緋那真意

巧みに作品を掘り下げ、良さを存分に引き出す。意図していない視点を与えてくれる評には楽しさを感じさせます。皆様も明るく楽しい文学談議をお楽しみくださいませ

はじまりは大きく小さく、物語は暖かく、時に冷たくも暖かさを損ねず進み、最後に優しい気持ちになれる。読めば読むほどに心を深く動かされます。素敵な物語もあなたを感じてみて。

最初の一文からすっと物語に入り、描写の美しさに圧倒され、物語が収束していくさまに見とれ、最後はホッと心が穏やかになる。

良い物語でした。

全編を通じて漂う無常観と、あらわにされた感情がもたらす救いとが絡み合って、小さくとも大切な優しさを思い出させてくれます。

幼い頃は身近なことが宇宙に繋がっていて、とても凄いことだと思う。幼いからこそ感じられる素敵な驚きがこの作品には詰まっています。

最初のうちはただただ、流されるままに読み進め 次第に、これはどこかおかしいと気付き始め そして、最後にたどり着きすべてを知る。 全てを知ったとき、あなたは何を思うのだろうか？…続きを読む

ゴミ問題に悩むとある国の大統領。そこに異星人が来訪し、ゴミを片付けてくれるというが……？ ゴミ問題という身近なテーマを大胆な発想でＳＦとして描き上げた筆者の高いセンスがうかがえ…続きを読む

アンドロイドの彼は、課せられた任務の最中ある発見をする。それは、彼と彼女とを引き合わせ、そして……。 決して叶うことのない、彼と彼女の愛。彼がアンドロイドだからと言うだけではない…続きを読む

司令官の出す気まぐれな調査命令を遂行する書記官。 基本的にはこの流れで物語は進みます。 一見するとよく分からない命令を出す司令官。 それ自体には本当に裏はないのだけど、実はその…続きを読む

十年間の記憶を刻みつけるのに5mというのは適切な距離なのだろうか、とそんなことを真剣に考えさせられました。 彼の記憶は常に失われ、彼女は彼の記憶を保とうとする。 いずれ5mでは…続きを読む

戦争は、人々のささやかな幸せを残酷に刈り取っていく。 人は、その現実を知りつつもつかの間の平穏を夢見る。 現実は、過酷だった。 内容については多くを語りません。しかし、多くの人…続きを読む

コロッセオに立つことになった三人の人間。彼や彼女がそこに立った理由は様々ではあるが、最後に待っていた結末はいずれも同じ。 しかし、彼らは形は違えどそれぞれの意思で戦っていた。それぞ…続きを読む

物語の状況は結構緊迫していると思うのだけど、まるでそれを感じさせない。登場人物二人はどちらもどこか朴訥さを感じさせ、ともすれば重く暗くなりがちな背景も明るく軽快に見せてしまう。筆者…続きを読む

あるいは、人によっては学校生活でろくな教師に出会えずに終わった人もいるかも知れない。でも、誰しも一人は「恩師」と呼べるような人がいて、大切な言葉を授けてくれたことがあると思うのです…続きを読む

まず歌旅人という職業の設定がとても素敵で心惹かれます。そして、依頼を出した依頼主の本当の思いとシオンの過去と今。それらが重なって物語が紡がれていきます。 エンドも涙はなくとても爽…続きを読む

自分以外の全てがいなくなってしまった世界。そんな中で在りし日に思いを巡らす。しかし……。 人の思いというものは、どこまでその形を保てるものなのだろうか？どこかで失われたりすること…続きを読む

犯罪のない星に降り立った地球の男。彼の行動にその星の人々は振り回されます。 しかし、その男だけが事態の原因なのだろうか？ 善悪などというものがどれだけ人の思惑に左右されてしまう…続きを読む

非常に穏やかな話です。途中にある戦いのシーンですら、血生臭いものを感じさせない描き方が素晴らしいと思います。 種族を超え、親と子は確かに繋がり、その意志は受け継がれた。 読み終…続きを読む

世の中は、悪口雑言に満ちている。
それを良しとするのか変えていきたいと思うのか。
あなたは、どうですか？

何をするにもついていなかった男が突如幸運を手にする。 だが、あまりにも幸運「過ぎてしまっても」それは「不幸」なことなのかも知れない。 ラストの展開はあまりにも強烈かつ皮肉。作者…続きを読む

的確に要点を抑え、かつ充分に皮肉が効いている。しかも、非常にリアルなお話で、これがもし実際でも起きていたら、と考えると中々ゾッと来ます。 短いお話ですが、一度は目を通しておいて損は…続きを読む

ノリの良い登場人物たちにグイグイ引きずり込まれて読み進んでいます。

果たして、「私」とナオさんの運命や如何に？

あえて記述を抑え、読み手がイメージ出来る余地を広げてくれるスタイルが秀逸。手抜きではなく、読み手側に考えさせるスタンスこそが持ち味。 描写そのものも美しく、様々なヒントを読み手に…続きを読む

この短いストーリーの中に驚くほどの情報量が仕込まれています。深淵にも似た、深い深い世界観が読めば読むほどに読者に突き刺さる。 書いてある文字の多さが語りの全てでは無いことを教えて…続きを読む

年頃の女の子の繊細な気持ちがしっかりと描写されていて、とても心に響きます。それに対して、男の子は何とも鈍感で……。でも、だからこそ女の子はいつの世も尊い存在なのかも知れないなとも思…続きを読む

小学生の女の子が持った素朴な疑問。それはやがてほのかな恋心へと変わり、昇華されていく。 思春期へと向かう子供達の心情を繊細に描写していて、傷付き易いけれど純粋で汚れのない子供たち…続きを読む

耳馴染みのある名前の登場人物たちが次々と登場し、どこかで聞いたことのあるような役目を果たして、物語が紡がれる……。 ひとつひとつの文章の繋がり方が神がかり的で、強烈なセンスを感じ…続きを読む

隣の部屋の騒音か気にかかる。現代ではよくある悩みですが、実は……。

筋立て自体は単純な仕掛けながらもオチは意外に盲点かも知れませんね。詳しい事は読めば分かるという事で……。

周到に用意された仕掛けは精巧にして精緻。
なんてことの無いやり取りも全てを知ったあとなら、違うように見えるかも知れない。
出来れば何回か反復して読むのが望ましいと思える。

もう出だしから引き込まれました！ 元ネタとなったものを知っているからこそ理解できるノリと勢い。知らない人が万が一いたとしても「元ネタなんだろう？」と調べたくなることは確実。 作…続きを読む

自分を含めて、人間はどれくらい神様のことを信じ、敬い、信仰しているのだろうか？ 自分の勝手な解釈で、神様を縛り付けてはいないのだろうか？ 本当は、神様は悩み、苦しんではいないの…続きを読む

舞台設定がやや意表を突く感じながらも、やはり気になるのは二人の行方。 ほんの些細な行き違いから疎遠になりかけて、それでもやっぱり離れられなくて、この辺りのやり取りが切ない……。 …続きを読む

落語の語り口の軽妙なノリが上手に再現されていて、読んでいて楽しいですね。 でも、そうなんだよなぁ。いつもいつも○○ばっかり……なんて気持ちにもなりますね。言われてみれば、と言うや…続きを読む

この作品に出てくる人物は、それぞれに愛を求めている。 愛したくて、愛されたくて、求めたくて、求められたくて。 でも、世界には自分と相手しかいないわけではない。他にも人がいて、自分…続きを読む

何かを極めるということは、その分他の何かを犠牲にしていると言うことなのだろうか？ 或いは彼女からしたら、己の生すら取るに足らない些末な問題なのかも知れなかった？ 彼女は生きてい…続きを読む

目まぐるしく遷り変わる場面場面に鍵が散りばめられ、最後に一つになるために話は動いていく。 二人が辿り着いた場所は、どんな幻想よりも儚く、美しく、そして切ない。 また時間を置いて…続きを読む

予想もしなかった発想から物語は動き始めて、巧みな筆致で描かれるストーリーからいくつもの物語が交差し、収斂して一つの大きな流れを形作っていく、その構成の見事さは正に神業。誰もが知って…続きを読む

そこに派手さはありません。しかし、生活のワンシーンが活き活きと自然な姿で描写されています。読んでいて心地良いです。

タイトルや作中の言葉からはグロテスクなイメージしか持てないが、しかしそれらをひとまとめに読んでみると全然違うものも見えてくる不思議な構図。 生々しい言葉の連なりは、もっと大きなも…続きを読む

言葉の一つ一つは他愛のないものであっても、それらが連なり文となったとき、新たな意味が宿る。言葉の使い方がとてもお上手で、読んでいるこちらが身を引き締めなければと思わされます。

極端な話をするならば、ベタベタな展開と言う他ないが、「やっぱりそうなるのか」と読み終えてスッキリする物語はそんなに多くない。書き方が嫌味でなく素直に表現出来ているのも良いですね。

よく練られた味わい深い文章と最後に用意された結末が、何とも言えない深みを感じさせる。