これは天才ピアニストの義肢の話だろう? なあ、クリフ

不幸な事故で腕を失った天才ピアニストのジャクリーン・シャーウッド。
彼女の義肢を造る工房で働くクリフは、師匠フィリップと共に彼女の許を訪れる。

ピアニストの義肢を造る話、かと思って読み始めた。
題材は面白いし、冒頭の一文からとても良い。

面白い、あるいはしっかりとした作品を読む時に、
私はそこに特有の「空気」というものを感じる。
それがあれば安心してその作品世界に浸ることができるのだ。

気にせずに読み進めれば良い。
話のバランスも良く、人物もそれぞれ癖がある。
最後まで読み進めれば驚きと感嘆を得られるだろう。

しかし本作を最後まで読み終えた時、あなたはこれが人間と近未来の技術、あるいは機械についての物語だと知ることになるだろう。
そして尋ねるのだ。

「なあ、クリフ。君は最初から――」

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