「幻視」を含む小説

夏期講習の帰りに、あの人を見つけた。僕がいつも通る美術学校で見かける人だ。 その後ろ姿を見て、僕はそっと彼に近付いた。彼の目は真っ直ぐで、嘘をついたことのない赤ん坊のような瞳だっ…

夏の海、灯台に住むミドーには決められた仕事があった。それは灯台からの観察記を毎日つけるということ。 空模様、風、海、鳥山、気温、風見鶏の動き、灯台の周りの薔薇、磯の小魚たち……海…

中二の夏、僕は見知らぬ女子高生と不思議な出会いを体験した。 ―――ペットボトルが繋ぐ縁。 それが僕と明日美さんとの出逢いだった。 中坊男子と女子高生の不思議な往復書簡物語です。…

群青の空と海、水に浮かぶ小さな駅。十七歳の少年は夏の風景広がる不思議な場所で、ある少女と出会い、そこが死後の世界であることを知る。 生前の自分が祈った「彼女と〈理想の夏〉を過ごす…

”私”には青いフィルムを通したように世界が見える。 同居人の立花は、自分の身体に花が咲くのを幻視する。 2人で過ごす日々は、穏やかなままに過ぎていく。 　私の青と彼女の花が、…

理事種族のひとつゴモリーが、星間国家の技術と政策を語ります。 この作品は「Ｌｕｃｉｆｅｒ（ルシファー）断章」の一編である「技術」の 口語体バージョンで、天使な悪魔サタンちゃん（笑…

しんしんと室内に雪の降る晩。 美冬の元に突然、行方不明になっていた幼馴染、秋人が現れた。 秋人は次元を離れることを告げると、忽然と消え去った。 美冬は秋人の姿を幻視し、やがて、そ…

高校生タスクは、両親と妹の四人家族。しかし、妹ヒメカが両親を殺害したことで穏やかな生活は消え去った。 真意も分からぬまま異常な力を手にしたヒメカを追いかけてタスクは異世界へ向か…

私的文明論を考えさせてくれた、「Ｌｕｃｉｆｅｒ（ルシファー）」シリーズの新作です。 今回は文明の二本柱である技術と政策について解説しながら、理事種族を全部紹介してみました。 刺激…

　視能訓練士の中村は、家族と共に車で外出中、突発的な追突事故に巻き込まれ重傷を負ってしまう。 　不幸な事に、その時の事故により最愛の妻と愛娘を一瞬にして失ってしまったのだ。 …

無限に出てくるご馳走……そんな光景を幻視したことありませんか？ 五分で読めるショートショート。

どこかの地方の奇妙な風習を切り取って描いたショートショート。おぞましくも美しい光景を、作者が幻視したとおり、言葉で写し取った小品です。したがって、これといったオチはありませんので…

人ごみの中に時折姿を現す「彼女」。それは、高校生の時に死んだはずの妹だった。 ※約6,000文字 ※本作品はフィクションです ※初出 エブリスタ『三行から参加できる 超・妄…

最近よく、環境問題から経済、社会、行政に至るまで、 様々な分野で、〝持続可能性〟という言葉を聞きます。 それは今、私達が、文明活動全体の持続につき、 文明活動自体を原因として、…

自分に宿る異能が引き付けた魔物に友人を殺された真藤朱理は、同じ過ちを繰り返さぬよう祖父のいる福島県へと向かう。 ところが、そこで予想だにしなかった母の秘密を知ることになる……

素敵な文化（ゆめ）に魅せられて、〝未来の神話〟を幻視（み）ていたら、現実（リアル）な未来が見えました ❤。 アイドルマスターやバンドリ、ラブライブの動画に感動して、「Ｌｕｃｉｆｅ…

人類が自らの脳内に、情報端末を埋め込むようになって久しい。人々は存在しないものを幻視して、テレパシーのように会話する。そんな時代。 東京の大学生、久我哲生は商業ビルの屋上にて、ひ…

　僕が十八の晩冬、兄が死んだ。自殺した兄の室には、大輪の紅椿のような血しぶきが散っていた。 　そこから、ひとりの少年を捕える幻視がはじまる。 　「紙とペンと紅椿」で参加します。…

　高校生の篠入桐花は、差出人不明の封筒を受けとる。そこには、一葉のモノクロ写真が収められていた。美しくも不穏な光景に記憶を喚起され、桐花は南へ向かう。 　かつて母が命を奪われ、父…