ジャクリーンの腕

作者 Veilchen(悠井すみれ)

293

105人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

人と機械を題材に、自分とは何かについてのお話。

誰かに否定されたこと、人間なら誰しもあると思います。
他人からの批評ばかり気にしていたらキリがありません。息苦しいだけです。
現実での息苦しさを、主人公のクリフも味わっています。
自分の居場所のはずなのに、他の人はなかなか認めてくれない。
でも気づきは案外近くにあるもの。
自分にとって大切なのは何なのか、いま一度見直してみたくなる、そんなお話です。

師匠とその弟子クリフのコミカルなやり取りも簡潔で読みやすかったです。
短い中でどんでん返しがあって、最後まで駆け抜けられます。
驚きの隠されたお話、思わず「ええっ!?」と言いたくなる。
衝撃の事実、発見、みたいな、そんなお話を求めている人は読んでみてください!

★★★ Excellent!!!

事故がきっかけで腕を負傷し、その後、義肢をつけた美貌のピアニスト。

しかし、その腕は生来のものではないという理由で演奏を酷評され、引退を余儀なくされる。

偏見や差別を考える上で、自分たちとは違うからという理由が挙げられる。

本当にそうだろうか。という問題提起は常になされるべきだと思う。

★★★ Excellent!!!

今年短編部門で参加しようかと思いたったので過去の受賞作見に来たんですが…成る程、これが受賞作に求められる水準かと感嘆した次第。二回どんでんというやや難しい筋運びをある一点の関連性で繋いでスマートに仕上げてますなぁ。2回目の「え?」が1回目のドンデン受けての回答になってる。技巧派。

★★★ Excellent!!!

不幸な事故で腕を失った天才ピアニストのジャクリーン・シャーウッド。
彼女の義肢を造る工房で働くクリフは、師匠フィリップと共に彼女の許を訪れる。

ピアニストの義肢を造る話、かと思って読み始めた。
題材は面白いし、冒頭の一文からとても良い。

面白い、あるいはしっかりとした作品を読む時に、
私はそこに特有の「空気」というものを感じる。
それがあれば安心してその作品世界に浸ることができるのだ。

気にせずに読み進めれば良い。
話のバランスも良く、人物もそれぞれ癖がある。
最後まで読み進めれば驚きと感嘆を得られるだろう。

しかし本作を最後まで読み終えた時、あなたはこれが人間と近未来の技術、あるいは機械についての物語だと知ることになるだろう。
そして尋ねるのだ。

「なあ、クリフ。君は最初から――」

★★★ Excellent!!!

まず、題材がめちゃくちゃいい!

機械への偏見。まだあまり掘り下げられていませんが、それでいてホットな話題です。
最近だと、AIが描いた裸婦画が5000万近い値で落札されたニュースがありましたね。その絵を「冷たくて暗くていかにも機械的に感じる」なんて言う人を見たことがあります。高性能義手で演奏するピアニストのジャクリーンの演奏に対する「面白みがない」という批判の声に、似たものを感じました。
だからこのSFは「自分たちとは縁のないフィクション」とは言い切れない気がします。だからこそ、あのラストは鮮烈ですね。自分も他人のことは言えませんわ。

この作品は、機械への偏見を揺さぶる力を見せつけてきます。それは、最後の瞬間まで。