始まりは誰もがよく知る童話から。
　しかし赤ずきんの歩みと共に、物語は歪に歪み、やがて歪みは更なる歪みを招く。
　いくつもの童話が継ぎ接ぎされ、混沌と化していく物語。しかしそれらの無秩序な童話群は少しずつ収束してゆき、やがては一つの結末へと辿り着く。
　見覚えの物語が幾つも現れ、絡まり合い、到底予想もつかない代物へと変化しながらも、最後には一つの物語として完成される。
　それこそ、狐につままれたような気分にさせてくれる物語。圧巻です。
　

童話がぐちゃぐちゃに混ざって、面白かったです。
1人の主人公が“何役”もするタイプの話です。この発想力は凄いです。あれとあれを繋げちゃうのか〜！なんて思いながら読んでました。
そして、童話に加えられたオリジナルもいい味を出していました。オリジナルと童話の融合性がとてつもなく高いです。
だから飽きないし、惹きつけられるし、ハラハラドキドキします。

ぐちゃぐちゃに混ざっていて、最後どうやって全てを回収するんだろうと思いましたが、最後もきちんと着地していました。なるほど、そうやって全てを収束させるのか、と息をついてしまいました。

皆さん、是非読みましょう！

予想もしなかった発想から物語は動き始めて、巧みな筆致で描かれるストーリーからいくつもの物語が交差し、収斂して一つの大きな流れを形作っていく、その構成の見事さは正に神業。誰もが知っている題材を独自の感性を持って再構成、全く新しいものを描ききると言うのは、誰でも出来ることではないです。面白かったです！