内解決、でタイトル回収が、
    プロローグとしてはベストだったかなと思います。
  • 全体の感想(というか希望):

    長編とのことで、プロローグ段階のみ希望的意見を述べます。
    始まってしまうと、もう変えられないかと思いますし。

    まずコメディ回とシリアス回は分けて考えるべきです。
    シリアス禁止とかは思いません。どっちにも使えるポテンシャルがあると思います。
    ただ、コメディで始まった話が論理的なシリアスに繋がると、違和感がすごいです。
    一口目は甘いのに、後味は辛いというか。
    上手く調理すればすごいものになりそうですが、ひとまず分けた方が無難に思います。

    次に、一話ごとの文字数。
    1はするする読めた私ですが、2以降はやはり長さを感じてしまいました。
    カクヨムでは2000くらいが1話基準だと聞きますが、せめて4000文字くらいで
    区切ってみてはどうでしょうか。読みやすさがかなり変わると思います。
    4000あれば、たいてい一区切りはつくものですし。

    あとはそうですね。
    これはあくまで予想ですが、キャラがどんどん増えそうなので、
    そこはじっくりゆっくり、段階を踏んでもらいたいところかなと。
    プロローグだけでも、そこそこの人数のキャラが出ています。
    これに関係者や敵対するグループが次々追加されていくとすれば、
    読者的にはキャラを咀嚼する前に、次々と増えていくので、消化しきれなくなります。
    一人一人のキャラをじっくり書いていただければ。魅力は十分感じられますので。


    ああ、感想書くだけで時間使ってしまった……
    次からはこんなに時間かけないようにします。
    というわけで、続きを書いてください。楽しみにしています。
  • 梶野カメムシ様

    私自身は結構長文のコメントをあちこちに無遠慮に書き付けて回ってるんですが、自身がここまで質量ともにボリュームのあるコメントをいただくのは、十何年ぶりか、もしかしたら初めてではないかと思います。
    泡沫の物書きとしては冥利に尽きるのひとことです。ありがとうございます。
    以下、いただいたコメントの流れの順にお返しを。

    「プロローグ1」のギャグの滑り方がいちばん気になっていたのですが、そこは特にツッコミもないようなんで、安心しました 笑。でも、この手の問題は世代差、個人差が大きいから、そこは楽観すべきではないのでしょうね。
    「石のこだわりにちょっと強引感」、そうですよね。責任ある地位で、実際に任を果たしているのに、石には目がない、というキャラ描写をどうすべきか、実は今も迷ってます。実は全然任を果たしていない、ということにすれば楽なんですが、それだとこの後話が転がらないんですよね。「2」の「真知の糾弾がよくわからない」ということともつながりますけど、自分では要見直し箇所と思ってます。

    「2」の冒頭をお褒めいただいたのには恐縮しました。悪くないつながり方だと思ってはいたけれど、もうちょっとシンプルに書きようがあったとは思います。まあそれは私の文章全体に言えることですが。
    「バスが走行中だと思った」というのは、よく書いて下さいました。なんか書けてないことがある、とは思ってたんです。そうなんですよね。普通「バス」と聞けば「走ってる」と思いますよね。
    セシルのツンデレ指摘が性急、これは「ですよねー その1」です。

    >せめて前回の時点で、あきらかにセシルが惚れかける的な場面を設けるか

    よくよく見ればこのあたりでそういう感情だったのでは? という描写はしたんですが、さすがに薄すぎますよね。入れるべき場所はなんとなく分かってるんですが、会話を中断するタイミングと描写の量を決断しそびれてました。2,3の流れの自然さにも響いてくるところだとはっきりしましたんで、ここも要見直し箇所です。

    >衛倉杏の指摘ですが、微妙に返答がズレてると思います。

    すいません、ここはよく分からなかったんです。
    セシルが反問しているのは、こんな回収で悪事そのものが消えるというそのモラル感覚はいかがなものか、ということで、まあそれ自体は諜報機関としては青臭い話なんですけれど、そこを杏が嗤って、「やまもみじ(事実上は鹿戸の口座)」から犯罪もみ消しの代わりに大金をせしめている、つまり、金銭的な相応の対価をあの男は払っている、という説明をしているところだったんですけれども、まあこのあたりの精算の関係とか、わかりやすく説明しているとは言い難いですよね。
    ここはシーン全体の組み立てから見直すのもありかなと思ってますけれども、一文単位でもうすこしスッキリ出来ないか検討はしてみます。

    >これ、婦警の方も男の娘ってことですかね。

    ここは違うんですよ。こういう作者の予想外のチェックが入るから、この手のコメントはありがたいですね。
    婦警役は滝多緒の女性の成人メンバー二名です。さすがに詩音がそこに入ってるかどうかまでは考えてませんが、成人は三人しかいないはずだから、入っていそうなもの、ではあるのですよね。みなさん学園の出身者もしくは観光局のその手の人たちなんで、男の娘については、それなりの鑑定眼がある、という設定です。どこかにそれと匂わせておくべきかな。
    いっそ真知をここで出しておけば、というのも、面白いですけれども……一つの改案としてストックしておきますね。

    >「そういうことなら俺は離婚届を出す」
    >ここら辺の理屈も、ちょっとよくわかりません。

    「ですよねー その2」です。説明そのものは可能なんですけれども(と思ってるんですけれども)どこまで書き込むべきかで思いきれませんでした。この段階で充分蛇足化していると思いますので、たぶんここまで面倒なシチュエーションをこのタイミングで作ったこと自体に問題があるのでしょう。前の場面との関連も含めての改訂が必要かなとは思います。当座のところは小規模な修正をとりあえずは試してみますが。まあ第一章を進めながらでも。

    >3 率直に言って、プロローグとしては蛇足だと思います。
    >蛇足というか詰め込みすぎです。

    「ですよねー その3」と言いたいところですが、ここは作者としては書くべきだと思って書きました。
    これを説明すると長くなるし、もしかしたらこの作品のテーマの外側に行ってしまうかも知れないので今は控えますが。
    とはいえ、さすがに冗長だろう、という感想は、まったく「ですよねー」です。「3」の要素を本編に散らすとか、そういう工夫も出来たかも知れません。
    読み手が「長い!」と言って、書き手にもある程度心当たりがある場合は、それは問答無用でダメなところであり、言い訳など一切すべきではない、というのもわかります。
    ただ、実はこのプロローグ、まさにご提案どおりみたいな「1と2の前半だけ」の形で一度書いた結果、「だめだ、これじゃつながらない」とボツった経緯があるんですよ。
    あるいはその時の原稿にそのまんま書き足す形にしたから色々とマズイのかなあとも思ってます。
    最終的に「3」全体をどうすべきかはやはり要検討課題ですね。ただ、大きすぎて具体的な案はすぐに出ないと思います。
    なんで自分はここを書くべきかと思ったのか、ということも自問自答しながら、しばらく本編を進めつつ考えていきたいです。
    姉は本来七話ぐらいで出すべきキャラ、というのが、ちょっとよくわからないのですけれどもね。いや、わかることはわかるんですが。

    >あと、この男の娘志望のキャラはとてもいいので、名前つけて再登場を希望しますw

    これは、どうしようかな 笑。どこかどうお気に召したのか、正直把握しそびれていますが……善処……したいです、はい。

    以上、返事も長くなってしまいましたが、全体感想として伺った、「コメディとシリアスの区分」「一回あたりの文字数」は、一見して、あ、これは当たりのアドバイスだな、という気がします。どれだけご期待に添えますか、現状、不安しかありませんが、墓まで持っていくつもりだった作品世界を叩き起こしてしまった責任もありますし、微力を尽くします。
    コメントの返しを書きながら、おかげさまでずいぶん改訂に向けての整理が出来ました。ここのところ頭を下げっぱなしという気もするんですが、とにかく本当にありがとうございました。
  • それでは再返答を。


    ギャグについては大丈夫、だと思います。
    大爆笑というほどではないですが、滑ってはいません。
    小気味のよさはあるので、コメディとしては十分かと。
    少なくとも私のセンスでは、ですが。
    それに、ギャグというのは評価も改善も難しいものです。
    評価がセンスに寄るので個人差も大きいですし、よほど悪くなければ私も言えません。
    それにしたって「おまえのセンスが悪い」と言われればそれまでですし。


    セシルと杏の問答についての疑問点をも少し細かく説明しておきます。

    セシルのスタンスはわかりやすく言えば勧善懲悪ですよね?
    杏はそれを笑い、男は対価を払っていると。
    ですが、男に対価を払わせる時点で、杏の価値観も勧善懲悪です。
    払わせる対価の大小の話でしかありません。
    本当にシビアな価値観であれば、まず利益最優先で、男についてはどうでもいい、
    利益があるからたまたま罰する結果になっただけ、という答えになるはずです。

    旅館強奪は、その観点で見れば理解しやすいです。
    一方で、盗撮映像回収は、この理屈だと理屈が通っていません。

    女性の被害が回復する以外で、タキダオに利益がないからです。難題にも関わらずです。
    これは一見すると単なる善意で、「ボランティアではない」とセシルを笑う杏の立場と矛盾するので、利益につながる回収の意味を考えてみた次第です。
    杏の返答には、回収に対して言及がありませんでしたので。
    ここの説明がないと、「甘いと指摘をしている側が甘いことをしている」という矛盾が生じて、読者がもやもやするというのが、問題視する理由です。

    この場面で読者が知りたいのは、タキダオのスタンスです。
    勧善懲悪のヒーローなのか、シビアな諜報組織なのか、
    ヒーローごっこをしつつ懐を温めたい感じなのか。
    特に後者二つのイメージは段違いなので、はっきり知りたいところかと。
    まあ、ギャグテイストありだと考えれば、ここがブレても仕方ないのかな、とも思いますが。

    いずれにせよ、読者としてはすっきりしたい場面ですね。


    「ですよねー その3」
    あ、やはり3は書き足しだったんですね。そんな気がしてました。

    別にシリアスモードが悪いと言ってるわけではないんです。
    プロローグに含むのはよくないという話で、本編で取り扱う分には問題ないかと。
    ただ、1のセシルの反応も書き直すなどして、違和感を消す必要はあると思います。
    あと私は全体を知らないので、盗撮男の今後の立ち位置が不明なのですが、レギュラー登場しそうなセシルが、一話で消えそうな男の血縁でよいのか、ちょっと疑問です。
    ただここら辺も、書き方次第で納得するかもしれません。

    あと、タイミング的にも、セシルは自己紹介が済んだ程度の段階です。
    翔雄の闇もそうですが、その段階で秘められた過去とか設定を出されても、
    読者的には「そうなんだー」くらいで、よい反応は得られにくいかと。
    もっとキャラに感情移入した上での開示の方が、劇的だと思うのです。
    突っ込みすぎとの指摘には、そういう意味も含みます。
    プロローグは口当たりがよくちょっと食べ足りない、くらいが理想です。
    オードブルに凝りすぎると胃もたれを起こすようなものです。

    本来書きたいものを書く、という趣旨は理解していますので進言はここまでにしておきますが、
    挽回は本編でも十分にできるはずだと思います。長編なんですから。


    姉については、会長と同じく、翔雄の上に立つ存在で、
    下手すると上位互換という意味で、早く出し過ぎると主役を食うと思います。
    顔出しにせよ、プロローグで見せてしまうよりは、現行メンバーを一通り掻き切った後、
    ニューフェイスとして出した方が新鮮さが出てよいかと。

    男の娘志願については、単純に両学園を行き来できる立ち位置が望めて、
    下手すれば杏より台詞がもらえてる一点でアリだと思うんですが、どうでしょうw


    以上、私からも本編開始までに言えることは以上です。
    後は感想をちらちら書きますが、ここまで熱は入れません。
    本当に面白くなくなったら読まなくなるので、配慮も不要です。
    そもそも長編を面白く書き切るとか、プロでも大変ですからね・・・
    好きに書いていただいて、読者は感想書いて、それを見ながら作者が舵を修正する。
    その上で好みが合わなくなっても致し方なし。健全でよいと思います。

    ではでは。私も自分の作品をがんばります。
  • たび重ねてのお返事、たいへん恐縮です。
    ここまで辛抱強くお付き合いいただくことは、対面でもそうそうありません。

    >「甘いと指摘をしている側が甘いことをしている」という矛盾が生じて、読者がもやもやするというのが、

    おかげさまで、ようやく腑に落ちました。
    といいつつ、まだ少しすれ違っているかもしれませんが、根本的なところは理解できたと思います。

    なまじ、「滝多緒はその気になれば何でもやれる」みたいなイメージをにおわせたのがよろしくなかったのかもしれません。この作品世界での、合法非合法の境目がよく分からなくなりますよね。

    たぶん、この場面についてこちらから返事するなら、前にいただいたコメントにもどりますが、
    "「旅館はこちらで経営を続けたいので、旅館の評判を落としかねない盗撮動画は消しておく必要がある」という意味"に落ち着くかと。より丁寧に申し上げるなら、「3」の後半でそのあたりに触れたとおり、「実は、そうでもしないと自分たちの浴場経営にも深刻な影響が出るのが確実らしいので、内心大慌てで対応している」という説明になりましょうか。
    そういう意味では、結局スラップスティックなんですけれどね。むしろそこは前面に出してわかりやすく笑いを取るべきだったかも、と、今になって思います。
    いずれにしても、プロローグの中盤で、作品世界のぎりぎりの領域を攻めすぎたのでは、とのご指摘はごもっともで、たぶん自身では何年たっても把握しきれなかった問題点だと思います。


    あと、

    >オードブルに凝りすぎると胃もたれを起こすようなものです。

    そうですね。これは実質、本編の前日譚の別話と言い切ってしまったほうがすっきりしたかもしれません。
    今からでもそうすべきなのかな、とも思いますけれども、作業の段取り的には"屋上屋を架す"になるのは明らかで、失敗を広げそうですね。

    >姉については……下手すると上位互換という意味で、

    なるほど、上位互換――懸念されていたことの内容は理解できました。作者としてはそっちにはいかないんじゃないかと思うんですけれど、そう思いながらやっぱり変な穴にはまるかもしれないし、そういう視点をご教示いただけてよかったです。内容チェックの項目に入れておきますね

    >男の娘志願については、単純に両学園を行き来できる立ち位置が望めて、

    いっそこのあとの展開をある程度明かして相談に乗ってもらうほうがいいのかなと思いつつ、勇気が出ませんでした。まあ公開のノートでそれはすべきでもないですし。
    ある程度本編が進めば、じきにばれることだと思いますのでこれ以上申しませんが、その時点でまたお叱りを受けそうな気がします。と言いながら、予定の路線で書きますけれどもね。

    とことんまでお相手いただいて、多謝、感謝です。
    こう言いきってしまうとあれこれ物議をかもしかねないんですが、小説講座に通って得られる半年分か一年分の学びを、この数日でいただいたような気がします(もしかしたら数年分か)。
    そのぶん、消化に時間がかかりそうですけれども、いただいた分は確実に質の向上へつながるよう、気合を入れなおしたいと思います。
    ありがとうございました!
  • いえいえこちらこそ。
    好きでやってるので、気になさらないでください。
    久しぶりに思い切る感想書けました。寝不足だけど満足してます。

    意思疎通、大丈夫ですよ。
    多分理解されてると思います。
    とりあえずわかりやすく書くのは正義です。
    内容に納得するにせよしないにせよ、まずはわからないとです。
    わかった上でなら、これが作者の主張だと思うこともできますし。
    よくわからない、意味が通じないのだけ避けていただければ十分です。
    まあ、読んでて感じたらそう言いますw

    名作ガラスの仮面に「舞台荒らし」という話があるんですが、あの姉はそういう匂いがぷんぷんします。読者視点ですが、うまく使えば物語のカンフル剤になるくらいに。逆に言うとそれくらいを期待してると言うことですが。

    先の展開は、読者が聞いていいものではないでしょう。
    まあここら辺が長編の感想の難しいところなんですよね。
    まあ十分語りましたし、しばらくは続きを追うマシーンになりますw
    どれくらい改善されるのかチェックしながら、楽しみにしています。
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