戦争は、人々のささやかな幸せを残酷に刈り取っていく。人は、その現実を知りつつもつかの間の平穏を夢見る。現実は、過酷だった。内容については多くを語りません。しかし、多くの人に知ってほしい作品です。今からそれほど遠くない昔に、こういう悲劇があったことを。
これをただひとえに「悲しい」と表現してよいものか。特に最後の一文を読んだ後、「あと数日あれば……」と脳裏をよぎったのは事実だが、果たして僕は一人にでもそう伝えられるだろうか。それはあまりにも軽率な考えなのかもしれないからだ。戦後、我々日本人は何を学びとる必要があるのだろうか。十把一絡げに「原子爆弾を撤廃しよう」と言えない現状。抑止力が途絶えたとき、再び何事かが起きかねない見せかけの平和。これはある種、創作ではなく啓蒙書に近いのかもしれない。